REPORT【報道】

 

 大変革のシーズンと言われる2014年、F1はどう変わったのか。

 

 最大の変化は新型パワーユニット導入であり、F1マシンは大きく変化する。そのほとんどがカウル内部の変化であり、外観上の変化はそれほど大きくはないかもしれない。しかしF1マシンは明らかに大きく異なるものへと進化している。

 

 その一方で、スポーティングレギュレーションにも変更が加えられる。燃料の使用量制限も加わり、レースの戦い方も大きく様変わりすることになる。

 

 それらレギュレーション変更点のポイントをおさらいしておこう。

 

【パワーユニット】……1.6リッターV6ターボへ

20140205-01

 2.4リッターV8自然吸気エンジンから、1.6リッターV6ターボエンジンに変更。最高回転数は1万8000rpmから1万5000rpmへ。エンジン自体のパワーは従来の約750馬力から約600馬力へダウン。しかしERS(エネルギー回生システム)のブースト160馬力で従来とほぼ同等のパワーになる見込み。

 

【ギアボックス】……8速固定レシオに

20140205-02

 コスト削減のため、ギアボックスは年間を通してギアレシオ固定に。その代わり7速から8速へ多段化してフレキシブルになる。

 ギアレシオはこれまでは開幕前に30種類を申請し、その中から各GPの金曜走行後に選んで登録していたが、2014年は開幕前に年間固定のギアレシオを登録しなければならない。

 また、これまでは5戦連続使用が義務づけられていたが、2014年からは6戦連続使用となる(金曜日は対象外。土日で約3300km)

 

【ERS(エネルギー回生システム)】……2種類の組み合わせ

20140205-03

 MGU-K(ブレーキから発電する従来のKERS=運動エネルギー回生システム)に加えて、ターボチャージャーの排熱から発電するMGU-Hが追加。

 従来のKERSは80馬力のブーストを1周あたり約6.7秒使用できるだけだったが、2014年からMGU-Kは160馬力のブーストを約33秒使用できる。

 さらにMGU-Hはバッテリーに蓄電せずダイレクトに利用すれば無制限にブーストが可能。

 ほとんどのマシンのステアリングからはKERSブーストボタンが消え、ECU上でブーストの使い方を決め込んでいくことになる。

 

【リアブレーキ】……ブレーキバイワイヤ(=電子制御)に

20140205-04

 リアブレーキからの発電量が増すため、電子リアブレーキコントロールシステムの使用が可能になる。MGU-Kのチャージによる制動力と実際のブレーキ制動力の割合を電子制御で調整することが可能になり、前後ブレーキバランスも従来のような単純な調整ではなくなる。

 

【燃料】……決勝に使用できるのは100kgまで

20140205-05

 従来は決勝の燃料搭載量は制限されておらず、150〜160kg程度を使用していたが、2014年からは100kgに制限される。パワーユニットには非常に高い燃費性能が求められ、同時に決勝では燃費セーブの走りが必要とされることになる。

 

【最低重量】……約50kg増加

 ドライバーや燃料を含むマシン最低重量は、642kgから690kgへと増加。

 それでもパワーユニットの重量増のため、これを下回るマシンを作り上げるのは非常に難しいとされる。体重の重い長身ドライバーは引き続き厳しい体重管理を要求されるため、ドライバー側からはさらなる最低重量引き上げの要求もあったが、却下されている。

 

【排気管】……排気ブローイング不可に

20140205-06

 排気管は1本にまとめられ、ボディワーク最後方に上向きに排気することが義務づけられる。エンジン排ガスを空力的に利用する排気ブローイングを禁止するため。

 2011年イギリスGPからエンジンマッピングが規制され、2012年には排気管位置も規制されてブロウンディフューザーは使用が難しくなったが、2013年にはエンジンの遅延点火などを使って同様の効果を生み出す手法が編み出された。そこで、さらに排気管位置を抜本的に規制することに。

 

【ノーズ高】……ローノーズに

20140205-07

 ノーズ先端の高さは従来の550mmから185mmに低く規制される。

 空力的にはハイノーズの方が有利だが、従来のハイノーズでは前方接触時にコクピット周辺に深刻なダメージを与えたり、タイヤ上に乗り上げたりする可能性があるため、安全上の理由からローノーズ化されることに。

 モノコック自体も先端が625mmから525mmに下げられる。

 

【オンボードカメラ】……ノーズ先端への装着・空力利用は禁止

20140205-08

 ノーズ脇はフロントサスペンションのアッパーアーム前方のみに限定。

 

【フロントウイング】……横幅をわずかに縮小

20140205-09

 フロントウイング幅は1800mmから1650mmに縮小される。

 従来は車幅と同じ、つまりフロントタイヤと同じ位置まで伸びていたが、コクピットから見えにくいこともあり他車との接触が多く、タイヤをバーストさせることにも繋がっていたため、車幅よりも内側に収めることに。

 しかし、これが空力開発の上では大きな課題になるという。

 

【リアウイング】……ダウンフォース削減へ縮小

20140205-10

 ロワウイングは廃止、アッパーウイングも薄いプロファイル(上下幅70mm)に。フロントウイングの縮小に伴い、リアのダウンフォースも削減するため。

 

【テスト】……シーズン中のテストが復活

20140205-11

 若手ドライバーテストを除いて2009年から禁止されていたシーズン中のテストが復活(2012年はムジェロで1回だけ実施)。各チームはグランプリ開催後のサーキットで2日以下のテストがシーズン中に4回まで許される。

 一方で風洞テストとCFDシミュレーションに対する規制は強化される。

 

【ポイントシステム】……最終戦は2倍ポイントに?

20140205-12

 2013年12月のF1委員会で最終戦のポイントを2倍にすることが提案された。チャンピオンシップの決定を遅らせるため。

 しかしこの前代未聞のシステムに対する批判の声は根強く、再検討されることに。実際に採用されるか否かはまだ確定していない。

 

【ドライバーナンバー】……固定ナンバー制に

20140205-13

 各ドライバーはキャリアを通して同じナンバーを使用する。チャンピオンは1を使用する権利を有し(自身の好きな番号を使用しても構わない)、他のドライバーは2〜99のうち好きな番号を選ぶ。

 各ドライバーは第3希望までを年内に申請し、希望が多数となった場合は前年度のチャンピオンシップ上位のドライバーに優先権が与えられる。

 各ドライバーはマシン前面とヘルメットに自身のナンバーを掲示しなければならない。

 

【金曜フリー走行】……若手ドライバーの走行機会増

20140205-14

 金曜日の1セッションの中で1チーム4人まで走行可能に。従来は1セッション2人までと規定されており、つまりセッション中の交代は許されていなかった。そのためFP-1に若手を走らせる場合、いずれか1台のみとしてもう1台でデータ収集など本来の作業を行なう必要があったが、2014年からはより自由に若手を走らせる機会を設けることが出来る。

 加えて2014年からはFP-1の開始から30分間のみ使用できるプライムタイヤが1セット供給されることになっており、路面が出来上がっておらず上位勢が走りたがらない時間帯に若手に走行機会を与えることが出来る。

 

【ペナルティシステム】……ポイント制、5秒ペナルティ新設

20140205-15

 各ドライバーはシーズンを通してペナルティポイントを課され、累積12ポイントとなると1戦出場停止となる。

 懲戒処分が累積3回となり、うち2回以上がドライビングに関連する者だった場合、次戦10グリッド降格となるシステムも継続する。

 また、新たに5秒ペナルティを新設。20秒以上のタイム加算に相当する従来のドライブスルーやストップ&ゴーに加えて、軽微なアクシデントにも対応する。

 

【ポールポジショントロフィー】……最多ポール獲得を表彰

20140205-16

 シーズン中に最多ポールポジションを獲得したドライバーに与えられる賞を新設。複数ドライバーがポールポジション数が同率で並んだ場合、2位の回数で決定する。ただしチャンピオンシップには影響しない名誉賞でしかない。

 

(text by 米家 峰起 / photo by Wri2)

 

Related Articles

Comment

  • トラックバックは利用できません。
  • コメント (0)
  1. コメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。

Recent Post【最新の記事】

Calendar【日付で記事検索】

2020年5月
Mon Tue Wed Thu Fri Sat Sun
« Apr    
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031