REPORT【報道】

20140815-01

 

 ケータハムは夏休み明けのアップデートに向けて開発努力を続けています。ノーズが変わるという情報もありましたが、問題なのはその形状よりも中身のようです。

 

 空力性能不足、ダウンフォース不足が足枷となっていたケータハムCT05ですが、実は重量配分の点でも問題を抱えていました。

 

 現在、マシンの重心位置がどこにあるかという前後重配バランスは、45.5:54.5〜46.5:53.5と規制されています。しかし実際は「前後車輪にかかる重量がフロント314kg、リア369kg以上でなければならない」というかたちで規定されていて、例えば同じ重量でもノーズ先端に配置するのとフロントアクスル上に配置するのでは意味合いが違ってくることになります。

 

 5月のスペインGP後のバルセロナ合同テストで、ケータハムはフロントノーズの重量を大幅に増やしたセッティングをトライして好感触を掴みました。燃料は重く、パワーユニットも完全なアタックモードではなかったにもかかわらず、スペインGPの予選本番よりも速いタイムを記録したのはそのためだったのです。

 

 しかしCT05はそもそも規定最低重量690kgを上回るほどの重さであり、前述の重配バランス規定を考えるとこれ以上のバラスト搭載は難しいという結論に達し、スペインGP以降も従来同様の状態で走っていたのです。フロントのバラストを増やすためには、マシン全体にわたる軽量化とメカニカルレイアウト及び重量配分の見直しが必要だったからです。

 

 ですから、ノーズの形状が変わるのは空力的な要求もあるでしょうが、重量配分を変えるために必要だという側面もあるのです。

 

20140815-02

 

 そもそも、スペインGPに投入された僅かなアップデートを最後にケータハムのファクトリーでは新たなマシンパーツ開発は止まったままになっていました。その理由は、製造コストが捻出できないからです。エンジニアたちは手の空いた時間にデザインを進め、CFDやTMGの風洞を利用して開発作業だけは進めていました。しかしそのCADデータが存在しても、実際のパーツ製造ができないという状態だったのです。

 

 ケータハムはカーボンパーツの製造をグループ傘下にあるケータハムコンポジットに発注していましたが、元チーフテクニカルオフィサーであるマイク・ガスコインがドイツ・ケルンに設立したこの会社が高額な費用をチームから搾り取り続けてきたというのも問題のひとつでした。ケータハムF1チームが実質的にケータハムグループから離れた今となっては、おそらくコリン・コレス配下の製作会社に委託されて開発が進むことでしょう。

 

 もちろん空力面の開発も進みます。現状のCT05に装着されているのはシーズン序盤戦仕様の空力パッケージですが、その後に開発の進んだルノーのパワーユニットの最新の排熱容量に合わせた空力パッケージを纏えば、大きな進歩が果たせるはずです。

 

 ちなみに、来週のベルギーGPにはアップデートの投入が間に合わない可能性もあります。3週間の夏休みのうち2週間は完全にファクトリーが封鎖されており、製造作業は進められないからです。ノーズが変更されるとなれば、前方クラッシュテストも受け直さなければなりません(指定試験場はイギリス国内にあります)。

 

 この2週間のシャットダウンがなければベルギーGPに投入されたのでしょうが、おそらく実戦投入はイタリアGPもしくはシンガポールGPになるのではないでしょうか。モンツァは超高速戦ですが、ダウンフォースがかなり削られている現状のF1ではどのサーキットでも通常の空力パッケージで走りますし(つまり以前のモンツァ仕様で常に走っているような状態なのです)、間に合えばモンツァへの新パッケージ投入もあるでしょう。

 

(text and photo by 米家 峰起)

 

 

 

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Comment

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  • コメント (2)
    • youchann7
    • 2014年 8月 15日

    可夢偉がスペインテスト時に「良いのがあったんだけどお金がね…」って言っていたのはこの事だったんですね。
    F1マシンがデリケートなのはわかるけどそこまで重量バランスでそこまで影響するなんて驚きです。

    • MINEOKI YONEYA
      • MINEOKI YONEYA
      • 2014年 8月 20日

      はい、それも数キロならなんとかなるけど(今のF1ではそれだけの軽量化をするのもかなり大変ですが)、何十キロというレベルだったようで・・・。

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