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【アブダビ合同テスト・2日目】ホンダ新井康久「満足はしていない、しかし得たものも多かった」
アブダビ合同テストでテスト車両MP4-29H/1X1を走らせたホンダだが、2日目もトラブルに悩まされてエンジンに火が入れられず、大きく時間をロスして走行はわずか2周に留まった。ホンダのF1プロジェクト総責任者の新井康久氏にテストの総括を聞いた。
ーー今日も2回のコースインで合計2周という内容になりました。大変でしたか?
「今日も引き続き、という感じですね。やはり、たくさんコントローラーがあるというのは難しいですね。それを身をもって体験しました」
ーー朝から午後までずっと走れないままでしたが、どういう問題だったんですか?
「詳しくは言えませんが、システムが起動していくプロセスが不安定で、エンジン始動までいけないという感じでした。電源が入らないから、回せないという状態です。パワーユニットがダメとかいう以前の問題で、それぞれのコントローラーが起動する途中で引っかかってしまうという電気系統の問題ですね」
ーー朝からずっと同じ問題ですか?
「何が原因なのか、ずっと特定できなかったんです。それが特定できてしまえば『あぁ、なんだこんなことか!』という感じで、直すのは速いんですけど、そこを発見するまでが大変な1日でした」
ーーそれは昨日は起きなかった問題?
「昨日は起きなかったですね。いろいろちょこちょこ変えていますけど、それが原因ではないです。いろんなところにスネキズがある状態で(苦笑)、スネキズなんて書かれちゃったら困るんですけど(苦笑)、暫定テスト車両なので結構不安定なところがあるんです」
ーーそれで16時28分にインストレーションチェックを行なって、次に16時39分にコースインしたところで止まってしまいました。
「それもやはり、起動していたシステムが突然(電源が)落ちたのではないかと思います。テレメトリーも落ちていましたし、まだ(クルマからダウンロードした)データをチェックしていないのでなんとも言えませんが、システムチェック用に作った暫定車ですし、(回路の)途中にいろんな仕掛けを入れているというのもあるのかもしれませんね。まぁ、そのあたりはこれからの“夜の部”(データ解析)のお楽しみですね」
ーー昨日の夜は徹夜で準備作業をしたと聞いていますが?
「何時とは言いませんが、今日は朝から走れると思っていましたし、かなりの周回ができる予定でプログラムを組んでいました。昨日のトラブルの原因は全て潰して、セットアップもやったんですけどね(苦笑)。ちょっと言えないくらい朝の早い時間に一度エンジンもかけて問題なくかかっていて、その後テスト開始を前に『さぁいくか』とエンジンをかけようとしたらああなってしまって。そういう意味ではちょっと出鼻をくじかれた感はありますが、それでも別の収穫はありましたからね。いろんなことが起きてそれを直していって、不安要素はどんどん消していけますから。すごく有意義なアブダビテストでした。やってすごく良かったですよ」
ーーチーム内の雰囲気は?
「そうなってしまってからは、腰を据えて原因を見つけるしかないかという感じになっていました。そういう意味では良い2日間でしたけどね。走っていないので皆さんいろいろ言われるでしょうけど、どこが問題になるかということもだいたい特定できましたし、今回学んだものをきちんと整理して2月のヘレスで走らせるクルマに反映させたいと思います。単体のベンチテストでそれをやっていくことになります」
ーーマクラーレンとの連携は?
「もう完全に一体になっていますし、非常に良いと思います。人が一杯いて、なんだかよく分からないくらいですよね。だから、今日も(マクラーレンとホンダの)どちら側のトラブルだなんて言ってるような状態ではなかったですね。お互いに助け合いながらトラブルシューティングをしようという。コミュニケーションも良いし、一体感は非常に強いと思います」
ーーヘレスに持っていくのは今回とは違うバージョンのパワーユニットですね。
「違う予定です。もちろん本番用を持っていきたいですけどね」
ーー今回のテストは、やりたかったことの何%くらいできたんでしょうか?
「う〜ん、そこはやはり満足はしていませんよ。でも得たものも大きかったですし、それが今回のテストの総括ですね」
(text and photo by 米家 峰起)
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