04/07
【バーレーンGP・日曜日】メルセデスAMG「あれはチームオーダーではなく、2人ともに勝つチャンスがあった」
レース終盤に激しいバトルを見せたメルセデスAMGだが、セーフティカーからのレース再開直前にパディ・ロウから両ドライバーに伝えられた「2台とも確実にクルマを持ち帰ってくれ」という無線はチームオーダーではなかったとした。それぞれに異なる戦略を選ばせたことこそ、両ドライバーに優勝のチャンスを与えた証左だとトト・ウォルフは説明した。
ーー最後は迫真のバトルでしたが、その時の心境は?
「スタート直後のターン3からすでにドキドキだったよ(苦笑)。こんなのが1時間半も続くのだろうかと冷や冷やしたね。だからセーフティカーからのリスタートを前に改めてドライバーたちにあのメッセージを伝えたんだ。それを彼らはきちんと守ってくれたね」
ーーパディ・ロウからの「2台ともクルマを持ち帰ってくれ」という2人のドライバーに対する同様の無線は、ポジションキープのチームオーダー?
「いや、全くそうではない。あの交信よりも前に、事前に話し合ったことを忘れるなというセンテンスがあったんだ。あれは戦略的な指示(チームオーダー)ではなく、紳士的な“念押し”でしかなかったんだ。
我々チームの方針としては、後ろを走るクルマは前のクルマと違う戦略を採ることでしか勝つことは許されない。だからこそ2台で別々の戦略を選択した。つまり、それぞれに勝つチャンスのある戦略を与えたんだ」
ーーニコにルイスと違う戦略を選ばせた経緯は?
「我々はレース前に戦略ミーティングを行なって、最終スティントよりも前にミディアムを履く戦略は、最後にミディアムを履く戦略よりもシミュレーション上ではトータルで数秒だけ遅くなるだけでしかないということを確認していたんだ。ほぼ同じで、どちらの方が優れているというわけではなかった。そこでニコのレースエンジニアとチーフレースストラテジストがそちらを選んだんだ」
ーー最後にニコが逆転する可能性も想定していた?
「そうだね。しかしルイスがミディアムで最初の数ラップに素晴らしい走りをしたことで、そのチャンスは小さくなった。フォースインディアがすでにミディアムで好走を見せていて、ソフトとミディアムの差が想定していたよりも小さくなっていたことも大きかった」
ーーチーム代表として、あのチームメイト同士のバトルはどう感じましたか?
「間違いなく、これだけハイレベルなドライバーたちによるレーシングバトルを見られるのことは素晴らしいことだ。お互いにフェアで、リスクも冒すこともなく、なおかつ素晴らしいショーを披露してくれたんだ。F1の魅力が失われたと議論されている時だけに、F1のためにとっても素晴らしいことだと思う」
ーー危険だとは感じなかった?
「いや、彼らはチームがリスクを冒したくはないことをきちんと理解していた。ニコ(・ロズベルグ)はチャンピオンシップをリードしているし、(目の前の優勝ではなく)しっかりとポイントを積み重ねていくことも重要だしね。
ドライバーたちはチームが何のためにレースをしているのかを理解し、F1というブランドイメージをおとしめることのないよう理解した上でレースを戦うことが重要だ。我々はF1という非常に大きなブランドを背負っているんだ。その点でも彼らは素晴らしいレースを見せてくれたし、その方法も素晴らしかったと思う」
ーー今後もこんな(チームオーダーなしの)レースが見られるのですか?
「ああ、フロントウイングが無くなるまではね!(笑) そんなことが起きたら我々はまた戦略を話し合う必要が出て来るだろうけどね。でも彼らはレーシングドライバーだからね」
(text by 米家 峰起 / photo by MercedesAMG)
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