04/20
【中国GP・日曜日】小林可夢偉「最後は違うことをやろうと思って仕掛けた。レース短縮は全然気にしていませんよ」
マシンのダウンフォース不足でタイヤに苦しみ、パワー不足でストレートスピードに苦しむ。小林可夢偉は二重苦の中でマルシア勢と戦い、最後にジュール・ビアンキを追い詰めて抜き去った。
チェッカーフラッグを1周早く振るというマーシャルのミスにより、レースは無情の2周短縮となり可夢偉のオーバーテイクは幻となった。可夢偉は17位争いだから全然気にしていないとあっけらかんとしていたが、その追い抜きの裏側には、マシンの不利を補うための可夢偉らしい巧みな走りがあったことが可夢偉の口から語られた。
ーー最後はせっかくのバトルだったんですが、54周で終了ということで幻のオーバーテイクになってしまいました。
「いや、全然気にしてませんよ。別に良いですよ、このポジションやからどっちでも良いですよ。あれが10位争いやったら殴りに行ってるけどね(笑)。自分がやった(抜いた)ことは何も変わらないし、特に感情はないですよ」
ーーチームの方がガッカリしていた?
「まぁまぁ、どっちかっていうとそっちですね。(バトル中も)僕はどっちでも良かったんですけど、チームが抜けっていうから抜いたんで(苦笑)」
ーー最終ラップは素晴らしいバトルで、9階のメディアセンターからずっと生で見て興奮したよ!
「興奮しました!? 我慢汁出ました!?(笑)」
ーーどういう気持ちで戦っていた?
「チームが『プッシュしろ! プッシュしろ!』って言うんで、『これ抜かなあかんのやろな』って思って(笑)。チームからかなり“プッシュしろ感”は出てましたから。僕としてはどっちでも良かったんですけどね(笑)」
ーーチームの期待に応えられて良かったんじゃない?
「それが仕事なんで!(笑)」
ーー気持ちの良いバトルはできた?
「いや、それを目指してるわけじゃないから。気持ち悪くてもポジションが上の方が良いですよ」
ーーストレートが遅くて離されていたよね?
「遅いっす! 」
ーー残り数周の時点でチェコ(セルジオ・ペレス)に周回遅れで譲って、そのせいでいったんビアンキとの差が1.5秒まで開いてしまったよね。
「うん。もっと早く行かすんかなと思ったら、意外にビアンキが粘ったから。でも全然問題ないと思ってましたよ。ただ、どうやって(仕掛けて)いくかっていうのと、自分のタイヤを一回(冷やして)抑えなあかんなっていうことだけ考えてましたね。直線が遅すぎて、普通にDRSを使っても全然距離も縮まらないし追い付けなかったんで(苦笑)」
ーー最終ラップの追い抜きは、狙いすまして仕掛けたんだ?
「最後はなんか違うのをやらなあかんなって思ったうえで違うアプローチをしたんです。バックストレート手前のターン11でインに仕掛ける振りをしたらビアンキがインを締めてきたから、僕は元のラインに戻って普通にターン12〜13を曲がったらラインをクロスさせられたっていうことです」
ーーその仕掛けをしていなかったら?
「あぁ、もう全然無理やったでしょうね。あそこで初めてやったんです」
ーー直線の差はパワーユニットの差?
「まぁ、フェラーリのパワーユニットがアップデートしたというか、速くなった感じはありますね」
ーー今日の3回ストップ戦略は?
「タイヤのグレイニングが厳しかったんで、最初から3回のつもりやったんですけど、速いクルマ(ラップリーダー)がいっぱい来すぎて(譲らなければならなかったせいで)良くない方向に行っちゃいましたね」
ーーセバスチャン・フェッテルを一度抜いて、また先行させろ指示されるという場面もありましたよね。
「う〜ん、難しいですよね、あれは。こっちの方が全然速かったから」
ーータイヤのグレイニングも厳しかった?
「厳しいですね。てゆうかダウンフォースがないと何にしても厳しいですよね」
ーー金曜日の夜に決勝重視のセットアップをすると言っていたけど、目立った効果はなかった?
「そうですね……効果がなかったというか、(土曜の雨で)路面も悪かったですからね。そういう状況ではダウンフォースがないと厳しいですよね」
ーー今回はスタートもあまり良くなかった?
「そう、ホイールスピンしすぎて。その後のターン1のポジション取りで挽回したんです」
ーーそれを簡単に言わないで詳しく説明してよ(笑)。
「(笑)。1コーナーの進入でビアンキとか何台かに抜かれたんですけど、その後挽回して。1コーナーを外側をずっと行っただけです。でターン3でインに入ったかな? 僕もあんまり覚えてないけど」
ーー決勝直前にケータハムのメカニックがグリッドにフロントウイングを慌てて持って行っていたけど、直前に交換した?
「え、それを聞きます?(笑) いや、あれはグリッドガールのオネェちゃんがヒールでフロントウイングを踏んで壊しちゃったんですよ、マーカスのクルマのウイングをね(笑)。中国のモデルさん身長がデカいから、結構ウェイトありますよ、あれ。ヒールやし」
ーーちなみにケータハムのマシンは最低重量は下回っている?
「それ言ったらダメでしょ?」
ーーノーコメントってことは重いんじゃないの?(笑)
「いや、重くても言わないし、軽くても言わないです。それ言うと『お前また言うたやろ』って後でまた怒られるから」
ーー木曜日に言っていたように、ノートラブルの週末ではあったけど、あまり嬉しそうではないよね?
「まぁ、速くなかったですね」
ーー今週はザウバーと戦えればという期待はレース前からなかった?
「無理でしたね。それは最初から分かってました」
ーーでも結構長い間ロータスを抑えて走っていたじゃない?
「まぁ、(パストール・)マルドナドやから、何してたか分かってないでしょアイツは(笑)。でも抜かれてからは全然向こうの方が速かったですよね。タイヤが落ち着きだすと敵わないですよ」
ーーノートラブルというのは評価できる?
「まぁ、信頼性が落ち着いたのは良かったですね」
ーースペインGPのアップデートに期待するのみ?
「そうですね、TMGの風洞で開発したパーツが入るし。チームにはずっと言い続けてるんですけど、パーツが来ないことにはどうしようもないですからね」
ーーヨーロッパラウンドに向けて抱負を。
「久々にヨーロッパに戻れるなっていう気持ちと、アップデートが上手く言うことを願うだけですね。そのためにファクトリーに戻って散々文句を言いに行きます!」
(text and photo by 米家 峰起)
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- コメント (2)
エリクソンが最低重量の話をしてた気がしますが汗
テストでコバヤシ選手が「GP2より遅い」と放言してから、チームもちょっと神経質になっているんです。チーム側はコバヤシ選手が日本語で何を喋っているかはもちろん分からないので、余計に疑心暗鬼になってしまうんでしょうね。日本での報道内容をチェックしたりもしているようです。