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2014 Rd.4 CHINA

【中国GP・日曜日】マクラーレン今井弘エンジニア「ダウンフォース不足で苦戦。タイヤの悲鳴を聞いています」

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 この中国GPでも、マクラーレンはバーレーンGPに続いてメルセデスAMGユーザーの中でも最後方に沈む苦戦を強いられ、大きなトラブルがなかったにもかかわらずジェンソン・バトンが11位、ケビン・マグヌッセンが13位とノーポイントに終わってしまった。

 

 上海のサーキット特性から、苦しい戦いになることは分かっていたという。レース直後に走り終わったばかりのタイヤを念入りにチェックする今井弘エンジニアにその理由を聞いた。

 

ーー今週も厳しいレースでしたね。

「う〜ん、あんまり言うことはないんですが、速さが足りませんでしたね(苦笑)。フロントのダウンフォースが足りていないので、ここは全然ダメでしたね……グレイニングというか、それ以前に摩耗が進みすぎてダメでしたね。ここはフロントタイヤのグレイニングと摩耗が厳しいので。特に左ですが、右も左も結構キツいですね。我々のクルマはいつもフロントの摩耗が楽な方ではないので、ここは特に注意しなきゃいけないレースのひとつだったんですが、今年はさらにキツかったですね。

 それに、高速コーナーでプッシュできないと高い速度が維持できなくてタイヤに負荷をかけられませんから、昨日の予選のようにタイヤに熱が入れられないので、タイヤを機能させることができなくて厳しかったですしね」

 

ーー無理してプッシュしてしまうと、滑ってグレイニングが進んでしまう?

「いや、プッシュもできないと思います(苦笑)。そのくらいのレベルなんです」

 

ーー路面温度が低かったことも影響した?

「それもあったとは思いますが、たとえ路面温度が40度あったとしてもグレイニングは出ていたでしょうし、ダウンフォースが足りなくてフロントのスライドが多かったことが一番の原因だと思います」

 

ーー今日も走行後のタイヤの表面を随分じっくりご覧になっていましたよね。

「タイヤが『全然ダメだよ!』と文句を言ってるので、『しょうがねぇな』とその文句を聞いてるんです(苦笑)。タイヤが悲鳴を上げているので、その悲鳴がどうなっているのかという“話”をしているところです。

 レース中に走っているタイヤを自分の目で見ることはできないじゃないですか? テレメトリーのデータを見て頭の中でイメージをしながらタイヤの状態をモニターしているんですが、走行後のタイヤの摩耗肌を見れば走行中に何が起こっていたかを逆算することができますから、自分の頭の中のシミュレーションと合っていたかどうかというのを確認しているんです」

 

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ーー今日は他チームとは違った戦略を採りましたよね。ジェンソンは早めに入り、ケビンは1台だけミディアムでスタートして。

「ジェンソンの方は予定通りで、ケビンの方は1回目を少し早めに入りました。元々はもう少し第1スティントを長くしてソフトのスティントを短くしようと思っていたんですが、クルマのバランスがいまひとつであまりにペースが上げられなかったので、早めに入れてタイヤを換えてウイングをアジャストして挽回しようとしたんですけどね。ジェンソンの方は第2スティントが28周で最後はタイヤも結構ギリギリだったと思いますし、こちらもヒヤヒヤしましたけど(苦笑)。おそらく左フロントは完全にカンマ(完全摩耗)していると思いますし、ジェンソンもずいぶん『アンダーステアが酷い』と言っていましたけどね。

 まぁ、あれくらいしかやれることがなかったというのが実際のところですね。今の我々の状況では、他と同じことをやっていても仕方ありませんから」

 

ーー結果的に他と違う戦略を採ったのは正解だった?

「まぁ、順位(11位・13位)が表わしているように良いとは言えませんけど、何もやらないよりは良かったと思います」

 

ーージェンソンの方は、最後にソフトを履いてショートスティントでアタックというのは検討しなかった?

「やってもあのポジションまで挽回はできなかったと思いますし、11位を走っていましたから、前で1台いなくなるとポイントを獲得できますから、そのチャンスを残しておくというのが定石だと思うんですよね。だからコース上に留まっておくしかなかったんです」

 

ーー今回のアップデートは?

「フロントウイングの小さなものなどいくつかは入っているんですが、それでは全然足りないですね。もっと大きなネタがないと厳しいですね」

 

ーーアップデートが待たれるところですね。

「そうですね。もう少しダウンフォースが乗っかってくれれば楽になるんですけどね……次のバルセロナもサーキットの特性としてはここに少し似ているので、このままでは厳しいですね。どれだけ入れられるかはまだ分かりません、まだ2週間ありますから!」

 

ーーメルセデスAMG勢の中でもやや苦しい戦いを強いられていますが、開幕4戦を終えてこのポジションというのは予想していましたか?

「冬のテストからすれば、メルセデスAMGが抜けていてウイリアムズが結構良いペースでフォースインディアと我々が似たようなところかなと思っていたんですが、特にこのレースなんかは我々のクルマが全く合っていない状態でした。これはもうどうしようもなかったですね。しかしこのままじゃ全然許されないですからね」

 

(text and photo by 米家 峰起)

 

 

 

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