RACE【レース】

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 バーレーンGPでは純粋な予選ペースでは上位に立ったウイリアムズ勢を見事にレース戦略で下して3位表彰台を獲得したフォースインディア。3ストップののウイリアムズに対し2ストップ戦略で優位に立ったが、セーフティカー導入によって終盤は際どい戦いになった。フォースインディアのタイヤマネージメントを担う松崎淳エンジニアに、レース直後にその戦いの裏側を聞いた。

 

ーーついに表彰台獲得をしました。

「そうですね会心のレースですね、表彰台ですからね」

 

ーーチームにとっては2009年のスパ以来2回目、松崎さんにとってはこのチームで初めての表彰台ですよね。

「そうですね、今までに何回か目前で逃してきましたが、ようやく表彰台ですね。去年のここでは表彰台を意識しすぎて手堅くいったのが裏目に出ましたし、一昨年のバレンシアとか、去年のマレーシアもリタイアしていなければ、というレースでしたね。あの時はクルマとしてはかなり速かったし、上位勢は3ストップしていましたが我々は2ストップで走り切れたはずですし。結果には出ていなかったけど、自分たちの中では惜しいレースは何度かあったんです」

 

ーー今回は同じメルセデスAMG製パワーユニット・ユーザーのウイリアムズを逆転する上ではタイヤ戦略が鍵を握ったわけですが、その最大のポイントは?

「ドライバーが上手く運転してくれたことですね。もちろんクルマも上手くセットアップできたし、レース中にタイヤを管理する上でやっていることもレースエンジニアを含めてキッチリとやり切ってくれました。

 普通は何か1つくらいはミスがあるものですが、今回は何もミスがなかったですね。今は本当にチーム間の差が小さいですから、今回だってどれかひとつでも欠ければ5番手以降になっていたかもしれませんし、1ミスでトップ10外まで落ちた可能性だってあるくらいですから」

 

ーータイヤを保たせる鍵というのは具体的には?

「あまり具体的には言えませんけど、今年はタイヤの“使い方”にワンポイントがあるんです。誰でも全開で走ることは簡単ですが、その一歩手前で引いて色々とコントロールしてくれているからこそ、タイヤがあれだけ保つんです。ピレリタイヤ自体の特性もそうですが、その時のタイヤの状態に合せてスロットル操作とブレーキングをコントロールするということですね。ニコ(・ヒュルケンベルグ)もマレーシアGPでは『自分の今までのベストレースだ』と自ら語っていましたね。

 テストやロングランのデータを見ながらそういう会話は常にしていますが、レース中には(ドライバー本人が)データを見ながら走ることはできませんから、そこはドライバーが感じながらやるしかありません。もちろん我々の方でデータを見て『ここでもっとこうした方が良いよ』というのがあれば無線を通じて伝えますが、状況に応じてドライビングするというのは、人間ですから簡単なことではありません。でもドライバー2人は非常に良いドライビングをしてくれていますね。チェコはシーズンの最初の頃は細かなミスもありましたが、今日は非常に素晴らしいドライビングでしたね」

 

ーー周りの多くのチームが3ストップでしたが、フォースインディアの2ストップは想定通りの戦略ですか?

「2ストップで、ほぼ事前の想定通りですね。ドライバーからのフィードバックと我々が見ているデータから判断して、ギリギリだけど行けるだろうと。金曜日の夜にデータを解析して、土曜日にみんなで議論をして、ベースの戦略としてはこれで行こうと決めました。もちろんレース中に突然デグラデーションが大きくなることもあるので、それは常に判断していかなければなりませんけど、実際にはベースラインの戦略のまま実行できましたね」

 

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ーーセーフティカーの導入は不利になりましたよね?

「セーフティカーは要らないですね(苦笑)、うちは燃費的にも必要ありませんし。今日のセーフティカーは特にヒヤッとしました。おかげで最後は3回ストップのクルマに背後に迫られましたから。ドライバーにはもう、ひたすら“プッシュ”の指示ですよね。エンジン全開、ブレーキ全開、タイヤ全開、あるもの全てを使ってプッシュです」

 

ーー今回はソフトとミディアムの差は大きかった?

「大きかったですね。特にウチのクルマにとってはミディアムは硬すぎるので。ですからメルセデスAMGのように第2スティントにミディアムを履く戦略も検討はしましたが、そちらの方が遅くなってしまうので採用はしませんでした。彼らがあの戦略を採りたかったも分かりますけどね」

 

ーー一部のチームはデグラデーションが最後に一気に進むという不安も抱えていたようですが?

「ウチはそんなことはなかったですね。ドライバーも上手く使っていましたし、クルマもその方向でセットアップしていましたから。今年のタイヤ選択は硬すぎるように思われますし、バーレーンのサーキットのシビリティ(負荷レベル)に対してはミディアムタイヤは完全に外れていました。少なくともウチのチームにとっては、ここにスーパーソフトがあればもっと楽にレースができたと思います。それでも2ストップで充分に走り切れたはずです」

 

ーー現時点のクルマの速さについてはどう見ていますか?

「まだコーナーは遅いんですよね。真っ直ぐしか速くない(苦笑)。メルセデスAMGには同じパワーユニットなのに1秒も差を付けてられているわけですから、マシンの改善が急務です。それはメカニカル面もそうですが、主に空力面だと思っています。空力屋さんにはハッパをかけていますけどね。1秒も差があれば0.7秒遅く走ってタイヤを守ることは簡単にできてしまいますからね。我々としてはパワーユニットによる恩恵はかなりあると思っているので、それがあるうちにポイントを稼いでおいて、それと同時にマシンの開発も進めなければならないと思っています。曲がりくねったコースの中国やバルセロナではマクラーレンも速いでしょうし、他パワーユニットのチームも速いでしょうから、また苦しい戦いになると思います。なんとかトップ10に入って1ポイントでも多く獲るという戦いになるでしょうね」

 

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(text by 米家 峰起 / photo by Wri2, 米家 峰起)

 

 

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