レース終盤、ウイリアムズからは2人のドライバーに対してチームオーダーが発令された。しかしフェリペ・マッサはその指示に従わず、バルテリ・ボッタスを先行させなかった。ボッタスはそれに対して明らかに不服な様子だったが、マッサは自身の行動は正しかったと主張した。

ーー『チームメイトの方が速い』というメッセージにはどれだけ動揺しましたか？

「ちょっとだけだね（苦笑）。でもガッカリはしていないんだ。今日のレースはチームにとって良い結果だったからね」

ーーチームオーダー騒動について、どういう気持ちですか？

「特に言うことなんて無いよ。僕は最後まで戦っていたし、ジェンソン（・バトン）と差を縮めるチャンスを逃したくなかった。ただそれだけのことだよ。僕はずっとそうしてきたし、それが正しいと信じているよ。バルテリ（・ボッタス）だって僕を抜くのに苦労したわけだから、同じようにジェンソンを抜くのもそんなに簡単ではなかったはずだよ。とにかく最後までプッシュし続け、2台ともにポイントを獲れたことが重要だと思う」

ーー明確なチームオーダーが出されたにもかかわらず従わなかったのはなぜ？

「その指示が明確じゃなかったからだよ（苦笑）。僕は自分がやったことが正しいと信じているし、チームにとってベストなことをしたと信じている。それが一番重要なことだ。もし僕が彼を先に行かせていたとしても、結果は変わっていなかったはずだ。何も変わらなかったんだ。僕の見解としては、自分の行動は正しかったと思っているよ」

ーーレース後に話し合いをして、チームの雰囲気は？

「問題ないよ、問題ない。僕はチームを尊重しているし、チームも同じように僕を尊重してくれている。僕はチームを助けるためにやれるだけのことをやっているし、クルマを速くするために自分の経験を最大限に生かしてチームに協力している。だからこそチームも僕を尊重してくれている。今回のレース直後にだって僕に対する尊重は変わらなかったし、何も問題はないよ今日起きたことは予想外のことだったけど、僕は自分のしたことが正しかったと思っている」

ーー事前にチームオーダーについての話し合いはなかった？

「無かったね」

ーー驚きだった？

「いや、僕は気にしていないよ。問題なかったし、チームとの関係にも影響はないよ」

ーーレース序盤には『アイツがやったのを見たか？』と怒っていましたよね？

「いや、それは（ケビン・）マグヌッセンに対して言ったことだよ。僕が抜こうとしたら、彼が右に僕を押し出してきたんだ。1周目にジェンソンを抜いてさらにターン4の立ち上がりでマグヌッセンを抜こうとしたんだ。でも彼の反対側にはフェルナンド（・アロンソ）がいて、彼は僕の方に幅寄せをしてきたんだ。フェルナンドを抜こうとしたのかもしれないけど、それがあまりに危険だったから僕はそれを指摘したんだ。おかげで僕はターン5で完全にワイドになってしまって、それでジェンソンに抜かれてしまったしね。あれがなくてあの時点でマグヌッセン（とバトン）の前に出ていたら、僕のレースは全く違ったものになっていたはずよだ」

ーーなぜあれだけジェンソン・バトンを抜けなかった？

「マクラーレンは最終コーナーの立ち上がりのトラクションがすごく良かったんだ。僕らは最高速が速いけど、逆にトラクションは良くないから立ち上がりで大きく離されてしまって、ストレートエンドまでに追いつくことができなかったんだ。ターン14からのバックストレートでも、最終コーナーからのメインストレートでも同じだった。DRSがあっても追いつけなかったんだ。バルテリも同じ状況だったから、たとえ彼を前に行かせたとしても今日のマクラーレンをオーバーテイクするのはそんなに簡単ではなかったと思うよ」

ーー次週に向けての自信は？

「ここはダウンフォースが必要なサーキットで、それこそが僕らに欠けているものだ。僕らは第1セクターではすごく速かったけど、第2セクターでは0.8秒くらい遅かったし、セクター3でもいくらか遅かった。メルボルンやバーレーンに比べて僕らにとっては厳しいサーキットなんだ。来週では間違いなくもっとコンペティティブだと自信を持っているよ。来週のレースを楽しみにしているよ」

（text by 米家 峰起 / photo by 米家 峰起, Wri2）