RACE【レース】

20140130-01

 

 ルノーが足を踏み入れてしまった泥濘(ぬかるみ)は、恐ろしい底なし沼だったのだろうか。

 

 前日に発生したトラブルを受け、ビリ-シャチヨンで作られた対策パーツが組み込まれたパワーユニットは、合同テスト3日目の朝までに各ユーザーチームの元へ届けられた。しかしいざ走り出してみれば、またしてもトラブルが襲う。

 

20140130-02

 

 11時59分にコースインしたレッドブルRB10は、そのアウトラップにリアから煙を上げてコース上に止まった。その後に確認のためにコースへ出て行ったが、その結果は芳しくなく、彼らは2周しただけで走行を取りやめなければならなかった。

 

 トロロッソは朝から1分40秒代のスロー走行で騙し騙しの周回を重ねたが、1分20秒代に入れた途端にトラブルが発生し、コース上にストップ。その後セッション終了間際にもう一度コースへ向かったものの、ピットレーンを出たところでマシンを止めなければならなかった。

 

 ケータハムもただ“動いている”というだけで、ピットアウトとピットインを繰り返すばかり。タイム計測をするまでには至らずに3日目を終えた。

 

 前日に問題を起こしたパーツを対策品に入れ替えたところ、それが元で別の箇所に影響が生じ、別のトラブルが派生する。ルノーユーザーの3チームは問題の連鎖を断ち切ることが出来なくなった。

 

 ルノースポールのテクニカルディレクターである徳永直紀ら一部のスタッフはセッション終了を待たずにサーキットを後にした。おそらくはこの日のうちにパリへと戻り、最終日に向けた対策を講じることになるのだろう。いずれにしても、ルノーのパワーユニットは深刻な問題を抱え、泥沼にはまってしまった。それが底なし沼でないことを祈るばかりだ。

 

20140130-06

 

「メルセデスAMGとマクラーレンだけは真っ直ぐ立ち上がってくる。トロロッソはいつも横を向いているのに」

 

 コースサイドで撮影をしていたフォトグラファーが言う。メルセデス・ユーザーだけが際だって順調にテストを進めている。この日のタイムシートの上位3チームはすべてメルセデス・ユーザーだ。

 

 メルセデスAMGは最後にギアボックストラブルに見舞われて早めに切り上げたものの、62周を走った。初日を失ったマクラーレンは予定を変えて午前にジェンソン・バトンを走らせ、午後にケビン・マグヌッセンを走らせた。しかしルーキーにいきなり20周のロングランを任せるなど、仕上がりの順調さをうかがわせる。新人にピット練習を経験させる余裕まである。

 

20140130-03

 

 彼らと同じように気流センサーをマシンに取り付けてデータ収集をするところまで来ているのは、他ではフェラーリしかいない。フェルナンド・アロンソの初ドライブとなった3日目は、11時26分にコース上にストップする場面もあったものの、午後にはマシンセットアップ作業を進めるなど、すでに基本システムチェックは終えつつある。ドライビングフィールも従来型のマシンとさほど変わらないとアロンソは語る。

 

 午後3時になってマルシアもようやくマシンを完成させ、コースへと送り出した。この日は5周のインストレーションチェックのみの走行となったが、各チームが次々とトラブルに直面していることを思えば、ここでクルマを走らせることができたのは大きい。そうでなければ、机上でトラブルを見つけることなど出来ないのだから。そして、それがルノーのように泥沼の序章にならないとも限らない。

 

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 ヘレスに響き渡るエンジン音は低く、回転数は1万5000回転に遠く及んでいない。どのチームにしてもまだ全開で走ることは出来ていないのだ。メルセデス・ユーザー勢がライバルたちに差を付けたことは疑いようのない事実だ。しかしその差は、1年にわたって存在し続けるような決定的な差なのか、それとも全てが未成熟な環境の中での半歩程度の差でしかないのか。それはまだ分からない。

 

(text by 米家 峰起 / photo by Wri2, Mercedes)

 

20140130-05

 

 

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