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【アブダビ合同テスト・1日目】ホンダ新井康久「問題は続発しましたが、予想通りです」
マクラーレン・ホンダとして初の本格的テストとなったアブダビ合同テスト初日は、僅か3回のコースインと実質2.5周という内容で終わった。午前中は丸々ガレージで過ごし、午後は連続走行を予定してたものの1周でストップ。それでもセッション後の新井康久総責任者の表情は明るかった。
ーー初テストの1日を終えて、今の心境は?
「トラックに出て良かったなと思いますし、ガレージがパッと開いてクルマが出て行く時にガレージの外にメディアの人たちがいて、『あぁ注目されているんだな』と。シルバーストンで走ったのとは全然違いましたね。一昨日までF1をやっていたリアルなサーキットでテストをして、このパドックを歩きながら、ようやくこのF1の中に入ってマクラーレンと一緒に仕事をしていけるんだなと感じました」
ーー今日は3回のコースイン、計3周という内容でしたが、気疲れの方が大きかったですか?
「いや、全然! こうやってにこやかに喋るくらいの余裕はありますよ」
ーーこのくらいの内容は予想していましたか?
「予想していましたし、トラブルの原因も特定できていますから。(初テストなので)いろいろ起きて普通なんじゃないかと思いますし」
ーー具体的に、どんな問題だったんですか?
「午前中に走れなかったのは、シルバーストンで走った後にクルマを一度バラして配線の取り回しなど調整したところが未確認だったので、その確認作業に時間が相当かかってしまったんです。アップデートというほどじゃないんですけど、多少変えているのでチェック項目が増えてしまっていて。それに一度切り離していますから、インストレーション(組み立て)する際に、シャシー、バッテリー、エンジン、ミッションと順番に付けていって、それにすごく時間がかかったんですね」
ーーERSのトラブル?
「トラブルじゃなくて、火を入れる前の段階でチェックをたくさんしていて、次から次へと『あ、これもチェックしなきゃ! これも確認しなきゃ!』とやっていたらどんどん時間がかかって、『あれ? お昼になっちゃった!』という感じだったんです。エラーが出るというか、『え、こういう数値になっちゃうの? じゃあ一度ハーネスを外してみよう』みたいな。そんなことの繰り返しで、何かを変えているわけではないんですけどね」
ーー午後に走り始める前に、何度かエンジンを回すような場面もありましたが、なかなか火が入らず。
「あれは火が入らないわけじゃなくて、実際にスターターで回してクランキングをしてエンジンをチェックしていたんです。10秒くらいクランキングをして、データをチェックして、だからしばらく静かだったでしょう? それが終わったら次の項目のチェックでまたクランキング、というのを何回かやって。エンジンがかからないわけじゃないですよ、そんな人聞きの悪い!(笑)」
ーーそして、午後になって3回コースインしました。
「午後はデータのアンマッチが起きて、それに気付くのが遅かったという感じですね。走り出してから、『データが違っていたね』というところがあって、途中で止めたりして。別に何かハードウェアが故障したわけではないです。1回目はドライバーが自身でエンジンを止めて入って来ましたし、2回目はコース上に止まって見事に赤旗の原因を作ってしまいましたよね(苦笑)」
ーーデータのアンマッチというのは、どういう状況ですか?
「あんまり詳しくは言えないんですけど(苦笑)、ハードウェアが壊れたというわけではなくて、コントロールデータが自分たちの想定してた数値と違ったというところが出てきたということですね。『ここはもうちょっと配慮しておけば良かった』といったような」
ーーシルバーストンでは出なかったものが、ここで走って初めて出て来た?
「そうです、あそこでは出なかったものがここで出た。あの時はたまたま上手くいっていたと言ったほうが良いのかもしれないですし。でも、ここで出れば(対策をして)次のランでは出ませんから、ここでたくさん勉強したと言えますね」
ーーマクラーレン側はデータ収集の問題だと言っているんですが?
「それも含めて未整合ということですね。もっと細かくデータをチェックしなければいけませんし、おそらく同じような問題は明日も起きるでしょう」
ーーそれはホンダ側の問題ではない?
「どちらのということではないですね」
ーー最高速は200km/hを下回るくらいで、ペースはかなりゆっくりでしたよね。
「まぁ、本当にチェックランですからね。ゆっくり走っていると“データ未整合”が出たのでピットに戻して確認をして」
ーープレコーション(事前警告)でカットオフするようになっている?
「そんなシャレたものはないです(苦笑)。外から見ると、(温度が)上がっちゃってエンジンが切れちゃったみたいに見えたかもしれないですけど」
ーー3回目の走行は問題なく1周して?
「いや、いろいろ問題は出ましたよ。これからデータエンジニアがチェックして、明日はいけるというふうに思っていますけどね」
ーーその時点で残り30分弱でしたが、そこで終了となりました。
「もう1回行こうかと思ったんですけど、マクラーレン側は脚回りのチェックなどもしていましたし、今日はもうやめとこうかということになりました」
ーー明日は?
「今日のデータを反映させて、9時から走る予定でいます。さっきもエリック・ブリエと話していたんですが、今日は3周で終わっちゃったけど、明日は頑張るか!と(笑)」
ーー何周くらい走りたい?
「AS MUCH AS POSSIBLE!(笑)。まぁ、テスト項目が決まっているのでむやみやたらに走るわけではないですけど、短い周回を重ねながらプログラムを消化していくという感じですね。今回はデータを取るのが目的ですからね。明日も逃げも隠れもしませんから!」
ーー今回ホンダ側の体制は?
「そんなにたくさんは来ていませんけど、ミルトンキーンズのメンバーと、日本からの出張者と合わせて十数人というところですかね。明日数えてみてください」
(text and photo by 米家 峰起)
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