REPORT【報道】

20140308-06

 

 小林可夢偉にF1復帰までの道のりと、このF1復帰への思いを聞くロングインタビュー。「今年F1に乗れないなら、レースを辞めようとさえ思ってた」(1/3)「GTに乗ってみて、やっぱり自分が戦うべき場所はF1なんやなって思った」(2/3)に続いて、F1から離れていた1年間で一番つらかった時期のこと、そしてレースだけでなくPRイベントなどにも引っ張りだこで我々の目に見えないところでも多忙を極めているという今の生活を語ってもらった。

 

 それを受け容れてでも乗りたかったF1に復帰し、なり振り構わずがむしゃらに戦いたいのだと可夢偉は今の素の心を吐露してくれた。「美しくなくていい」と語る可夢偉の目は、明らかに1年前とは違い、一回りも二回りも成長していた。

 

*  *  *

 

ーーこの1年間、諦めそうな時やツラい時もあったって話していたよね。

「そら、ツラいでしょ」

 

ーー一番ツラかったのはいつ頃?

「いつが一番ツラかったかなぁ……でも、一番最初の頃が一番ツラかったかな。『KAMUI SUPPORT』をやり出した時が一番ツラかった。あれが一番ツラかった。だって、世間でも色々言われるし、周りの人もみんな反対するし。誰一人、賛成してくれへんかったから。最後までみんなに反対されてた」

 

ーーそれでもやり抜いたわけだよね。

「やり抜いたっていうか、俺がワガママやから『許さへん!』って言うて(苦笑)」

 

ーーそれでも、それがこういう結果に結びついたわけだよね。

「それは結果論やからどうなってたかは分からへんけど、一番嫌なのは自分がじっとしてることやから。『なんかしないと』っていう気持ちだけやったんですよ。僕は神様じゃないから、それが正しいか間違ってるかなんて分かるわけない。でもひとつだけ言えるのは、結局は自分の人生やから、リスクを負うか負わないかは自分で決めるべきやっていうことなんですよね。

 今だって、これ(F1復帰を選んだこと)が正解かどうかなんて分かってないから。正直なところを言うとね。ただ、F1に戻るっていうことはできたし、今は精一杯やれることをやるだけ。(ノーギャラで走ることを受け容れて)F1が仕事じゃないっていうことが決まったしね」

 

ーー今年はそれだけの気持ちで臨んでいる?

「モチベーションのレベルもすごいですよ。今クッソみたいに働いてるけど、俺、金貰われへんのやなってふと思ったりするんですよ。でもなんでこんなに働いてんねやろ?って。酷いんですよ、俺のスケジュール!(苦笑) ヤバいで、なんで俺ここまで働くの!?っていうくらい働いてるから。でもそれでも楽しくやれてて」

 

ーーその忙しさは、レースに関係ないことも含めて?

「そう、レース以外の仕事もいっぱい。エグいで、マジで。でもね、それを分かってるから。チーム側としても、今までのドライバーとは違ってこういうこともやって貰いますよ、っていうのを踏まえた上で契約してるわけです。小林可夢偉ならこうやって使える、っていうメリットも踏まえてね。『俺はマスコットか!』って思うけどね(笑)」

 

20140308-05

 

ーーでも、そういうこともF1ドライバーとしては重要なんじゃないの?

「重要ですよ、そう、重要なんですよ。分かりますよ。ただ、シャワーくらい浴びさせてくれよ、と(笑)。それくらいのスケジュールでやってくれって言われるわけですよ。(オーストラリアGP翌日午後に名古屋のイベント出席のため)レース後にシャワーも浴びずにそのまま飛んでくれって。それも、ビジネスが空いてへんかったから、プレエコでええか?って言うし(苦笑)。もう楽しむしかないでしょ? 楽しみますよ、とことん!

 今ね、僕クルマにしか興味ないんですよ。周りの人たちに心配されるくらい、女の子にも興味ない(苦笑)。でもね、それもザウバーでの3年間があったからやれてるんですよね。何もなかったらやれてないで、この余裕では(苦笑)」

 

ーー今年F1に乗って、その先のビジョンみたいなものは何かある?

「何か明確なビジョンがあるわけじゃないですよ。とりあえず今は、毎戦頑張ってみよかなっていうだけ。毎日頑張るっていうだけですよ。先のことなんて何も考えてない。そんな人生も悪くないかなって思ってるんです」

 

ーー今シーズン、どういう風に戦っていく?

「毎戦楽しんで、自分が思ったことをやって、わけのわからんヤツが出て来たら殴るぐらいの気持ちでやったろかなって思てるけどね、ホンマに(笑)。中途半端に『う〜ん』ってなるんじゃなくて、自分の意見を貫いて、殴ってでも自分のやりたいことを自分のやり方でやり切ったろっていうこと。仕事じゃないから、美しくなくても良いんです。男臭く、泥臭く、泥水すすってでもいきますよ!」

 

20140308-07

 

(text by 米家 峰起 / photo by 米家 峰起, Wri2)

 

 

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  • コメント (3)
  1. senju1027
    • senju1027
    • 2014年 3月 10日

    魂の叫びが聞こえるようなインタビュー、ありがとうございます。

    可夢偉選手を信じられる人達の中で、出せる人がKAMUI SUPPORTに応えているんでしょうが、ご本人としてはこういう呼びかけをすること自体「追い詰められている」という感じだったのかもしれませんね。あくまでも想像ですが…。

    • mitsunishira
    • 2014年 3月 10日

    とても貴重なインタビューでした。どうも有難うございました。
    相手が、テストにも全部参加してしっかり現地取材をされている米家さんだからこそ話してくれた内容ではないでしょうか。
    記事が読めてよかったです。

    • masayoriA
    • 2014年 3月 10日

    皆さんが言うように、本当にいいインタビューですね。GTを戦っているとき、「速過ぎてチームオーダーが出ていた」なんて話し(2/3)、初めてでした。
    開幕以後のF1 LIFE、ますます楽しみになりました!!!

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