RACE【レース】

20140327-02

 

 マレーシアGPを前にした水曜日、小林可夢偉はクアラルンプールの市街にいた。チームの地元レースであるマレーシアGPではPRイベントが目白押しで、いつも以上に多忙を極める。可夢偉のスケジュールは火曜日から埋まっていて、地元マレーシアGPに向けてチームの意気込みも並大抵ではない。

 

 可夢偉がサーキットに到着したのは木曜の朝。暑くなる前の9時にはエンジニアたちとともにコースウォークに出ていった。

 

「第2戦目で地元レースで……『ちゃんとしなきゃいけない』って言えるレベルにいるのかっていうのは別の話としても、日本のチームさえない中でマレーシアチームがあるってちょっと不思議な気分ですけど、そこでマレーシアの人たちにも『F1やってるぞ』っていうメッセージを伝えられればいいなと思ってます。僕なんか同じアジア人っていう枠に入ってるから、簡単にいえば親近感はありますしね。チームにとってはすごく重要なレースやし、きちんと何かを成し遂げる必要があると思ってます」

 

 開幕戦オーストラリアGPを1周目の1コーナーで終えた小林可夢偉には、改めてその実状を聞くべく海外のメディアも多く集まってきた。。

 

 開幕戦のクラッシュはリアのブレーキが全く効かなかったことが原因であることは、オーストラリアGP決勝後にお伝えした通りだ。しかし、その原因はどうやらERS(エネルギー回生システム)というよりはブレーキバイワイヤの側にあったようだ。

 

 チームから詳細を語ることを止められている可夢偉は、言葉を選びながらトラブルの様子を振り返って説明した。

 

「原因ははっきり分かってるんですけど、それを言って良いのか良くないのか分からないくらいの状態で。まぁ、FIAから何もお咎めがないということは、何らかの原因(トラブル)があったということやと思ってください。それを提出しろとも言われてるし。とにかくリアブレーキも演じブレーキも全くない状態だったことは事実ですね。あの状態でクルマを止められるとしたら、神様だけですよ」

 

 しかし、今週末のレースに向けてその対策はできていないようだ。再発の可能性は否定できないという。「まぁ……そうみたいですね」と可夢偉は言う。

 

 オーストラリアのレース直後には、事前のトラブル状況から予兆できたかもしれなかったと話していた可夢偉だが、実際のトラブル原因を知れば、それは不可能だったという結論に達したようだ。

 

「いや、結局そんな問題じゃなさそうですね。それができてればエンジニアは必要ないんじゃないかっていう話になるくらいですよ」

 

「テストでレースシミュレーションもできなくて、フォーメーションラップでのタイヤの温め方もやってないし、ちゃんとブレーキを踏んだのがあれが初めてでしたからね」

 

「だめ出しもクソも、走ってないからね(苦笑)。走らないと分からない原因もあるし。バーレーンで1回だけ同じトラブルが起きていたみたいですけど、クルマがグリッド上にある状態ではそれも確認できていなかったんです」

 

20140327-01

 

 クルマがフェリペ・マッサのリアエンドに潜り込む危険なクラッシュだったが、FIAに見直しを求めたいと可夢偉は言う。以前から指摘されていたことだが、今季から低くなったノーズが相手のクルマの下に潜り込むだけでなく、それ以外の危険性も考えられるという。

 

「あの瞬間はパニックになってて分かってなかったけど、後で写真を見てゾッとしましたよ。あの瞬間のことがフラッシュバックみたいに思い出されて。あの速度やったから良かったけど、モンツァとかやったらもっと速度が出てたわけやし。てことはもっと潜り込んでた可能性もあったわけで」

 

「よく考えたら、あれってどの角度から当たっても危ないですよね。例えば前でスピンしてるクルマがいて横向きに当たったら、潜り込まなかったとしても、逆に横転する可能性があるでしょ? どっちにしても危ないなっていう気がするし、ちょっと(ノーズを)下げすぎたんじゃないかなっていう気がしますね」

 

「怪我しなくてラッキーでしたよ。電気系のエンジニアは原因も分かってるし、相当危なかったということも分かってるんです。まぁ、ここまで充分に距離を稼げてないっていうのがそもそもの原因ですよね」

 

 明日からのマレーシアGPフリー走行では、オーストラリアでできなかったセットアップ作業を進めたいと可夢偉は話す。

 

「そんなにテストアイテムがあるわけじゃないんで、できることからやっていくっていう感じですね。いうても前回セッティングは全くできてなくて持ち込んだままの状態で行ったようなもんやったんで、今回はもうちょっとセッティングができれば良いなと思ってますけどね」

 

 今週の目標はと聞かれて、可夢偉はこう答えた。

 

「まずは完走したいですね」

 

「それが簡単なことやと思わってなきゃいけないと思うんですけど、それが上手く行ってないだけですよね……」

 

 可夢偉とケータハムにとってこの週末はどんな地元グランプリになるのだろうか。目の前の結果ではなくもっと先に向けたチームの成長を見据えている可夢偉は、決して簡単ではない道を再び歩み出そうとしている。

 

(text and photo by 米家 峰起)

 

 

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Comment

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  • コメント (2)
    • teri-one
    • 2014年 3月 28日

    対策が出来ていないのは、ちょっと心配ですね。
    そんな状態では、安心してブレーキは踏めないですよね。

    • MINEOKI YONEYA
      • MINEOKI YONEYA
      • 2014年 3月 28日

      そうですね、テストの時からずっと100%本気の走りはしてませんからね・・・。

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