【特別インタビュー】ホンダ新井康久、「日本の皆さんには真実をお伝えしたい」
「今週末はこれまでで一番厳しかったです。開幕戦よりも、カナダよりも、ベルギーよりも。レース結果は冷静に受け止めていますけど、レースではなくそれ以外の面で色んなことが起きてしまって……」
イタリアGPの決勝後、いつものように話を聞こうとホンダの新井康久F1総責任者を尋ねると、いつものマクラーレンのモーターホームではなく別の場所で話しましょうと、ホンダのモーターホームへと誘われた。マクラーレン側の目の届かないところで、じっくりと話したい。土曜日のMeet The Teamで英国メディアから批判的な質問を浴びた新井は、マクラーレン側によって意図的な情報操作が行なわれたことを確信している様子だった。
そして、「日本のファンの皆さんだけには日本語で真実が伝わるように、お話ししたい」と、ホンダの置かれた苦しい状況を語り始めた。
ーー海外メディアから個人批判ともいえる質問が集中しましたが、どんな気分でしたか?
「萎えますよ、そりゃ。あそこまで言われたらね……。(ドライバーに謝罪するのかという質問に対しては)何の権利があってそんなことを言うんだって思いますけど、あそこでそれを言ってもどうしようもないですからね」
ーー第2シケインの立ち上がりでテールライトがついていましたが、あんなところでスロットルを戻しているということは、車体側のリアグリップも不足しているということですか?
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ホントのホントのところは私達には分からないけど、今年だけでなく少し前からのマクラーレンのマシンを見る限り車体側が完璧とはとても思えないのは確か。
それは分かるけど、だからと言ってあまり露骨にそれを言い出すとルノーとレッドブル状態になってしまうので難しいところですね。
しかしこの状況はホンダという一企業のイメージにプラスには働かないので、そろそろどこかできちんと定量的に説明しなければいけない時期なのかなと思います。
表向きに大々的にやってしまうとマクラーレンとケンカになりかねないというのが難しいところですね。彼らも表立っては「ホンダとはワンチーム」と言いながら、裏でコソコソやってますから。英国メディアを操るための情報操作に、結果的にネット経由で日本の人たちも操られちゃっているのが残念でなりませんが。。。
あまりに政治的で嫌になります。
F1にそういった側面があるのは理解していたつもりですが…。
陰湿なマクラーレンのやりかたに怒りすら覚えます。
実は、開幕前のテストからずっとマクラーレン側はそうやってきていたんです。ホンダ側のトラブルが多くて走れなかったのも事実ですが、かなり誇大にホンダの責任が喧伝されていました。
「ルノーとレッドブルのようにはなりたくない」と言う新井さんの気持ちは分かりますが、Hondaも戦略的な広報、というかF1村の中でのロビー活動をしっかりと担当できる人材が必要なのでは(いらっしゃるのかもしれませんが、そうは見えないので)。
Hondaサイドでも情報操作やイメージづくりを考慮して、発言内容やリリースを工夫されてはどうでしょうか。言わなくてもわかってもらえる、のは日本人同士だけです。言わなければ、居ないと同じと考えるような人たちとお仕事されているわけですからね。
もしかしたら、新井さん、はっきり言っちゃった方が誤解されないかもしれませんよ。
メディアを使ってどうにかしようという相手の手法に乗れば、間違いなく人前でケンカすることになるし、影響力はあちらの方が何枚も上手ですから間違いなく負けるでしょう。きちんとチーム内で話し合って解決してもらうのが一番なんですけどね……。
このコメントを5-6月あたりの時期に聞きたかったですね。。。
ファンとしては関係改善を望みますが、マクラーレン側は今後の展開をどう考えているんでしょうか?
新井さんも仰っていますが、英訳サイトでヘンテコ日本語の記事を”紛れも無い事実”と思い込んでいる日本のF1ファンが大半なんですよね。
その情報にバイアスがかかっていることを見抜けない(リテラシーが低い)方々多いのは非常に残念に感じています。
ただ、ホンダが置かれている状況を正しく理解している人は少なからずもいるということと、その上で応援しているファンもいるということを新井さん達にお伝えしていただければと思います。
新井さんがちゃんとシンガポールに来たら(苦笑)、伝えておきます。モンツァの日曜には「今回で最後かもしれませんよ(笑)」と自虐ジョークを飛ばしていましたからね……。
『F1LIFE』を見てくださっている方々は本当にメディアリテラシーが高いので、こういった状況をきちんと理解してくださっていると思います。逆に言えば、はっきりと言葉にして伝えなければ分からない人もたくさんいるし、マクラーレン発の一方的な情報に染められてしまっているのが残念でなりません。だからこそ、こうしてホンダ側も発信していくか、チームときちんとコンセンサスを取ってもらいたいですね。
マクラーレンの車体がかなり悪いのは、1チームだけヘンな姿勢だったりコーナー出口でリアが頻繁に流れてたりっていうのを見る人が見れば分かるし、それなのにPUだけが極端にやり玉にあげられるのは日本人としてはいい気分はしないです。
ただ、完全に後発でありながら、開幕前にホンダが用意できた成果物が全然F1の水準に届いていなかったのは大失態と言っていいし、スポンサーへの印象がそのまま生死を分けるプライベートチームがどれだけ焦ってスポンサー対策に奔走したか、というマクラーレン側の事情にも、たとえホンダファンであっても理解を示すべきでは、とも思います。
とにかく結果が出れば雑音も減るのは確実なので、現状は現場レベルでは問題になっていないという記事中のコメントを信じて、終盤戦に期待したいと思います。
世の中の多くの人は、全てがホンダのパワー不足のせいだと思っているというか、そういう先入観で見ているような気がします。ヨーロッパにいてそれを肌身で感じると、本当に嫌な気分になります。
ホンダが後発で他メーカーより時間を掛けて開発したのにこのザマか! と言われることもありますが、それは誤解です。既存メーカーはレギュレーション策定の遙か前から基礎開発を進めて、それぞれにとって有利なレギュレーションになるようFIAと協議してきた経緯があります。しかしホンダは2013年5月からスタートで2015年3月には実戦。実質的な開発期間は他メーカーよりも圧倒的に短かったんです。他メーカーは2014年の実戦経験を元に今季へ大幅改良していますしね。
マクラーレンの「チームブランドに傷が」云々というのは、後付けの理由にすぎないと僕は見ています。そもそもスポンサーなんて最初からついていないし、どうせお金が足りなくなったらホンダに出してもらえばいいとタカをくくっているんですから……。