06/24
【オーストリアGP・日曜】R・スメドリー「優勝は狙っていない、我々は2番目に速いクルマだった」
予選でフロントロウを独占する速さを見せたウイリアムズ勢だったが、決勝ではバルテリ・ボッタスが3位表彰台を獲得したものの、フェリペ・マッサは4位まで後退。最初からメルセデスAMGと戦い優勝争いをすることは考えていなかったというチームの方針を、ビークルパフォーマンス責任者のロブ・スメドリーに語ってもらった。
ーーフロントロウからスタートして3位・4位という結果ですが、これについては?
「(メルセデスAMGのような)速く素晴らしく統率のとれたチームに勝つことは難しかっただろう。落胆の気持ちも少しはあるが、ポジティブな面に目を向けるべきだろう。我々はクルマのシステム、ブレーキ、タイヤを上手くマネージメントしなければならなかったし、そこだけに集中していた。昨日言ったように3位・4位を獲得することに集中すべきであって、メルセデスAMGと戦うというようなバカげたことをやって失敗すればそれが5位や6位、もしくはもっと酷い結果になっていてもおかしくなかっただろう」
ーーもっとアグレッシブな戦略を採って優勝を狙えなかった?
「今日の我々だって何も問題なく完璧なレースをやり遂げたんだ。これ以上が期待できたとは思えないよ。タイヤやブレーキのマネージメントをやらなければならなかったからね。ホイールスピンも縦方向の荷重も、タイヤに負荷をかけないように抑えて走らなければならなかったんだ。実際、レースを終えたタイヤの摩耗はかなり限界に近かった。もしそれ(アグレッシブなレース)をやっていたら最後まで走り切ることはできなかっただろう。だからこの結果には満足だよ」
ーーアグレッシブにレースをすれば、失うものは大きかったかもしれないと?
「レース中盤の我々はディフェンシブにレースをしていたんだ。フェルナンドの方が長く走れることは分かっていたからね。そして実際に彼はスティントの最後に自己ベストタイムを叩き出していた。だからフェリペにとっての目標はピットアウトした後はしっかりとタイヤをマネージメントして、フェルナンドが追い付いてきてもDRS圏内に入れさせないよう二することだったんだ。もし0.5秒速いラップタイムで走っていたらレースは全く違った展開になっていただろう」
ーーできないかもしれない優勝を狙うよりも、手堅くポイントを獲りたかった?
「バーレーンでの最初の会見で話した通り、ウイリアムズはマシン性能に見合った結果や獲れていたはずのポイントを手にしていなかった。チーム内部というよりもチームの外の人たちから見て勢いみたいなものがあるという感じだった。だから我々としては38ポイント(1位と2位)が獲れるなんて思ってこのレースに臨んではいなかったし、27ポイントを(3位・4位)だって常に獲れるわけではない。我々にとっては今日はその27ポイントを獲ることが重要だったんだ」
ーー最初のピット戦略で首位のポジションを失いましたが、そこはもう少し上手く対処できなかった?
「トップを走っていたのに1回目のピットストップが終わったところで4位に落ちていたんだから、それに関しては満足すべきではないだろう。大きな失望だった。フェリペのピットストップはバルテリよりも少し長く時間がかかってしまったが(3.3秒)、バルテリのピットストップはウイリアムズにとってレース本番での新記録だったんだ(2.1秒)。だから特別遅かったわけではない。それにフェリペはアウトラップでタイヤのウォームアップに苦しんでしまった。全体としてはハッピーなレースだったが、こうしたディテールから眼をそらさずにきちんと対処していこうということはレース後にチームのみんなに伝えたよ」
ーーチーム内でのピットストップの優先順位は?
「前を走っている者が先にピットストップする、それが我々の基本的な方針だ。もちろん常にそうではなくて、それが不利な場合はそうしないよ。今回の場合はニコが早めにピットインしたから、その時点では我々としてはまだピットインできるタイミングではなかったが、ルイスがピットインした時点で我々もこれに続くことにして、前を走っていたフェリペを入れることにしたんだ。メルセデスAMGの2台の間に戻ることになるというのは我々自身も分かっていたよ。しかしそれが上手く行かなかったんだ」
ーー長い間トップ争いをしていなかったから、戦略面や戦い方という面でまだ学ばなければならないところがある?
「確かにそういう面はあると言うべきかもしれない。もっと自分たちのあらゆるディテールまでインプルーブさせる必要がある。そこには魔法などないし、常に進歩すべく努力し続けていくしかないだろうね。
今日の我々は、自分たちよりも速いマシンを持つ非常に優れたチーム(メルセデスAMG)とレースをしていたんだ。彼らにはすでにそれだけの経験があるからこそああいう戦いができる。去年の彼らはトップ争いをしていたが、ウイリアムズは15位や16位を争っていた。これは完全に異なるレースだ。だから我々はトップ争いを学ばなければならない」
ーーマシンの純粋な速さではメルセデスAMGに劣っていた?
「今週末の我々は、実力で2番目に速いクルマだった。予選の結果はメルセデスAMGの2台が問題を抱えたからであって、(ロズベルグは)0.3秒ほど失っていたはずだ。しかも彼らの方がタイヤライフが少し長い。その一方でフェラーリなどと比べれば我々の方が少し長く走れたし、フォースインディアやレッドブルと比べても良かった。とても良い仕事ができたと思うよ」
ーーウイリアムズがここで速かった理由はどう分析していますか?
「ウチのクルマはロードラッグ仕様で空力効率が良くて、そしてここはドラッグやリフト(前後の姿勢変化、ピッチング)が速さに直結するサーキットだから、ウチのクルマに合っているんだ。もちろんパワーが及ぼす影響も大きいから、パワフルなパワーユニットを搭載する我々にとって有利だしね。特になにか魔法があったわけじゃないよ。
逆に我々はダウンフォースがまだ充分じゃないし、次のシルバーストンはダウンフォース量が重要なサーキットだから今回よりも苦しい戦いを強いられるだろう」
(text by 米家 峰起 / photo by Williams)
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