REGULAR【連載】

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「LIFT & COAST」(りふと・あんど・こーすと)

 

 すでに一度ご紹介したギョーカイ用語ですが、今年になって一気に使用頻度が増えていますし、使い方も少し変わってきているので、改めてご紹介しようと思います。

 

 その理由とはもちろん、燃料搭載量が100kgに制限されたことで燃費マネージメントが重要になったためです。

 

 リフトとはスロットルペダルを戻すことですが、以前はオフスロットルブローを効かせてリアのダウンフォースを稼ぐために利用していました。しかし今年はストレートエンドで“リフト”をして、本来ならば高回転で燃料を大量消費して走っていたところで回転数を落とし、燃費をセーブするという意味合いが強くなってきました。

 

 その背景には、実際の燃料マネージメントというのが我々が想像するのは少し違うというのもあるようです。ルノーのテクニカルディレクターである徳永直紀さんは次のように解説してくれました。

 

「今はもう燃料のミクスチャーで燃費を調整したりはしません。燃料流量も制限されていますから、ミクスチャーを変えるとエンジンの効率が大きく変わってしまうからです。エンジンマップで点火時期を調整したりもしますが、結局の所、最も効果的な燃費セーブはストレートエンドでリフトオフすることです。それ以外のコーナーの走り方も含めて、ドライバーのスロットル操作が最も重要なんです」

 

 実際、コースサイドで見ていてもストレートエンドでスロットルを抜いて「ヒュ〜ン」と音を消しながらコーナーに入っていくクルマが時々います。バーレーンGPの途中にもメルセデスAMGがルイス・ハミルトンに対して「燃料の心配はないから、もうリフト&コーストしなくて良いよ」と無線で話していましたが、逆に「燃費が厳しいからストレートエンドでリフトしてくれ」という指示もあるわけです。

 

 その“リフト”の仕方も、状況によりけり。オフスロットルブローの時は完全に0%に戻すことが当然でしたが(でないとブローイングしませんから)、今はフワッと戻したり、バーレーンGPのケータハムのように1周で3秒も遅くなるくらいストレートの大部分でスロットルを戻したりと、セーブしなければならない燃料の度合いによって様々。そのあたりもエンジニアからドライバーへの指示が細かく複雑化している理由のひとつなんですね。

 

 オフスロットルブローの時代は主にコーナーのためのギョーカイ用語だった「リフト&コースト」ですが、今では完全にストレートエンドのためのギョーカイ用語になっています。

 

 すでに「コーナーを惰性で進む」という意味だったコーストはあまり重要ではなくなっていますが、これまで使っていたギョーカイ用語のクセというかまさに“惰性”で、関係者たちは今でも「リフト・アンド・コースト」と言ってしまうんですね。

 

(text and photo by 米家 峰起 )

 

 

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