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【ブラジルGP・日曜】マクラーレン今井弘「新舗装の強い入力がブリスターを発生させた」
ブラジルGP決勝では右フロントタイヤにブリスターが盛大に発生した中で、マクラーレンの今井弘エンジニアによればジェンソン・バトンが表彰台を獲得できる可能性もあったという。また、今回のブリスター発生の原理も解説してもらった。
ーー今日はジェンソン・バトンが表彰台まであと一歩というレースでした。
「そうですね、久しぶりに良いレースができましたね。でも純粋なクルマのペースではウイリアムズの方がまだ速いですからね……。マッサのペースには付いていけませんでしたね。もうちょっと速さがないと表彰台には手が届かないですね。2回目のピットストップで失敗しましたし」
ーー入るのか入らないのか、もう遅すぎる、という無線交信をしていましたよね。
「えぇ、流れていましたか?(苦笑) 入るのが1周遅くなってしまったんです。早く入れようとしていたんですけど、上手くいかなかったですね。あそこで1周早く入っていれば、5秒ペナルティを消化したマッサの前に出られたはずだったんですけどね。でもペース的にはちょっと対抗できていませんでしたし、表彰台をキープできたかどうかと言われれば、抜かれてしまったんではないかと思うんですけどね」
ーー昨日までの予報とは一転、今日は結局ドライのレースになりましたね。
「えぇ、朝になって『なかなか降ってこないなぁ』と思いながら、対応にかなりバタバタしましたよ(苦笑)」
ーードライなら3ストップ作戦というのは最初から想定されていたんですか?
「温度次第だったんですけど、暑かったので3回ですね。キミ・ライコネンだけは2回ストップをやりましたが、正解だったかというとそうではなかったと思いますし」
ーー結果的にほぼ全車が同じような戦略になりましたよね。
「なぜかというと、タイヤ的にあれがギリギリ行ける作戦だからなんですね。第1スティントのソフトはもう少し伸ばすこともできますけど(デグラが進んでしまうので)伸ばす意味がないですし、各スティントのミディアムのライフを最大限に使って考えるとああいう作戦になるんです。ミディアムのペースもライフも、我々はほぼ想定通りでした」
ーー今日はかなり暑くなりましたが、デグラデーションが大きくなったのとブリスターが多発したのはそのせいですか?
「そうですね、かなり路面温度も高かったですね。でも金曜日ほど熱くはなかったですね」
ーーいつもピレリのブリスターというとトレッドの内側に発生しますが、今回はトレッドの真ん中より少し外側でしたよね。
「そうですね、今日のはなかなか男らしいブリスターですね(笑)。でもパフォーマンスには影響しないんです。それよりもリアの負担の方が大きいですから、フロントよりもリアの方が先にタレてしまうんですね、摩耗してしまって。ですから、振動さえ出なければフロントのブリスターは問題ないんです」
ーーどうして今回は内側ではなく外側だったんですか?
「サーモビジョンの映像を見て頂けると分かると思うんですけど、長い最終コーナーのターン12、13、14で右フロントタイヤの外側に大きな負荷がかかって温度が高くなってしまうんですね。いつもは高速コーナーでイン側タイヤの内側が引きずられてブリスターが出るんですが、今回はアウト側の踏ん張る方にかかる負荷によってブリスターが起きたんです。
今年は新舗装になって路面のグリップが高かったですから、そのせいでタイヤへの入力が大きくなったことがブリスターの最大の要因ですね。ここは2007年の再舗装の際もそうでしたよね、ドカンと速くなってブリスターが起きるっていう」
ーーリアタイヤには出ない?
「リアはブリスターが出る前にどんどん摩耗していってしまうので、ブリスターは出ないんです」
ーーUSGPが振るわなかった理由というのは把握できたんですか?
「う〜ん、まぁそうですね。レース後のデータ分析で分かったつもりでいます。今回は金曜の時点でなぜ良くないのかということは分かっていましたし、実際にその通りになったと思います。FP-2はあまりに不甲斐ないペースで申し訳ないことをしましたけど、セッティングを戻せば良くなることは分かっていました。FP-1のケビンがモノコックに付けて走った気流センサーは、来季に向けたテスト項目ですね」
(text and photo by 米家 峰起)
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「ブリスターが出ても性能には影響しない」のは、なぜですか?
ブリスターによるフロントのタレよりも、リアタイヤの方がどんどんタレていってしまうので、そっちが性能のボトルネックになってしまうからですね。そもそもピレリのブリスターはあまり性能に影響しないというか、そのくらい元々の性能がアレみたいですが(苦笑)