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【マレーシアGP・金曜日】小林可夢偉「明日クルマが動かなかったら、祈祷師でも頼もうかな」
今週こそはしっかりと走り込み、次へと繋がるレースをしたい。そんな小林可夢偉の思いは、脆くも打ち砕かれた。これ以上不運が続くのなら神頼みでもするしかないという気分にさえさせられるような、マレーシアGPの初日だった。
FP-1を走り始めてたったの5周で彼のCT05にはトラブルが発生し、可夢偉はマシンを降りなければならなくなった。さらにはマシン修復に予想以上の時間を要することが判明し、あまりにも早い段階で可夢偉の1日は終わりを迎えることが決まってしまった。
「バッテリーを交換するためにフロアを取ったらオイルまで漏れていて、バッテリーの問題だけではなかったんで修復が間に合いませんでしたね。FP-1でトラブルが出て、マシンを開けたかなり早い時点でそれは分かってました」
「チームの作業が遅いからとかではなくて、単純にやることが多すぎて。バッテリーを交換するだけでギリギリかなっていうくらいやったのに、ギアボックスを外すってなると論理的に考えて間に合わせるのは無理という状態でしたから。メカニックが100人いたらもしかしたら間に合ったかもしれませんけどね(笑)」
FP-1の最初に走行した5周は、ERS(エネルギー回生システム)を使用しないセーフモードでのラン。マシンやタイヤのフィーリングを掴むことができるようなものではなかった。それができないままで土曜・日曜に臨むのは、この暑いマレーシアGPではオーストラリアGPよりも厳しいだろうと可夢偉は話す。
「リカバリー(エネルギー回生)も何も効かせていない状態で、まだまともに走れてなかったんです。マシンバランスもどうなるか分からないし、明日に向けてセッティングを変えるということも難しいですね」
「このコースでは前回よりもキツイでしょうね、きっと。温度がこんな温度ですからね。他のレースならバーレーン・テストのデータを参考にできるけど、このコンディションではバランスがとんでもないことになってるかもしれないですからね。それからクーリング(冷却)も確認しないといけないし、僕自身がタイヤをどうハンドリングするかというのも分からないし。今日走った5周だけでは全然そんなことは掴めてないから」
チームメイトのマーカス・エリクソンは計55周走ったものの、絶対的なペースは遅く、マシンやタイヤの評価をする上ではそのデータはあまり有益なものとは言えないようだ。
「比較できないですね。ルーキー(だから遅い)やし。彼もアタックもできてないし、まともに走れた状態ではなかったですしね」
「でもこれが今ある状況やし、やるしかないんで頑張ります。明日はなんとか気持ちを切り替えていきたいと思います。明日クルマが動いてくれなかったらもう、お祈りをしてくれる人を頼もうかなと思いますね。あまりに走れなさすぎるし、何しに(サーキットに)来てるのか分からなくなってきてますからね(苦笑)」
たったの5周しか走れないのでは、鍛えた身体には充分な負荷とは言えない。チームスタッフはクルマの修復作業があるが、可夢偉は有り余るエネルギーを消費し身体レベルを保つために、ホテルに戻ってトレーニングをすると言った。それは可夢偉がこの程度のことで落ち込まず、後ろ向きになっていない証拠だとみて良いだろう。
「僕はさっさと帰ってジムに行きます。今日は運動してないんで(苦笑)。サウナでランニングでもします!」
(text and photo by 米家 峰起)
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