RACE【レース】

20141120-01

 

 ケータハムから最終戦アブダビGPに出場することになった小林可夢偉に、今の心境を聞いた。これが自身のF1で最後のレースになるかもしれないという覚悟を持って臨む可夢偉は、どんな思いでチームからのオファーを受け入れ、この週末に臨むのか。そして、可夢偉にそうまで言わせるほど厳しいという来季に向けた状況とは。

 

ーー急転直下、ケータハムがアブダビGPに出場することになり可夢偉選手も参戦することになったわけだけど、この展開には驚いている?

「ビックリですね〜。正直なところ、こういう展開になるというのは想像してなかったですね」

 

ーーチームがファンから寄付を募るという行動に出たわけだけど……?

「やり方をパクられましたね(笑)。すごいなと思いましたよ。まぁ、募金というよりもいろんな物を売ってるし、やり方としてはすごいなと。ドライバーディナーとか誰が行くんやろ?っていうのもありますけどね(苦笑)。あのターゲット額まで行くのはキツいんじゃないかとは思ってたし、実際厳しかったみたいですけど、そこまでやるというチャレンジと勇気は素晴らしいと思います」

 

ーーそれで先週の金曜日にチームが出場を決めたわけだけど、可夢偉選手に出場のオファーがあったのはいつ?

「月曜日です。日曜日はもてぎのスーパーGTに行っていて、呑気に帰ってきてベロベロに酔っ払ってて翌朝起きたら、マネージャーのところにチームから連絡が来ていて。『走れるみたいだけど走る?』って言われたんで『うん、走る』って答えました。即決です」

 

ーーチームから連絡を受けたと知った時の気持ちは?

「すぐに『おカネ払わんでいいの?』って聞きました(笑)。大丈夫やっていうから、『ほな行こう』って」

 

ーーチームから出場の打診が来るとは思っていた?

「思ってなかったですね。だから嬉しかったです。あとは開幕戦のチーム記念撮影に参加できて、最終戦でも参加できて、終わりよければ全てよしみたいなのもありますよね(笑)。そこに参加できるっていうのは光栄なことですよ、マーカス(・エリクソン)はもういないしね」

 

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ーークルマはもう見た? (ベルギーGP仕様の)新型カウルが2台分用意されていたよね。

「そうそうそう。見た目はステッカーだらけでスゴいことなってますけどね(苦笑)。多分、塗装する時間がなかったんでしょうね、緑色の塗装自体がステッカーでベッタベタで貼り合わせてあって」

 

ーーそれ以外のスペックは?

「多分、前回までマーカスが乗っていた仕様になると思います(1つしかない新型フロントウイングの使用に関してはチーム側と交渉中)」

 

ーーレースエンジニアのティム・ライトが来ていないということだけど、スタッフの体制は?

「ティム自身はまだチームに所属しているんですけど、子供が産まれそうなのでここには来ないことになりました。来年は別のチームに行くことが決まっていますしね。今回はニコラという、マーカスのパフォーマンスエンジニアをやっていたエンジニアが僕のレースエンジニアを担当することになりました」

 

ーーファクトリーの方は人がいなくて、レース週末の間もデータのシミュレーションなどの連携は取れない?

「今週末は多少はいるみたいですけどね。シミュレーションをやる人たちが現場に来ちゃってるんで。彼らの方がまだクルマのことを分かってるんで、エンジニアが来られない分をそれで補おうということで。

 まぁ、ちょっと昔に戻ってみた感覚で良いんじゃないですかね?(苦笑) ちょっと面白いじゃないですか」

 

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ーー今までF1で走って来た中で、一番厳しい状況?

「今までで一番厳しい状況でしょうね。でも、これで1台くらい“言わしたい”なぁ……」

 

ーーそれはやれそう?

「いや、かなり厳しいでしょ? マルシアがいないし(苦笑)、かなりハードルは上がってますよ。ザウバーがこの数戦で何をやってたか見てないので何とも言えないですけど、できればポイントを獲ってランキングでザウバーの上に行きたいですよね」

 

ーーでも、この最新型パッケージで走るのは初めてでしょ? その期待はあるんじゃ?

「でも期待したところで限界は知れてるから、あんまり夢を見すぎないように現実的にやらないとダメだと思います」

 

ーー最後だと思って思う存分レースがしたいということだけど、どんな走りができれば満足できるというイメージはある?

「いや、ないです。(どこまでやれれば満足かというのは)まぁ自己満足じゃないですか? ベストのクルマだったらやることは勝つことしかないけど、グリッド上で最低のクルマですからね、間違いなく」

 

ーーオースティンで話した段階では、クルマのスペックやスペアパーツの状況がきちんと揃っていないと走りたくないということだったけど?

「そうなんですけど、今の状況では来年F1でレースをすることは厳しいと思うし、ということは再来年以降もF1で走ることが厳しい可能性だってあるから、もしかしたらこれがF1で最後のレースになるかもしれないっていうことを踏まえて、ここで走るチャンスがあるならこれは思う存分レースしておくべきかなって思ったんですよね」

 

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ーー来年以降の状況はそんなに厳しい?

「まぁ、実際のところ(来年の空いている)シートがないからね。で、来年走れなかったら再来年はもう30歳でしょ? 10代の若い子が走ってるっていうのに、30のオッサンがF1に戻ってくるって、よっぽど何か大きなものがないと難しいでしょ? とてつもなく莫大なおカネか、とてつもなく大きな力が働くか……」

 

ーーやはり今のところの現実的な目標としてはどこかのチームのサードドライバー?

「そうですね。ただまぁ、気持ちとしてはレースをしたいなっていうのが強いんで、なかなか難しいですよね……」

 

ーーオースティンでのホンダへのラブコールも、その後進展はないということだけど……?

「う〜ん、どうしたら良いですかねぇ……。僕が何を言っても、社内的にいろんな考えの人がいると思うんで、そんな簡単じゃないなっていうのもよく分かったし。それでも諦めずに自分の中でできる限り努力はして行こうと思っていますけどね」

 

ーー自分の経験や能力を生かせる場がないというのは、やるせない気持ちがしない?

「でもホンダさん的にはそこはあんまり必要としてないみたいですからね。そこは日本人である必要がないって。そしたらあと自分が売り込めるところというと、イメージくらいしかないですよね、悲しいけど。でもそれは『僕を取ったらイメージ良いですよ〜』って自分で言うことじゃないですしね」

 

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ーー今回で75戦目なんだけど、100戦は目指してほしいなぁ。

「あと2年ちょっとですか。キツいなぁ、2年は……」

 

ーーそれでもなんとか来年もF1に留まろうと努力しているのは……?

「まだ戦えると思うんやけどなぁ……って。やり残したっていう気持ちがあるから。そうやって自分がF1に生き残って、次に日本人がF1に来るまで繋げらればって思います」

 

ーーそういう状況の中で、ファンの人たちにメッセージは?

「ファンの人たちの応援があってここにいられると思うし、感謝しかありません。今の僕がファンの人たちに対して何ができるかっていうと、今のチーム状況では結果を望むことは難しいし、自分が満足できるレースをするというくらいしかないので、それができるように頑張りたいと思います」

 

ーー最後のレースかもしれないと思いながらも臨むこの週末は、何か気持ちの上でいつもと違うところはある?

「ないです。何かターゲットを目指してレースをするっていうことはできないけど、もしこれが最後のレースになったとしても思い残すことがないように、自分自身が満足できるように楽しもうっていうそれだけです」

 

(text and photo by 米家 峰起)

 

 

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  • コメント (2)
    • mitsunishira
    • 2014年 11月 21日

    (T-T)…。

    • kterui
    • 2014年 11月 21日

    どうなるかわかりませんが、ホンダが手を差し伸べないのであれば、非常に残念です。
    ホンダも企業として自分たちの考えがあるのでしょうけど。
    ただ、その場合個人的には全然ノレませんね。
    むしろ逆怨みしてアンチホンダになります(笑)

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