07/19
【ドイツGP・金曜】小林可夢偉「焦げ臭くなってパワーがなくなり、止めるしかなかった」
FP-1ではマルシア勢を上回る走りを見せて期待を抱かせたケータハムだが、FP-2では小林可夢偉のマシンから失火。可夢偉はマシンを飛び降り、自分で消火器を持って消火活動を急がなければならなかった。その模様を振り返って語ってもらった。
ーーFP-2ではマシンが炎上してしまいましたが、原因は?
「多分、燃料漏れかなということみたいです。明日はまたクルマの半分、下半身は全部新しくなってるようなもんやから、トラブルが出ないことを祈るだけですね。流れとしては残念ですね」
ーークルマのパワーがいきなりなくなったという感じ?
「いや、ヘアピンを立ち上がったところで最初になんか焦げた臭いがして、『なんか臭いけど!?』って言ったんですけど(チームからは)何も返事がなくて、おかしいからゆっくり走ってたんですけど、そしたらクルって回るところ(ターン13)でブレーキがなくなって、まだエンジンのパワーはあったからピットに帰れるかなと思って帰ろうとしたんですけど、途中でレスポンスもなくなりました。多分、燃圧が落ちたんでしょうね。それに、なんとなく火が出てるような気もしたから、消火器の近くのところまで行こうと思ったんですけど、周りを見てもファイヤーステーションがなくて。あそこにたどり着くのがいっぱいいっぱいでしたね」
ーー無線でチームから止めろと指示された?
「いや、『ブレーキなくなった』って言うても返事がなくて、そのまま『あ〜クルマが燃えてる!』『もう止まる!』って僕が一方的に喋り続けて(返事がないまま)脱出しました。ピットレーンに入ろうとしてUターンすると抵抗で速度が落ちるからその力もないやろし、グラベルを走ったら止まるやろし、あそこが一番みんなを邪魔せずに止められるかなと」
ーークルマを飛び降りたのは?
「だって、無線で何も言ってくれへんから、ERSが安全かどうかわからないじゃないですか? そんなところで死にたくないでしょ?(苦笑) ああいう場面ではどんなことがあっても飛び降りた方が良いんですよ。地雷の上に乗って走ってるようなもんですからね」
ーーステアリングを持ったまま飛び降りたよね。
「ステアリングが大事やっていうのもあるけど、ステアリングを付け直してる時間もないしね。もう結構煙が出てたしね。5秒を争うような状況で、そんな呑気にステアリング付けてたらダメでしょ? ビリビリってくるかもしれへんし」
ーーブレーキがなくなったと無線で言っていたから、ERSのトラブルかと思ったけど?
「いや、多分ブレーキのセンサーか配線が燃えたんでしょうね。カウル内はとっくに燃えてたから」
ーー消火器を持って自分で消火活動をしていたよね。
「最初一人ばっと来てくれたんですけど、消火器1個じゃ足りへんのにもう一人のマーシャルのオネェちゃんは普通に立ったまま見てるから、それを取って自分でかけたんですよ。
それでまた、マーシャルたちが煙が出てるところに消火器をかけようとするんですよ。でも煙って(カウルの)穴が空いてるところから出てるだけで、『そこじゃないよ』って言うて。どうでもいいとこまで消火器をかけると、そこまで換えなきゃいけなくなるし。洗車してるんじゃないんやから、ボディにかけてどないすんねん!って(苦笑) 中にピンポイントでかけなあかんのに。ドイツ人って頑固やから、言うても全然やってくれないんですよ。火が出てるから『ここを見ろ!』って言うてるのに、それも見てくれへんし。ドイツ人って頑固やなぁって思いましたけど(苦笑)」
ーースーパーソフトの方を試せなかったのは痛かった?
「そうですね、この暑さやからロングランはしておきたかったですね。でもまぁ、みんな結構タイムアップしてるみたいなんで、(タイム的には自分たちも)なんとかなるとは思いますけどね」
ーーFP-1の感触を見る限り、今週はクルマとしては悪くない?
「クルマのパフォーマンスとしては満足できる感じではなかったですよ。エンジン的にもこの温度(暑さ)では結構厳しいみたいで、かなり安全目に振ったセッティングなってて全然パワーがなかったし。でも(タイム的には)いつもと比べると、そこまで悪くはなかったですね。(オプションタイヤでアタックして)パフォーマンスを確認できなかったのは残念ですけどね」
ーーマルシアとは戦えそう?
「いつもよりは悪くないかなと思いますよ。上手く行けばなんとかなるんじゃないかと思いますけど、走れてないんでなんとも言えないですね」
ーーじゃあ、明日は新しい下半身で元気に走ってもらって!(笑)
「ねぇ!(笑) 『あれ!? こんな元気良かったんや!?』みたいなね(笑)」
(text and photo by 米家 峰起)
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