RACE【レース】

20140319-03

 

 新人ケビン・マグヌッセンが2位表彰台を獲得し、ジェンソン・バトンも10番グリッドから3位まで強力な追い上げを見せた。マクラーレンの今井弘エンジニアは、同じパワーユニットを使うメルセデスAMGに車体性能で劣っていることは認めながらも、すでにパワーユニットの信頼性に左右される時期は過ぎ、マシン開発が本格化していくだろうと語った。

 

ーー開幕戦を2位・3位で終えましたが、満足のいく結果ですか?

「本当は1位・2位でなければいけませんが、現実的に考えれば比較的上手くいったレースだったと思います。もちろん何台か自滅しての結果ですから、手放しでは喜べませんけどね」

 

ーーレッドブルのパフォーマンスについては?

「彼らはテストで全然走っていなかったので、我々としてもどう考えて良いのか分かりませんでしたが、クルマの空力性能・メカニカル性能がすごく良いということは分かっていましたから、(パワーユニットが)ちゃんと走りさえすればすごく速いだろうとは思っていましたし、実際にその通りの結果でしたね」

 

ーーマクラーレンとしては、今日のレースでは何が焦点になると考えていたんですか?

「どのくらい燃料をセーブしなければいけないのかということと、燃料をセーブしながら走っているとタイヤも含めてクルマの他の部分にも影響を与えるので、それをどう上手くマネージメントするかというところが厄介だなと思っていました。テストで色々と試していて、こうなったらこうする、という対策をいろいろと用意して臨んではいましたが、実際レース状況では周りのクルマとの競争関係もありますから、どうなるか分からない部分もあると思っていました」

 

20140319-05

 

ーーメルボルンは全開率が高くて燃費的にも厳しいサーキットですが、実際に燃費はどうだったんですか?

「セーフティカーが入ったので随分楽になってしまいましたね。もしあれがなければ、最後は燃費の問題でゴチャゴチャっていう別の展開も見られたかもしれませんね。もしかすると我々はレッドブル(リカルド)に対してはアドバンテージがあったかもしれません。我々は燃費的には最後に余裕があったので、やれることはなんでもやろうということで、ケビンにはオーバーテイクボタンも使うように指示しましたけどね。

 あと、再スタートになったので58周ではなく57周で100kgの燃料を使えることになったというのもちょっとややこしかったですね。(エクストラフォーメーションを走ってもまだ100kg残るだけ)余分に燃料を積んでいれば、それも可能だったわけです」

 

ーーエクストラフォーメーションラップの時は、忙しかった?

「そうですね、タイヤとブレーキの温度が下がることもありますし、逆にパワーユニットの熱対策もありますしね。どこが妥協点なのか、あの2周の間は(エンジニアが)結構ワーワー言いながらやってましたね」

 

ーージェンソン・バトンはセーフティカーが入った絶妙のタイミングでピットインしましたね。

「そうですね、無線で呼んだんですが、その前に入って来てましたね(苦笑)。ステアリング上のダッシュボードにSCDと表示されるのを見たんですね。「この周回以降にセーフティカーが入ったら即ピットインする」というセーフティカーウインドウはあらかじめ決めてありますし、彼の決断というよりは決めた通りの行動ですけど、あれで4台くらいポジションを上げましたからね。あれは非常に良い判断でしたね」

 

ーージェンソンは2回目も早めのピットインでしたよね。

「渋滞に捕まっていましたからね。渋滞の中で走っているとかなりペースをロスしていたので、クリーンエアならもっと速く走れるということは分かっていたんです。ただし、(交換した後の)新品のミディアムがソフトの中古で走っている人たちよりどれだけ速いか、あるいは遅いかというのがポイントだったんですけど、結構そこは判断が難しいところでしたね。でもタイヤ交換後の数ラップはジェンソンもよくプッシュしてくれて、上手くいきました」

 

ーー新人ケビン・マグヌッセンのレース運びについては?

「テストの時から、速いしコンシステントだということは分かってイマしたけど、その通りの結果でしたね。予選の時にはちょっと飛び出しましたけど、少なくともレース中は全くミスをしませんでしたしね。だから上出来ですね」

 

ーー終盤はダニエル・リカルドとのバトルになりましたね。

「向こうのことは分かりませんが、突然2〜3周の間、秒単位でラップタイムが落ちていましたから、何かやっていたみたいですね。燃費ではなくて、ERSの回生とかタイヤのタレとか、その辺りではないかと思いますね」

 

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ーー対メルセデスAMGでは、差を付けられたという印象ですか?

「実質的なペースはそんなに離れてはいなかったんですが、ペースの点で負けたことは事実ですね。PUが同じですからこれは空力面の差だと思いますし、やっぱりダウンフォースがもっと欲しいですね。メルセデスAMGはレースペースでは随分余裕を持っていたでしょうし、それだけでなくレッドブルも速いですし、フェラーリもポテンシャルは高くて、ちゃんと走れば速いと思いますし。ウイリアムズもクルマそのものは非常に速いと思います。昨日の予選で上手くいかなくて、今日のレースでも渋滞にはまって前に出てこられなかったようですから、まだ本当のパフォーマンスはちょっと未知数ですね」

 

ーー今回のアップデートはフロントウイングだけですか?

「フロントウイングだけですね。フロントだけでなくマシン全体のダウンフォースが増大していますし、効果は大きかったと思います」

 

ーー開幕前にはパワーユニットの信頼性が懸念されていましたが、実際に開幕してみて今後の展開はどうなっていくと思われますか?

「さすがF1ですよね、最初のテストはあんな状況でしたしあれもたかだか1カ月ちょっと前のことですけど、全く別の世界ですよね。ヘレスの時は最初に『無事にエンジンがかかって良かった!』っていう世界でしたけどね(苦笑)。もうパワーユニットの影響でクルマの開発が遅れるというような時期は終わったと考えて良いでしょうし、もうパフォーマンスをどれだけ煮詰めていくかという、例年と同じようなプロセスに入っています。ここからは空力を初めとした車体開発の勝負です」

 

(text by 米家 峰起 / photo by 米家 峰起, Wri2)

 

 

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Comment

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  • コメント (3)
    • mitsunishira
    • 2014年 3月 20日

    ジェンソン、クールですね~。かっこいい。
    今井さんの囲みの写真も、初めて見ました。新鮮でした。雰囲気がとてもよく伝わってきました。どうもありがとうございます。
    「PU熟成に左右される段階はもう終わった」というのは、ルノー勢も、そうなんでしょうかね???

    • MINEOKI YONEYA
      • MINEOKI YONEYA
      • 2014年 3月 21日

      今井さんへの取材というのはチーム公認ではないので(苦笑)、レース後にタイヤを見ている今井さんを捕まえて話を聞くという自然発生的な感じなんです。今回のようにその場に何人か日本人ジャーナリストが居合わせてカコミっぽくなる時もあれば、1人で話を聞く時もあります。他のエンジニアの方々も同じで、話が聞けるかどうかはタイミングと運に左右される部分もあります。

      ルノーの徳永さんはグリッドに向かう直前に話を伺って、「予選後に対策はしたし、心配もあるけど大丈夫だとは思う」とおっしゃっていたんですけどね(苦笑)。ルノーとフェラーリはまだPUの熟成が必要な様子ですね。

        • mitsunishira
        • 2014年 3月 23日

        なるほど~。なかなか、貴重な写真じゃないですか!
        PUの話も、どうも有難うございました。

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