RACE【レース】

20140325-10

 

 オーストラリアGPでスタート直後にクラッシュしてリタイアした小林可夢偉ですが、海外の一部のファンから批判を受けて「トラブルだったのに、クルマを降りてプッシュバックしろっていうの?」と反論したりしていましたね。実は、海外のファンが可夢偉のミスで事故が起きたと誤解しても仕方ない背景があったんです。その舞台裏をご紹介しましょう。

 

 レースに参加したドライバーは全員、レース後に世界各国のTVレポーターが待つ「FIAペン」、いわゆるTV囲みに立ち寄ってコメントをしなければならないことになっています。サッカーでいうところのミックスゾーンというやつですね。

 

 レースを完走したドライバーはパルクフェルメにクルマを止めるとそのまま広報スタッフに付き添われてFIAペンに向かうのですが、レース途中でリタイアしたドライバーもここに行かなければなりません。今回の可夢偉選手の場合は、まだレースが行なわれているさなかのリタイア直後にFIAペンを訪れ、各TV局のインタビューを受けていました。

 

 その中で、イギリスのSKYはその模様を生中継で放送していたんです。

 

 まだリアブレーキのトラブルは分かっていませんでしたから、可夢偉選手は次のように自分のミスだと正々堂々と認めて謝罪していました。

 

「僕のミスです。ブレーキのウォームアップが充分じゃないと知らされてはいたんですけど、ターン1でブレーキを踏んだら全く効かなくて、誰かに当たってしまったんです。エクストラフォーメーションラップをしたせいで余計に冷えてしまったのかもしれません。全然ブレーキがなかったし、グリップもなかった。でも自分のミスであることは事実だし、申し訳ないと思っています」

 

 もちろんその後、ERS(エネルギー回生システム)のトラブルでリアブレーキが効いていなかったことが判明するのは、マシンがガレージに返ってきてから。プレスリリースなどではブレーキトラブルが原因であったことを伝えましたし、スチュワードの聴聞にもロガーデータを持って行ってトラブルであったことを認めてもらいましたが、海外のほとんどの人はケータハムのような下位チームのことなんてそこまで真剣に気に留めていませんから、中継の中で「僕のミス」と話した印象だけが残ってしまいますよね。

 

20140325-11

 

 実は同じFIAペンのTV囲みでフェリペ・マッサも可夢偉のことを非難するコメントをしていて、それも生中継されていたから、余計にそういう印象が強くなってしまったんです。仲の良い相手だけに、名指しで批判こそしませんでしたけどね。

 

「開幕戦なんだから、あんなことはすべきじゃないよ。いつもより(マージンを持って)50m手前で踏むくらいじゃなきゃダメだよ。本当に危険だったしね。あれじゃスパのグロージャンみたいなもんだよ」

 

 もちろんマッサもその後この発言を撤回しましたが、テレビ中継ではこのコメントしか流れなかったわけですから、SKYを見ていたイギリスの視聴者にとっては全面的に可夢偉選手に非があるという印象になってしまったことでしょう。

 

 レース中にこうして生のドライバーの声が聞けるのは視聴者としては嬉しいですし、たいていの場合は特に問題もないはずですが、時にはこういう誤解を生む結果になってしまう可能性もあるということは考えなければなりませんね。もちろんSKYはレース後もパドックから長々と生中継をしているので、その中で訂正の情報は届けたとは思いますが、全員がそこまでチェックしているとは限りませんしね。まぁ、いずれにしても日本のテレビ放送事情を考えると、なんとも羨ましい悩みといったところでしょうか……。

 

(text by 米家 峰起 / photo by Caterham)

 

 

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Comment

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  • コメント (2)
  1. bule
    • bule
    • 2014年 3月 26日

    マッサのコメントは、他のF1情報サイトだともっとキツイ表現だったので、気になっていました。
    それに、マッサがコメントを撤回した情報は目にしなかったので。
    カムイには、次のマレーシアで、批判コメントを言っている人々に、見返せる成績を残して欲しいです!

    • MINEOKI YONEYA
      • MINEOKI YONEYA
      • 2014年 3月 26日

      マッさんもコバヤシ選手同様にリタイア直後の状況が分かっていない段階で話したことがバ〜ッと一人歩きしてますからね。

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