RACE【レース】

20140128-05

 

「あと10分でマシンをコースに送り出すぞ」

 

 ケータハムの広報がそう声をかけてきたのは午後2時半だった。慌ててピットレーン出口のすぐそばにあるケータハムのガレージ前に行くと、閉じられたシャッターの向こうでは人の気配がした。

 

 朝の発表会には新車CT05を間に合わせることが出来なかったケータハムだが、なんとかマシン整備作業を終え、午後2時39分にエンジンに火が入る。チームクルーが狭いピットガレージの中でマシンを取り囲み、この日はステアリングを握らない小林可夢偉やロビン・フラインスも見守る中、しばらく暖機運転を行なった後で、真っ白なレーシングスーツを着たマーカス・エリクソンがコクピットに座る。

 

 午後3時ちょうど、真っ白な衝立が開かれ再びエンジンに火が入る。姿を現わしたCT05に、一斉にカメラのストロボが浴びせられる。しかしエンジンストップ。データ上で何らかの不具合が見つかったようだ。衝立は閉じられ、2分後に再びエンジン始動。ガレージを出ようとするが、今度はクラッチを上手く繋げられずにストール。新人らしい場面だとも言える。

 

 可夢偉はガレージの中でケータイのカメラで写真を撮り、Twitterでツイートしている。報道陣が待ち受けるピットレーンに出ていくことはしなかったが、機嫌は上々だ。

 

 午後3時9分、ついにCT05はガレージを後にしてコースへと出て行った。ゆっくりと、こわごわと、マシンの一つ一つを確かめるようにエリクソンがマシンを走らせる。

 

 1周してピットレーンに戻ってきたマシンは、ガレージ前に停められてそのまま衝立の奥へと押し込まれる。

 

 その後、CT05が再びコース上に姿を見せることはなかった。エンジンにトラブルが見つかったため、それ以上の走行は控えざるを得なかったのだ。たった1周のインストレーションチェックだけを終えて、ケータハムのヘレス合同テスト初日は終わった。

 

20140128-06

 

「見た目がどうかなんて関係ないよ、僕にとって重要なのは、速いかどうかだ」

 

 エリクソンはそれでも嬉しそうに語る。2日目も彼がドライブし、3日目はフラインス、そして4日目が可夢偉の番だ。もし4日間とも晴天ならば、最終日は散水して人工的にウエットコンディションのテストを行なうことになっている。可夢偉にとっては嬉しいことではないが、最も経験あるドライバーだからこそ出来るテストでもある。

 

 いずれにしてもケータハムと可夢偉は、こうして2014年シーズンのスタートをなんとか無事に着ることが出来たのだ。

 

(text by 米家 峰起 / photo by Caterham)

 

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