08/09
【謎の新スポンサー?】“麻衣さん”からのメッセージの真相
突然ハンガリーGPでケータハムCT05のリアウイングに新たなメッセージが掲示され、「麻衣」という日本人女性名が漢字で記されていたことから、一体あのロゴは何だ?と話題になった。その裏側を解説しておこう。
チーム関係者ですらその詳細を知らされてはいなかったのだが、どうやら麻衣さんという女性がF1と小林可夢偉の大ファンで、昨今のケータハムを巡る状況を見てなんとか支援をしたいという思いを抱いていたという。そして彼女の父が日本でも有名な大企業の経営者であり、彼女からの要請を受けてその企業から仲介人を通じてチームの新経営陣に対してチームへのスポンサードという形でアプローチがあったという。
その企業はF1にスポンサー活動をしていると世間に知られたくはないらしく、企業名や製品名を出すことなく、麻衣さんの名前とメッセージだけを掲示したということ。日本ではF1やモータースポーツのイメージが決して良いわけではなく、株主に対する説明責任や、マネーロンダリングを注視する税務署からの査察といった面倒な問題が生じる可能性もあり、今回のような措置となったようだ。
麻衣さんは22歳で、音楽活動をしておりユニットでボーカリストを務めているというが、芸名は異なるという。彼女の存在も企業名も、可夢偉サイドには一切伝えられてはおらず、あくまでチームとの直接的なやりとりだった。
金曜日にはメッセージの入ったリアウイング翼端板のレプリカが用意され、そこに可夢偉とマーカス・エリクソンがサインを入れた。これはチームのマーケティング部門を通じて麻衣さんにプレゼントされるという。
ケータハムの新経営陣についての情報は、既報の通り。今季のチーム運営費も確保されており、すでにアップデート開発作業も再開され、2015年型マシンの開発も開始されている。チームに資金的不安がないことから、可夢偉のシートもおそらくは安泰だろう。バーニー・エクレストンの後押しによるチーム売却であり、エクレストン自身が唯一の日本人ドライバーとして可夢偉をF1界に必要な存在と捉えていることを考えれば、なおさらだ。
ケータハムの新経営陣はFP-1の走行枠やチーム育成ドライバーの枠を若手持ち込みドライバーに売ろうとしているが、これはチームの運営資金に使われるというよりも、“雇われ”の立場である新経営陣の実入りになると見られている。そしておそらくは、今回のような個別スポンサーも同様にチームの運営資金ではなく新経営陣のポケットに入ったものと見られる。
具体的な金額は明らかではないものの、視認性のあまり高くないリアウイング翼端板のロゴ掲出料金は1戦スポットであれば10万ユーロ(約1350万円)程度だと思われる。しかしこうしたスポンサーが加わるという事実やその可能性が可夢偉のシートをより確固たるものとすることは間違いなく、なによりこうした支援をしたいという気持ちに対して可夢偉は感謝している。
(text and photo by 米家 峰起)
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