REPORT【報道】

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 ここからはチームごとにステアリングがどれだけ異なっているかを見ていこう。

 

 基本的な機能は【最新F1ステアリング解説①】のザウバーで解説したものと同じで、どの機能をどのボタンに割り当てているかの違いだけだ。しかし【最新F1ステアリング解説②】で解説したように、特にグリップ周辺の縦ロータリースイッチへの割り当て機能を見ていくと、チームによって重要視している機能が異なっているのが分かって興味深い。

 

 メルセデスAMGはステアリング前面のロータリースイッチを3つのみとしており、一見するとシンプルに見える。しかし左右のグリップ周辺にそれぞれ3つのロータリースイッチを配置しており、ドライバーはむしろドライビングをしながらこれら計6つのロータリーを操作する機会が増えたものと推測される。

 

 グリップ周辺のロータリースイッチをメルセデスAMGは“サムホイール”(親指で操作するホイール)と呼んでいるが、計6つのスイッチには下記の機能を割り当てている。

 

 「ENTRY」(赤) ブレーキング時のデフ設定

 「BMIG」(黄) ペダルマップ設定

 「MID」(白) コーナリング中のデフ設定

 「EXIT」(青) コーナー出口のデフ設定

 「BBAL」(黄) ブレーキバイワイヤのマップ設定

 「HI SPEED」(緑) 高速コーナー中のデフ設定

 

 ここから分かることは、メルセデスAMGはパワーユニットのERSや燃費マネージメントはあまり頻繁に切り替えるつもりはないということ。それよりもむしろ、ドライビング自体に影響するデフやブレーキマップのセッティング変更の方を頻繁に行なっているということが分かる。

 

 デフの設定はマシンの回頭性や安定性を改善させてドライビングしやすくするために活用するものだが、ここ数年のF1においてはむしろタイヤマネージメントのために積極的に活用されている。

 

 リアを滑らせないようにデフをセッティングし、リアタイヤをオーバーヒートや摩耗から守るわけだ。

 

 昨年の前半戦にタイヤマネージメントに苦労したメルセデスAMGが学んだのが、このデフの活用術とタイヤ温度の管理。リアルタイムでテレメトリーのデータを見ながら、ドライバーにデフの設定変更を細かく指示してマシンのスライド量を制限していたのだ。

 

20140501-13

 

 ステアリング前面の3つのロータリースイッチは以下のような機能になっている。

 

 「STRAT」(左) ストラテジーセッティング設定(SOC)

 「MULTI」(中央) マルチファンクション(その他の設定項目の選択)

 「HPP」(右) パワーユニットのセッティング変更

 

 この実戦仕様のステアリングでは、上のテスト仕様と違って「STRAT」部分が分かりやすく色分けされている。

 

 ステアリング前面に並んだボタンの機能はそれぞれ基本的にどのチームも同じようなもの。メルセデスAMGはDRSは左上(黄)、オーバーテイクボタンは左下(黒)に配置している。

 

 「DRS」(黄) DRS作動用ボタン

 「+10」(紫) マルチファンクションで選んだ機能の数値入力

 「N」(緑) ニュートラル

 「BB+」(黄) ブレーキバランスの微調整(ロータリーを横から押す)

 「X」(赤) 不明

 「OT」(黒) オーバーテイクボタン

 「RADIO RESET」(黄) 無線のリセット

 

 「PC」(黄) ピットイン確認

 「+1」(紫) マルチファンクションで選んだ機能の数値入力

 「PL」(黄) ピットリミッター

 「BB+」(黄) ブレーキバランスの微調整(ロータリーを横から押す)

 「TALK」(白) 無線

 「RS」(青) レーススタートモード(ペダル・クラッチマップなどを一括設定)

 「MARK」(黒) データロガー上に印を残す

 

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 ちなみに、こちらが2013年まで使用していたステアリングホイール(写真は2012年のものだが変更はなし)。

 

 やはりデフ関係が操作のしやすい右グリップと前面下端に並んでいるが、左グリップにはKERSの回生モードを切り替える「HARV(ハーベスト)」が設定され、その他のロータリーには「MIX(空燃費ミクスチャー)」「TORQUE(ペダルマップ)」「BP(バイトポイント=クラッチマップ)」「TYRE(タイヤ)」が割り当てられており、操作の主眼が2014年とはやや異なっていたことも分かる。

 

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 そしてこちらが2014年型ステアリングの裏側。

 

 ギアシフトを操作するパドルは細く、右側だけが上下に広くなっている。左右のパドルがリンクされており、例えばシフトアップを操作するための右側のパドルを、引くのとは逆に前に押すことによってシフトダウンをすることもできる。

 

 クラッチパドルも極めてシンプルで細い。ステアリング周りを簡素化して、ステアリングに取り付けられたロータリースイッチを操作する際に邪魔にならないように配慮しているのだろう。それだけドライビング中にロータリースイッチの操作を頻繁に行なわなければならないということを物語っているのだ。

 

(text by 米家 峰起 / photo by Wri2, 米家 峰起)

 

 

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