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【アプレゲールですいません。】自分にも書けると思うならやってみてほしい

20140225-01

 

「この程度の原稿だったら俺でも書けるわ」

 

 そんなことを言われることもあるし、そう思っている人も結構いらっしゃるかもしれません。

 

 そうですね、そうかもしれません。ぜひやってみてください。いや、ホントに。イヤミでも何でもなく、現場まで来て、取材して、原稿書いて。そういうことをやりたい!っていう人を待ってるんです。やりたいとおっしゃる人もいらっしゃいますけど、実際にやる人はいないんです。このままじゃこの業界も終わっちゃいます。

 

 確かに、お金もかかります。年間20回も海外旅行に行くんだから、頭がオカシイですよね(苦笑)。仕事をしていて普通の生活のある人には無理かもしれません。

 

 でも、本当に大変なのはそれだけじゃありません。例えばテストなら、朝9時にセッションが始まるから、朝8時とかにはサーキットに着いてなきゃいけない。で、朝9時から午後5時まではウロウロし続けます。メディアセンターでモニターを見ててもいいけど、数字だけじゃ何にも分かりませんから。履いてるタイヤは何か? ガレージでは何をやっているのか? コース上の動きはどうか? ガレージに人がいなかったらパドック側はどうなっているのか? その途中で顔見知りと立ち話をして驚くような情報が仕入れられたりして。

 

 そうやってウロウロしてネタ集めをし続けるんです。メディアセンターにいたら何にも分かりません。

 

 で午後5時にセッションが終わったら、ドライバーやチーム関係者を捕まえて話を聞きまくります。ドライバーはメディアセッションの時間が分刻みで決まっていますが、テストでは時間通りにいくことはまずありません。しかもあっちのチーム、こっちのチームと、時間がギリギリ被らない範囲で駆けずり回って一人でも多く話を聞く。その間にチーム関係者の話も聞く。どうしても聞かなきゃいけない人がいたら、他を捨ててでもそこで待っているしかない。

 

 それが午後7時過ぎまで続きます。そこから原稿を書き始めます。昼間はものすごい歩き回りますから、インプットでフラフラになりながら、ここからさらにアウトプットしていかなきゃいけないんです。コンピュータの前に座ってて上がってくる英語の記事を読んでるのとはわけが違うんです。その大変さを評価しろなんていわないけど、ネット見てるだけで自分が何でも分かった気になって、人のことを馬鹿にするのはやめてほしいんですよね……。

 

 終わってホテルに戻ったらもう深夜。でも翌朝はまた8時にサーキットへ。バーレーンだったら1時間前にはホテルを出なきゃいけません。正直言って、テスト取材はグランプリ本番よりも大変です。徹夜で仕事なんて日もあります(それは現地でよりも自宅での方が多いですが)。遊びじゃなくて、徹夜で仕事したことあります? 深く考えもせず簡単に「俺にも書ける」なんて言う人ほど、そんな大変な思いはしたことないんじゃないかなぁ。

 

 以前日本GPの時にいっしょに取材に来た人が、「こんなに大変だとは思わなかった」と驚いていました。「しかもこれに長時間の飛行機移動が加わって、それを2週間ごとにやるなんて、想像できない」とも。ある大御所ジャーナリストなんて、レース後の原稿を書くために体力を温存しなきゃいけないから日中の取材は最小限にする、なんていう本末転倒なことしてたりしますしね。

 

 別に大変さを自慢したいわけじゃないんですけど、こんなの相当な覚悟がないとできないし、チャラチャラやってるわけじゃないってことも少しは分かっていただきたいなぁと思ったりする今日この頃です。

 

(text and photo by 米家 峰起)

 

 

  • コメント ( 4 )

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  1. masayoriA

    現地に行って、リアルタイムでその場でレポートを上げているのは、日本ではF1LIFEだけでしょう。レースだけじゃなくてテストも。他はやりたくもできできない、あるいはやっていないじゃないですか。批判する方たちは、なぜ、現場に行かないと書けない記事ばかりなのがわからないのかなぁ。たいへんさ、覚悟は本当に米家さんのおっしゃる通りです。私も別分野ですが、原稿を書く仕事をしているのでよ〜くわかります。これからも体に気をつけて、がんばってくださいね。

  2. mitsunishira

    F1LIFEリニューアルに伴って、その苦労も十分報われる事を祈っております。
    頑張ってください!

  3. tonsukesan

    私も、分野は全く異なりますが、情報で飯を食っているので、苦労は分かります。徹夜も月に何度かします。まったく自慢になりませんね(苦笑)。本当に知りたいことは、ネットに転がってないんですよね。直接、相手に聞くしかない。そのコネクションが、その人の価値を決めるわけで…

    私は、商売上、フェイスtoフェイスで、クライアントに情報をお伝えするため、反応はダイレクトに伝わりますし、それが仕事のモチベーションにつながっています。しかし、米家さんのように、雑誌やWebなどの媒体を通じた情報発信スタイルだと、そういった双方向のやり取りが乏しいので、難しそうですよね。

    という訳で(?)、米家さんの五感を通した生のF1情報をいつも楽しみにしておりますので、これからも頑張って下さい!

  4. MINEOKI YONEYA

    みなさんコメントありがとうございます。

    『F1LIFE』をご覧になってくださっている方々はこのサイトでお届けしている情報の価値にお気づきだと思うのですが、世の中の大半の人は「どこにでもある情報」と「現地でしか得られない情報」の差というのが意外と分からないようですね。それは他のところに書いた記事に対するコメントなどを見ていても感じます。一生懸命に独自取材して書いたのに、「一通り情報をまとめたような記事」とか言われたら悲しくなりますよ(苦笑)。

    逆に言えば、その価値が伝わるように、ものすごく分かりやすい形でその情報を伝えなければいけないのかもしれませんが、きっとそうしなければ気付かないような人たちは“どこにでもある情報以上”のものを特に必要としているわけでもないし、それにお金を払おうという人ではないのかもしれないなと思います。

    そういう意味では、『F1LIFE』でこうして情報の価値が分かる方々にお届けできていて、なおかつ喜んでい頂けているのは幸せなことだなと思っています。

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