RACE【レース】

20141201-01

 

 アブダビ合同テストを終えたロータスの小松礼雄エンジニアに、テストの収穫について聞いた。2015年用タイヤはテストせず、今季苦しみ続けた空力面の問題を理解し来季型マシンに生かすためのデータ収集に専念したという。

 

 小松エンジニアはFP-1でも走行したユーロF3チャンピオンのエステバン・オコンは速さもフィードバック能力を極めて高く評価している。また、小松エンジニア自身も来季は現場の技術責任者となるチーフエンジニアに昇格することが決まり、このテストからその立場で職務に当たっていた。

 

ーーアブダビGP後の公式テストも終わりましたが、今回のテストのプログラムは?

「今回は空力の理解力を深めるためのテストですね。今季型マシンの問題だった基本的な空力特性の理解のためと、シーズン中に問題があった空力パーツの個体差を確認するためと。フロアを換えたりしていたのはそのためですね。個体差は去年までもあったのかもしれないけど、もっとダウンフォースがあったしエキゾーストブローイングもあったので、隠されていたのかもしれないですね」

 

ーー2日目は新人ドライバー2人の走行でした。

「午前中は空力のデータ収集をいろいろやってんですけど、途中で冷却系が壊れたんで止まらなきゃいけなくて、エステバン(・オコン)の方は予定していたプログラムが全てこなせなかったですね。午後は初めてF1に乗るドライバー(アレックス・リン)だったから、ドライバーが何もやらなくても普通に走ってもらえればバックグラウンド(チーム側)でやれるデータ収集をやりました」

 

ーー2015年用タイヤも各チーム10セットずつ供給されていましたが?

「2015年用タイヤは無視しましたね。時間が余ったらやろうかなと思って一応2セットだけ用意はしてたけど、できなかった。昨日も最後に1セットだけ履いてウチらに必要なライドハイトのデータだけは取りましたけど、その後に走ろうかと思ったのも結局やらなかったし。

 今年のクルマで来年用のタイヤを走らせても、ウチらにとってはあんまり意味がないですからね。クルマが違えばタイヤの扱い方も全然違うから、今のクルマで走らせても意味がないんです。今回取ったデータで我々がどうこうできることはないんです。言うなれば、今回のデータ収集はピレリのためだけだから」

 

ーー特にロータスの場合は、来季はノーズも含めてクルマも大きく変わるし?

「こんな酷いクルマでデータを取ってもしょうがないですよね(苦笑)。クルマが大きく変わらないとヤバいでしょ?(苦笑) ノーズだけでなく車体本体も相当ヤバいですよ。もちろんクルマに問題がない人たちは、ここでデータを取っておけば先取りでやれることもあるかもしれないですよ。でもウチはクルマを直す方が先決だから」

 

ーーそういう意味では実りの多いテストでしたか?

「そうですね、予定していたことは9割方やれましたから。昨日のデータはほぼ分析は済んでるけど、今日やったことも結構面白いことがあったから、これから分析するのが楽しみですね」

 

20141201-02

 

ーーレギュラードライバーが走らなかったハンディはなかった?

「うん、まぁ問題ないです。もちろん、今日の午後の人とかは困りますよ、(F1初走行で)ベースがないから。でもエステバンとかシャルル・ピックなら走行経験があるからデータ収集という意味では問題ないです。シャルルは速くないけどベースがあるからテストにはなるから良いんです。エステバンはFP-1でもちゃんと乗ったし、感覚が良いから何の問題もなかったです。本当はエステバンが2日間乗ってくれた方が良かったんですけどね、僕的には(苦笑)」

 

ーーそんなにオコンは良いドライバーなんですか?

「彼はフィードバックが超良いですよ。まだ18歳でクルマの免許も持ってないけど、フィードバックがすごく正確で、細かくなきゃいけないところは細かくて、どうでも良いところはどうでも良いっていうのが明確。あのまま行けば結構すごいドライバーになるポテンシャルを持ってると思いますよ。感性はすごく良いと思うし、普通にやたら速いし。このあと3日間DAMSでテストして、来年はGP2乗るみたいですけどね」

 

ーー午後に乗ったアレックス・リンの方は? レッドブルの力で半日だけ乗ることになったそうですが。

「月曜日に突然決まったんで、よく分からないけど(苦笑)、GP3チャンピオンですよね? あ、マカオGPも勝ってるんですか? 速いですよ、どのくらい走れるかなぁと思ったけど、速いなぁ!と思いましたよ。ただ、時間がなくてまだタイヤの扱い方がどうとかいうところまではいけてないから、細かいことはまだ分からないですね」

 

ーー小松さん自身も来季からチーフエンジニアに昇格ということで、今回が新しいポジションでの初テスト?

「そうですね(照)、最終戦のレースが終わった瞬間から切り替わって、今回のテストからです。テストのプランも空力部門と一緒に僕が立てて、オーガナイズもやって。アラン・パーメインは現場のチーム運営が中心ですから、現場の技術面は僕が統括していくことになります。まぁ1年目はそのあたりの分担は緩やかになるとは思いますけど、今日も彼は1日オフィスから出てこなかったし(苦笑)、そういう意味では任せてくれているんだなという気がしますけどね。悪い仕事をしてたら『なんでこんなことやってるんだ!』って怒られてるだろうし」

 

ーー実際に新しいポジションでオペレーションしてみて、どうでしたか?

「レースエンジニアのように細かい部分をやらなくて良いから、そういうプレッシャーがないぶん、チームの全体像がよく見えるという面はありましたね。まだテストだから、どうですかね? 今年型の良く知ってるクルマでのテストでそんなに難しいことはないけど、来年の新車を走らせるテストでは結構大変だと思います。それに今回は1台しか走らせていないし、来年のレース本番でクルマが2台になれば大変だろうし」

 

ーー今日のセッション後にチーム代表と長々と話していたのも?

「あれはまた違う話ですよ、いろいろ言いたいことがあったんで(苦笑)。気をつけて言わないと僕もクビになっちゃいますけどね(笑)」

 

ーーマーク・スレードの上司になったわけですけど、彼が言うことを聞かなかったらどうしますか?(笑)

「聞かさせる(笑)。僕はあんまりそういうのは気にしないから、有無を言わせず従わせます(笑)」

 

ーー来年はメルセデスAMGのパワーユニットになりますよね。

「はい、全然楽しみです。ようやくこのエンジンとおさらばできる(笑)」

 

ーーアブダビGPの決勝ではパストール・マルドナドがエンジンブローさせながら、それでも火を噴くまでスロットルを踏みっぱなしで走って、それを見たチームスタッフが笑っていましたよね?(笑)

「あれが良く表現してますよね(笑)。上からはかなり怒られてましたけど、でもあんな感じですよ。ピストンが壊れたんですけど、最終戦でもブローするなんて、だらしないしふざけてますよね。その前もロマン(・グロージャン)のエンジンがブローしてるし。来年もルノー・エンジンだったら僕もこのチームに残ってないですね、やっても意味がないから。レッドブルのクルマなんて相当良いんですよ、それでもあの結果ですからね」

 

ーーもしレッドブルがメルセデスAMGのパワーユニットを積んでいたら?

「余裕でチャンピオンでしょ? “かも”じゃなくて、間違いなくね。あのクルマはかなりスゴいですからね」

 

ーーこれでようやく大変だった2014年のシーズンも終わりましたね。

「もう家に帰りたいです(苦笑)。ねぇ、そう思いません? みんな帰りたくないですか? 最終戦の後にテストをするなんて、誰のアイディアですかね?(笑)」

 

(text by 米家 峰起 / photo by 米家 峰起, Lotus)

 

 

Related Articles

Comment

  • トラックバックは利用できません。
  • コメント (1)
    • mitsunishira
    • 2014年 12月 01日

    アヤオシリーズ、やっぱいいですね!
    祝昇格です!!

コメントするためには、 ログイン してください。

Recent Post【最新の記事】

Calendar【日付で記事検索】

2019年12月
Mon Tue Wed Thu Fri Sat Sun
« Nov    
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031