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F1リアルスコープ
【リアルスコープ】ドリンクボトルはここにある

【リアルスコープ】ドリンクボトルはここにある

 

 F1ドライバーは酷暑のレースなら1レースで3kgも体重が落ちると言います。厳密に言えば、減っているのは体重ではなく水分です。ですからレース中にドリンクを飲んで水分補給をするのは非常に重要なことだと言えます。

 

 では、F1ドライバーたちが飲んでいるドリンクはF1マシンのどこに搭載されているのでしょうか?

 

 冒頭の写真は、オーストリアGP決勝直前のスターティンググリッドでAT-03のコクピットから取り外された角田裕毅のシートです。これのどこにドリンクボトルが搭載されているのか、分かるでしょうか?

 

 

 正解は、左脇腹の部分に固定されたカーボン製のケース。

 

 裏側から見れば、ケース内部からドリンクチューブが2本飛び出ているのが確認できます。片方はケース上面に伸びており、シートを取り外すことなくドリンクを注入することができるように配置されたものだと思われます。

 

 そして、もう1本のチューブがシートの左肩部分から首元まで伸びています(2箇所を白いスポンジとタイラップでシート裏側に固定)。

 

 その先端に弁が付いたコネクターがあり、ドライバーが乗り降りする際にヘルメット側から伸びたチューブの先のコネクターと接続することになります。

 

 ドリンクチューブ自体はシンプルな構造で、シート脇のドリンクボトルケース部分に電動ポンプが装着されていて、ステアリング上のドリンクボタンを押すとこの電動ポンプが作動してチューブからヘルメットへとドリンクを送り出す仕組みになっています。

 

 

 背中の部分には「5.2 CON DRINK」と書かれており、ドリンク込みで5.2kgという意味だと思われます。 シート自体は2kgほどの重量ですから、角田選手はドリンクを3リットル搭載していたのでしょう。

 

 

 シートの最も低いお尻の裏側部分には、「AT03-CH-12351-01」という部品番号の入ったバラストケースが搭載されています。体重と装備品とシート込みの重量80kgですから、体重の軽い角田選手の場合は総重量が80kgになるようにバラストをここに搭載しているわけです。

 

 

 ちなみに、メルセデスAMGのルイス・ハミルトンの場合は、シート裏側の両肩の部分に左右に分けてドリンクボトルを搭載しています。左右からチューブが伸び、そのまま首元へ。チューブが短い方がトラブルは減りそうですが、ドリンクの位置的に重心は高くなってしまいそうです。

 

 チームによってはドリンクが熱くなることを避けるためにノーズ内にドリンクボトルを搭載しているマシンもあります。

 

(text and photo by 米家 峰起)

 

 

 

 

  • コメント ( 2 )

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  1. kento

    F1模型を作っているので、こういうシートや、そこから伸びるチューブなどの写真はすごく参考になります。
    内側の写真ってあまりないんですよね。
    貴重な写真、ありがとうございます。

    • MINEOKI YONEYA

      喜んで頂けて良かったです。ヘッドレストを装着しているとシート周りは全然見えませんしね〜。

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