【アプレゲールですいません。】『#RefuelCaterhamF1』のどこが悪いの?
ケータハムがアブダビGPに出場することになりました。そのためのクラウドファンディング企画『#RefuelCaterhamF1』には、F1の品位を汚すとか、資産を切り売りしてみっともないなんていう声もありますが、僕はそうは思いません。
まず、ファンに寄付をお願いしてまでF1にすがるのかという声もありますが、実際には今回の『#RefuelCaterhamF1』の大半は寄付というよりもチームのグッズやメモラビリア(過去のマシンパーツなど)を販売するという形が取られています。ですので、寄付活動ではなくグッズの販売とそう違わないのではないかと思います。
そういう資産を切り売りするなんて、タコが自分の足を食うようなものだという批判もありますが、財政難のチームが売れるものを売って何が悪いのかな?と僕は思います。というか、売れるものがあるなら売っておカネに換えるのは当然のことだし、むしろ今まで「カネがない」と言いながらもそれをやって来なかったのが不思議なくらいです。
旧型マシンの使い終わったパーツなんて所持していても何にもならないし(まさにマイレージが終わったパーツですし)、レーシングスーツなどもそう。チームの歴史を保存するといったって、最低限のショーカーとデモラン用の車体やパーツだけあれば充分です。
事実、ウイリアムズだって数年前までは財政状況が厳しくて、チームが保存していた旧型マシンを売りまくっていましたからね。ファクトリーのコレクションホールにあるショップでは旧型マシンのパーツも販売されていますし。フェラーリなんて、実働状態のマシンをお金持ちに売って、自社で保守管理するサービスまでやっています。好きなときにフィオラノに来れば乗れますよ、というサービスもあります。
最新の特殊技術が詰まったパーツではなく、メモラビリアに分類されるような旧型マシンのパーツなんて、結構普通に販売して現金に換えたりしているものなんです。
そもそも、今回の『#RefuelCaterhamF1』を運営しているのは、破産申請をしたケータハムを引き取って再建を目指している管財人であって、無茶苦茶な運営をしてきた旧経営陣とは別モノです。その管財人はチームを存続させるもしくは資産を最大限に現金化して、債権者たちの損害を最小限に留めようとしているわけです。そのために、売れるものは売って現金化するし、チーム最大の資産であるF1参戦権を消滅させないためにアブダビGPに出場すべく努力してきたわけです。
旧経営陣のやり方は褒められたものではありませんでしたが、今の管財人の努力は認められるべきなのではないかと僕は思っています。
僕も以前勤めていた出版社がある日突然倒産して(厳密に言うと“解散”だったのですが)、その日から会社のものは全て管財人に押さえられ、会社の借金や外部の人への未払い金などのほとんどが雀の涙ほどの額で処理された……という実体験があるので、ケータハムやマルシアの件も人ごととは思えないんです(苦笑)。できることなら上手くチームを存続させて、ソフトランディングで従業員や債権者たちの損害を最小限に抑えてあげてほしいという願いも込めて、『#RefuelCaterhamF1』の成功を祈っています。
(text by 米家 峰起 / photo by Caterham)
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