07/08
【GP2イギリス・土曜】佐藤公哉「シートが動いて背中を痛めてしまった」
ーーレース1で身体を痛めたということだけど、何があったの?
「シートの整備不良で背中を痛めてしまって、いま針治療をしてきたところです。ピットストップ後にシートが縦にも横にもどんどん動くようになってしまって。コクピット前のウインドスクリーンもスタート直後に割れてしまって、風が入ってくるから首が浮いてヘルメットのストラップで首が絞められるし、しかも割れたガラスの破片がコクピットの中に入って来ちゃって、たまに足とかにツンツン当たるんです。走りながら手探りで取ろうとしてたんですけど、あちこち移動してて。今メカニックが『あった〜!』って言ってましたけど(苦笑)」
ーーシートが動くというのはどういう状況?
「シートと僕の身体はシートベルトで固定されてるんですけど、その根元からガタガタ動いてる感じで、『最悪だ……』って重いながら走ってましたね。ヘタしたら戦闘機の脱出みたいにシートごとポーン!って飛び出していっちゃうんじゃないかと(笑)。すごく背中が痛くて、もう帰ろうかなと思いましたけど、チームとやりとりしながら『とにかく頑張って最後まで走って』と言われたので。無線も調子が悪くてよく聞こえなかったので、あまり細かいやりとりができなかったというのもありますし。今聞いたら、シートが縮んでたらしいんですけど、どういうことですかね? 初めて聞いた日本語ですけど(苦笑)」
ーーレースのスタートは良かった?
「スタートはちょっとホイールスピンは多かったですけど、その後の動き出しは良かったんでまずまずでした。一瞬ポジションを落としたんですけど、出遅れたヤツからまた取り戻して、前のゴチャゴチャを見ながら引き算足し算した感じですね。その後の1コーナーで急減速したドライバーがいたんで、それを左側に避けようとしたら左側のフロントウイングのフラップがパーン!って当たっちゃって、そのせいもあると思うんですけど、左フロントタイヤが全然保たなくてボロボロになっちゃって」
ーー摩耗だよね?
「そうです、チームメイトもそうだったんですけどね。『フロントウイングが壊れているし早く入りたい』って言ったんですけど、5周目までは入っちゃいけないルールなので『あと1周だから』って引っ張られて、ようやく6周目になったらチームメイトが先に入るから待てって言われて(苦笑)。フロントウイングが壊れたままで7周目まで走らなければならなかったんで、そこでロスしたタイムが大きすぎて勝負は決したという感じでしたね」
ーーしかもピットストップのロスが20秒くらいあったよね。
「ノーズ交換で時間がかかったのもありますし、ノーズがなかなか抜けなかったんです。入れる方もなかなか入らなくて。確かにノーズ交換に時間がかかっていました。ただ、レース的にはその前の時点で20番手以降は確定でもう終わっていたという感じですね」
ーーフロントウイングのダメージは別として、ミディアムがこんなにタレるなら結果的にはハードタイヤでスタートした方が良かったよね。
「結果から言うとそうですね。さっきのミーティングでもそういう話になりました。『2人ともルーキーだからコンサバに行きたい』っていつも言うんですけど、今年もう5ラウンドやって5回ともそんな状態なんで(苦笑)」
ーー自分でイニシアティブを取ってやるしかない?
「モナコでそれをやったんですけどね。あんなにいっぱいセーフティカーが出るとは思わなかったし、1回目の赤旗中断の時点で僕のレースは終わってましたからね…。確かに、後ろからのスタートなんで周りと同じ戦略で行くと渋滞に巻き込まれるんじゃないかってああすると、それが裏目に出るという展開でしたね」
ーー問題は今週もイニシャルのセットアップを外しているということ?
「イニシャルセットアップですね。チームメイトのお坊ちゃま(アルトゥール・ピック)もお怒りになられていましたし(苦笑)。ただ2人で文句を言っている箇所が少し違っているので、チーム側も何をどう追いかけたら良いのか、方向性が掴みづらい状況で。僕はトラクション不足でアクセルを踏んでもクルマが前に進まなくて横に走って行ってるっていう状況に苦しんでます。チームメイトはハンドルが重いのとキャスターが付きすぎていてクルマが機敏に動きすぎてオーバーステアだというところですね。トラクションもないから全部ダメじゃん、っていう状態なんですけど。僕は一番ハンドルが重いセットアップなんですけど、そんなに重いとは感じませんけどね」
ーー高速コーナーでのクルマのフィーリングが良くない?
「シルバーストンのコーナー特性の割合からいって、ここで苦労していたらツラいよね、というところで苦労しているんですよね。マシン自体はボトミングもしているし車高が高すぎるっていうことはないんですけど、高速コーナーに入るとすごく車高が高いところで走っている感じがするんです。クルマがフワフワしちゃって安定しない。前が滑ることもあれば後ろが滑ることもあるし、全体的にスライドしている時もあるし。コーナーの中でボトミングするときもあればそうじゃないときもあるし、とにかくクルマが安定していないんです。すごく不安定で、その原因がなんなのか、おそらくダンパーだとは思うんですけど、ハッキリとは分からないんですよね。すごくミスを誘発しやすいセッティングで、この状態じゃ安心して攻められないです。チームメイトは予選の最終ラップにタイムを上げたんですけど、ロガーデータを見たらすごくリスクを冒して『これじゃクラッシュしちゃうだろ!?』っていうくらいの走りをしていたんで。僕もそれくらいまで行かなきゃいけなかったのかもしれませんけど、そこまでリスクを冒しても12〜3番手ですからね。根本的に何かが欠けているんです」
ーーここのところずっとそういう状況が続いているけど……?
「チームもいつもなにか努力してはいるんですけど、実っていないというか、乗ってる僕らも可哀想だけど努力が実らないチームも可哀想だし、悪者がいないだけにね。このままダラダラとシーズンが終わってしまうんじゃないかということだけが心配です。一発何かを見つけられれば、そこを軸に回していけるとは思うんですけどね。どこに重きを置いてやっていけば良いのか、分かってるようなことを言ってるけど分かっていないんですよね。タイヤが保つって言ってても2周しか保たなかったりですからね(苦笑)」
(text and photo by 米家 峰起)
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