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REGULAR【連載】

【F1ギョーカイ用語】「SOLID BLUE(そりっどぶるー)」

 

「SOLID BLUE(そりっどぶるー)」

 

 これは2022年のモナコGPでちょっとだけ話題になったF1ギョーカイ用語です。英語で直訳すれば「硬い青色」ですが、果たしてF1ギョーカイ用語ではどんな意味が?

 

 F1ギョーカイで色を表わす言葉はいくつかありますが、これは色分けが意味を持つもの。例えば「イエロータイヤ」といえばミディアムタイヤを意味しますし、「イエロー」と言えばイエローフラッグ(黄旗)。「パープル」といえばベストタイム(タイミングモニター上で紫色で表示されるため)。

 

 ではブルーすなわち青色は?

 

 そうです、「ブルーフラッグ(青旗)」です。

 

 では「硬いブルーフラッグ」とは?

 

 これを理解するのには、ブルーフラッグの仕組みを説明しなければなりません。F1に限らず世界中のレースにおいて、後方から速いマシンが来ていることを知らせるためにブルーフラッグが使用されます。

 

 フリー走行や予選の際は、後方から速いマシンが来ていることを知らせるもの。そして決勝の際には「周回遅れのマシン」に対して振られ、「可能な限り早く譲りなさい」という指示になります。厳密に言えば、「譲ることができる最初のチャンスで譲らなければならない」です。決勝中に(振動ではなく)静止状態のブルーフラッグが提示されることがありますが、これはピット出口において「ピットアウトするマシン」に対して、本コース上にレーシングスピードで走行するマシンがいることを伝えるためのものです。ピットレーン出口の視界が悪かったり、合流地点がレーシングラインと重なっている等の場合にこうした措置が取られます。

 

 まだ「硬いブルーフラッグ」の意味が分かりませんね。

 

 F1(やそれと併催のF2、F3など)ではF1マーシャリングシステムというシステムが使用されており、各マーシャルポストにLEDパネルが設置され、マーシャルが振るフラッグとともにLEDにフラッグの色が表示されます。これがレースコントロールと連動し、セーフティカーやVSC、そしてブルーフラッグなどはレースコントロール側からコントロールすることができます。

 

 特にブルーフラッグに関しては、GPSと計時情報を元に自動的にブルーフラッグが表示され、対象となる周回遅れマシンのカーナンバーとともに青色の枠が点滅します。

 

 対象の周回遅れマシンに対しては、3秒以内に追い着かれた時に「事前警告」が行なわれ、間もなく速いマシンに追い着かれて譲らなければならないことが伝えられます。そして1.2秒以内に近付かれた時にカーナンバーとともに青枠が点滅し、いよいよ譲らなければなりません。

 

 これが「ソリッドブルー」です。

 

 周回遅れのマシンに対しても「もうすぐ●●●に対して(譲る)ソリッドブルーだよ」といったようにエンジニアから伝えられますし、譲られる側のラップリーダー側のドライバーにも「もうすぐ前の●●●にソリッドブルーが出る」と伝えて安心させることもよくあります。

 

 ドライバーが「ブルーフラッグ!」と興奮して訴えていることもありますが、全ては自動判別でコントロールされているので、ブルーフラッグが出ていないということは1.2秒以内に追い着いていないということです。ですから、1.2秒以内に入る少し前のタイミングでドライバーに「もうすぐソリッドブルー」と伝えて、次に譲られて抜くことになる相手を知らせておき、混乱が起きないようにするわけです。

 

 

(text by 米家 峰起 / photo by Alfa Romeo)

 

 

 

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