REGULAR【連載】

20140518-01

 

 今年のF1がかっこ悪いとか、遅いとか、音がイケてないとか、世間では色々言われています。

 

 でも、そういうことを言っている人のうちどれだけの人が実際にF1を生で見て言っているんでしょうか? 例えば日本のF1専門雑誌の編集者で、今年のF1を実際に見たことがある人はいないんです。テレビの解説者でさえも、川井チャンと今宮さん、津川さん以外はF1の現場に来たことなし。

 

 開幕前のテストから散々言ってきましたが、現物を見ればやっぱりF1はF1です。細かな造形なんて、他のレーシングカーでは絶対あり得ないような、つまり製造上の手間やコストなんて完全無視の複雑な3次元曲面をしていて、コンパクトに絞り込まれていて、美しく塗装されていて、やはり洗練されています。

 

 バルセロナでGP2とほとんどラップタイムが変わらないとか言われましたが、タイヤが違うんだからそんなもの比較してもしょうがないんです。GP2はソフトとハード、F1はミディアムとハード(しかも同じスペックでもGP2より1ステップ硬い)。タイヤが変われば簡単にタイムは変わるし、だから翌週のテストではマルシアが簡単にトップタイムを更新したりしたでしょう?

 

 そもそも、1〜2秒のラップタイムの違いなんて、コースサイドの観客席で見ていても分かりません。ひとつのコーナーでの差なんて0.2〜0.3秒。そんな差なんて分かるわけないんです(苦笑)。

 

 今年はスーパーフォーミュラが速くなったと騒がれていますが、速いからといって観客が増えるわけじゃないですよね。ファンが見たいのは速いだけじゃなく面白いレースであり、見に行きたいと思うのはお祭りとして楽しめるイベントですよね。

 

 実際、バルセロナでF1と同等の速さを見せたGP2を大勢のお客さんが見ていたかというと、全然そんなことありません。お客さんが観客席に座って見るのは、やはりF1だけなんです(もちろんGP2やGP3をご覧になる熱心なファンの方もいらっしゃいますが)。

 

 音は確かに静かです。僕だって昔みたいな甲高い音がした方が良いと思います。

 

 でも、排気量を小さくした時点で音量が小さくなるのは当然。回転数が低いから甲高い音じゃなくなるのも当然。ターボだから籠もった音になるのは当然。というわけで、今年のF1はトリプルパンチで音が小さくなったんですね。

 

 バルセロナのテストで試したトランペット型排気管は、音の籠もりを何とかしようというだけのもので、排気量の小ささや回転数の低さはいかんともしようがありません。GP2なんて4リッターのNAエンジンなんですから、回転数がほぼ同じでもF1より音量が大きいのは当たり前なんです。

 

 じゃあ、なんでこんなバカげたレギュレーションにしたんだ!?という議論になりますし、僕も最初はそう思いました。F1なんだからエコとか言わずにバリバリの性能追求で良いじゃん、と。でもFIAは「今ここで変えなきゃ、F1は維持していけない」と言いますし、実際にその通りだと思います。これまでのレギュレーションのままでは、自動車メーカーは参戦を継続する理由付けを失ってF1から撤退を余儀なくされるでしょうから。

 

 ステップノーズの時も2009年の前後ウイング変更の時も、新しいものに対してあれやこれや言う人は必ずいます。それまでの既成概念から抜け出せなくて、新しいものをすぐに受け入れられないんだと思います。でもF1は日進月歩で進んでいく世界なので、新しいものもすぐに当たり前になりますし、誰もがすぐに慣れてしまいます。

 

 要するに、頭が柔らかいか硬いか。こういう新しいものに対して文句を言っているかどうかで、その人の頭の硬さが分かるような気がしますね。

 

(text and photo by 米家 峰起)

 

 

 

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