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【マレーシアGP・日曜日】小林可夢偉「あと1時間でも走れた。ザウバーと戦えたかも」
マレーシアGPの決勝を終え、汗だくで疲労困憊の様子でマシンを降りるドライバーたちの中で、小林可夢偉は誰よりも平然とした顔をしていた。とても1年以上もF1のレースを走っていなかったとは思えないような姿。
ここまでトラブルに泣かされ続けてきた可夢偉だったが、平然とレースを走り切った。その56周の走りからは、ケータハムの今後に向けた良い面と悪い面が見えてきたようだ。
ーー今回は見事に完走できましたね。
「(今年になって)初めてフルレースディスタンスを走りましたけど、全体的にはスムーズなレースだったと思います。まず2台揃ってレースを完走できたことがチームにとってすごく良かったと思います。チームにとっては厳しい時間が続いていたし、メカニックもエンジニアも毎日長い時間忙しく働いてきましたから。ようやく普通のレースができて、ここから2014年のスタートが切れるという感じですね。まだまだやることはありますけどね」
ーーとりあえずホッとしたという感じ?
「ホッとしてる場合でもないと思いますけどね。来週もレースがあるし、この(バーレーンGPまでの)1週間で金曜からトラブル無くまともに戦えるようにしないとね。それで開発の面でも道を間違えずに進んでいけるようにすれば、最終的にはポイントを獲れるところまでは行けるんじゃないかなっていう気はしましたけどね」
ーースタートは良かったよね?
「スタート(発進)は前回も良かったし、あんまり悪くなさそうなんですよね、このチーム。今日もちょっとはホイールスピンしたし完璧ではないけど、周りに比べたら全然悪くなかったですからね」
ーー懸案の1コーナーのブレーキングも?
「誰もいないところ取りました(笑)。アウト側は誰もいなかったからね」
ーーあれは敢えて選んだんだ?
「敢えてですよ。またぶつかったら何を言われるかわからへんもん(苦笑)」
ーー問題の予兆はなかった?
「何も言われてなかったけど、気持ちがイヤじゃないですか?」
ーーでもフルブレーキングで?
「しましたよ、ちょっとビビりながらね」
ーー直後のターン4では目の前で接触があったよね?
「そうですね。サンドイッチ状態やったもん(笑)。でもまぁあの時点では冷静に見てましたよ」
ーーDRSを使ってロマン・グロージャンとやりあっていたよね?
「あぁ、スタート(直後の1コーナー)で邪魔されてちょっとイラっとしてたんですよ(笑)。アイツが幅寄せしてなかったら、多分もっとドンと前に行けたんですよ」
ーーレース中はトラブルもなく?
「なかったですね。ペースは速くはなかったけど、クルマ自体には問題はなかったです」
ーー2ストップというのは予定通り?
「いや、3ストップの予定でした。最初のピットストップの段階ではまだ3回のつもりで、次のピットストップの時に2回に決めましたね」
ーータイヤのデグラデーションは厳しくなかった?
「いや、そんなことなかったですね。第1スティントの最後だけでしたね。第1スティントは最初にちょっと頑張っ(てタイヤを酷使し)たから。でも第2スティントとかは安定してたし、最後にドカンとは来たけどオプションやからまぁしょうがないですね。ミディアムやから(落ち込みは)そんなに大したことはないし、耐えたけどね。
最終スティントはもう戦う相手もおらへんから抑えて走ってたし。一番重要なのはコンシステントに走ることですからね。速いクルマに抜かれるとマーブルを拾うし、そのせいでグリップを失ってペースも落ちるんです。だから無駄なポジション争いをしたってしょうがないんです」
ーー燃費マネージメントは?
「全然してないよ。何も指示されずに走りましたね」
ーークルマのペースは?
「遅いでしょ?(苦笑)」
ーーでもマルシアより前だったし、ザウバーともそんなに離されてはいなかったよね?
「今日はまず完走することを最優先に走ったけど、ちゃんと戦ってればザウバーより前に行ってたかもしれへんね。まぁ実際のところは分からへんけど、まだそんなことは気にせずに、そんなこと言ってる場合じゃないから。これが初めてのロングスティントで、セッティングもしてなくて、まだまだやることがいっぱいあるんやから。まだ開幕前から一切セットアップをしてないんで、それをやったらどれだけクルマに効果が出るかはまだ分からないんですよね(苦笑)。だからクルマを学ぶにはまだ時間が必要やと思いますね」
ーー1レースを走ってみて、体力的には問題なかった?
「いやぁ、レース(が終わるのが)早いなぁって思いましたね。あと1時間くらい行けますよ、僕。だって、24時間レースやってたんやから(笑)。アレに比べたら短すぎるわ!っていうくらい。暑さも余裕やったし。ドリンクも一応くわえてはいたけど、そんなに飲んでないしね」
ーー今後に向けて、進歩の可能性は感じられた?
「目標はポイントを獲ることですけど、現時点ではそんな争いはできてないし、前とのギャップはまだまだ大きいですね。伸びしろがどこにあるのかをちゃんと探して、そこを伸ばしていくことが大事ですね。一番のポイントは、開発(の方向性を)失敗しないことなんです。これだけ前との差が大きいと、相手が開発を失敗したときくらいしか追いつくチャンスがないと思うんです。こっちが成功しても向こうも成功してたらなかなか埋まらないと思います」
ーー完走して、チームの進歩は感じられた?
「そら、進歩しないとダメでしょ? もちろんチームは毎回、完璧なクルマを作ったつもりで持ってきてるわけです。でも思いもよらないトラブルが起きて……この結果で大喜びするわけにはいかないですけど、これでようやく信頼性の問題を解決できたんで、ここからはパフォーマンスを高めていくことの方に集中できますからね」
ーーヨーロッパラウンドが目標?
「まぁ、アップデートが入る予定ですね」
(text and photo by 米家 峰起)
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