06/07
【カナダGP・タイヤ問題】硬すぎて溶けないタイヤの実態
今シーズンは硬すぎるタイヤが問題視され、モナコGPに続いてカナダGPでも最も柔らかい2スペックが供給されているものの、多くのチームがいずれのタイヤも上手く作動させられないという状態に陥っている。
問題はコンパウンドのゴムが硬すぎ、熱を入れることができないという点だ。一般的なレーシングタイヤというのは表面が溶けて路面に付着して貼り付く“ケミカルグリップ”を発揮するのだが、現在の硬すぎるF1タイヤは表面が溶けるところまでいかず、ゴム自体の“摩擦力グリップ”だけに頼って走っているような状態だ。
走行後のタイヤを見ると、コンパウンド表面に溶けた形跡が全くと言って良いほど見られず、ただヤスリがけをしたように削れているだけだ。新品時のピレリタイヤに見られる縦方向の筋もほとんどそのまま残っている。
上写真はケータハムのアレキサンダー・ロッシがFP-1の最初に履いたタイヤ。セットナンバーはカーナンバー「10」のスペック「0」(プライム)のセット「1」で「1001」となっている。FP-1開始後30分間のみに使用が許されているセットナンバー1のプライムタイヤだ。
FP-1の開始直後は雲が多く、路面温度は24度と低く、ワーキングレンジの高いソフトタイヤを上手く機能させられるコンディションではなかった。フェラーリのフェルナンド・アロンソが履いたタイヤでさえ写真のようにケミカルグリップを発揮した形跡はほとんどなく、表面がザラついているだけだ。
予選・決勝は晴れて温度が上がることが予想されており、路面温度が上がれば状況が好転する可能性はあるが、大前提として今年のタイヤが硬すぎるという問題は解決していない。ハンガリーGPまでのタイヤアロケーションが発表されたが、高速のシルバーストンと高温のブダペストを除いてスーパーソフト&ソフトが投入される状況だ。ダウンフォース不足の中団以下のチームでは「全てのレースでスーパーソフトでも良い」「スーパーソフトでもリトルソフトくらい」という声もある。
ダウンフォース量の大きな上位数チームしか満足に扱うことができないタイヤが、余計にメルセデスAMGの独走に拍車をかけている側面もあるのだ。
(text and photo by 米家 峰起)
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