REPORT【報道】

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 ルフトハンザ航空の機内誌『MAGAZINE』に掲載されたニコ・ロズベルグのインタビューを翻訳して特別にお届けしよう。航空会社のインタビューとあって普段とは異なりプライベートに踏み込んだ内容で興味深い。

 

——年間200日以上を自宅の外で過ごすということですが、それに疲れを感じる時もありますか?

「そうだね、ホテルの部屋で目覚めたときに、自分がどこにいるのか一瞬分からないときもあるよ(笑)。空港でも同じような状態になることもあるしね。(チェックインカウンターなどで)『どこ行きのフライトですか?』って聞かれてすぐに答えられなかったりするんだ(笑)」

 

——ホームシックにかかることもある?

「うん、自宅が恋しくなることはよくあるよ。F1の多くは素敵な場所で開催されるし、僕らは素晴らしいホテルに泊まらせてもらっているけど、僕にとっては自宅こそが一番幸せを感じられる場所だからね。本当の意味でリラックスして、自分の好きなことをして、自分のバッテリーを充電できるのは自宅だけなんだ」

 

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——あなたにとってレースの最も魅力的なこととは?

「コンスタントなチャレンジで、終わりのないコンテストだというところだね。他の全ドライバーと戦っているけど時計(タイム)との戦いでもある。時間は永遠に刻み続けるから、終わりはないんだ。それに自分自身との戦いでもある。どのレースでも過去の自分の記録を上回ることを目指しているんだ」

 

——ストレスは感じない?

「極端にそうだね。だから僕は時々、何も予定がない日というのをつくっておくんだ。普段は分刻みでスケジュールが決められているからね。いつリラックスするかということさえ決められているんだ!」

 

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——かなり厳格ですね。ダイエットも厳しいですか?

「まさに今はそれに苦しめられていて、体重をコントロールするためにグラム単位で管理されているんだ。僕の場合は減量する必要はないんだけど、この体重をキープして身体を鍛えていなければならないんだ。ピザなんて食べちゃいけないし、スーパーマーケットで買って食べられるものはあんまりないんだ。だから最近は自分で料理をするようになったよ。身体に良い食べ物を作るための方法を学んで、自宅にオーガニック菜園まで作ってね。ズッキーニや茄子を摘んで、それを切って少しのオイルと塩で味付けをしてローズマリーで香り付けして、それをオーブンに入れるんだ。ヘルシーな暮らしをしながらでも快適に過ごすことも可能だよ」

 

——あなたのモチベーションの素は?

「成功を収めることだね。表彰台に立ってトロフィーを受け取るときや、モナコGPで優勝してレース後にアルベール国王とディナーをともにするとき。それは絶対に忘れられないし、僕にとっては強力な燃料になる。そんな成功を何度も何度も収めたいと強く感じるんだ」

 

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——父親が1982年王者であり、あなたのレース活動を支え続けています。お母様もレーシングドライバーになりたいというあなたをサポートし続けてくれたのですか?

「母はスポーツが好きなんだけど、彼女は僕に(レーシングドライバーよりも)テニスプレーヤーかゴルファーになって欲しかったみたいだね。そうすれば2週間ごとに何かないかと心配する必要はないからね。母はこれまで一度も僕のレースを見に来たことがないんだ。昔から僕がサーキットに行くときは自宅にいて掃除をしたり散歩をしたりしている。そしてレースが終わったら父からの電話で僕のレースがどうだったかを聞くんだ」

 

——22人のF1ドライバーのうち、何人がチャンピオンの能力を備えている?

「たくさんいるよ。すでに5人はチャンピオン経験者だし、半分以上のドライバーはみんなタイトルを獲得するに足る能力を備えていると思う。でもF1はタフなスポーツだからね。良いドライバーになるだけではチャンピオンにはなれないんだ。まずは良いクルマを手にしなければならないし、普通じゃなく異次元の才能を持っていなければチャンピオンにはなれない。それにものすごく細かな技術的要素もある。自分に合わせたクルマを作り上げていくためにはエンジニアと緊密な関係を築かなければならないし、そのためには技術的な知識がなければならない。

 

 もちろんコース上でも大きなプレッシャーに晒されるし、僅かなミスも許されない。誰かと戦っているときやモナコの狭いコースを時速300km近い速度で駆け抜けているときだけじゃなく、常にね。速く走るには技術も大切だけど、F1で最も大切なのは精神力だからね」

 

——ということは、インテリジェントなドライバーが勝利を収める?

「そうだね。でも僕が話しているのは昔ながらのIQで表せるような知性じゃない。それよりも敏感さの問題だ。クルマを感じ取る繊細さが必要なんだ」

 

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——あなたは高校を平均2.1という非常に優秀な成績で卒業して、大学で宇宙工学を学ぶ予定だったと聞きました。どうして進学をやめてレースの世界を選んだのですか?

「そう、それが僕の本来の計画だった。学校の勉強で数学や物理で苦労したことは一度もなかったんだ。友人はみんな大学に進学したし、違う進路を選ぶというのは不思議な気分だったよ。だから進学とレースという進路の2つともを選ぶことにしたんだ。だけど二兎を追う者は一兎をも得ずで、どちらかを選ばなければならなかったんだ」

 

——しかし今ではF1のスタードライバーの一人になりました。

「F1より素晴らしい大学なんてないよ。20代で企業のトップに昇進するなんて、普通はあり得ないでしょ? 今F1チームでは1000人以上のスタッフが働いているけど、僕はチームのボスとともに意思決定の一翼を担っているんだ。そのためにスタッフをどう扱うべきか、いかに彼らのモチベーションを上げるか、いかに建設的な意見のやりとりをするかといったことを学んできたんだ」

 

——次の目標は?

「僕は自分のキャリアを構築していく中で幸運に恵まれていたと思う。将来に向けて大切なのは、それを今後も維持していくことだ。それを正しくコントロールしていくこと、それが重要だろうね」

 

——モナコで育ち、お金に不自由したこともないと思いますが……?

「幼かった頃はモナコ以外の世界は何も知らなかった。だから僕にとってはモナコが普通の街だったんだ。だから僕はそれを当たり前のことと思って享受していた。でも大人になって自分がいかに恵まれていたかということを知って、自分の目の前にこの道筋が用意されていたことに感謝しなければいけないと思ったんだ。今は自分のことは全て自分の手でこなせていることを嬉しく思っているよ」

 

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(text by Michael Wittershagen for Lufthansa Magazine / translation by 米家 峰起 / photo by Mercedes AMG)

 

 

 

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