【TECHNICAL FILE】ロータスE22 ディテール写真解説
ロータスE22のディテールを50点以上に上る膨大な高画質写真とともに詳細にチェックしていく。マシン解説本編と合わせてマシン細部を理解する貴重な資料となるはずだ。
【FRONT NOSE】
ツインノーズやタスクノーズなどと呼ばれる、2本の先端を持ったノーズ。車体右側の方が僅かに長く、こちらが“ノーズ”であり、もう一方はノーズではないとして、車体先端が一体でなければならないというレギュレーションの規定を満たしている。しかし実質的には2本のノーズが存在すると言って良いだろう。
フロントウイングは両ノーズの下に吊り下げられるような形でマウントされており、このステーは翼断面形状になっている。その後方にはノーズ本体よりも低い位置までスカートのようにフェンスが伸ばされ、さらにその後方のノーズ下整流フィンと相まってノーズ下にトンネルを形成している。ノーズの左右から車体下に気流を取り込むことは考えず、両ノーズの間から従来通りにマシン下へと気流を導こうという、ある意味では従来通りのコンセプトだ。
【FRONT WING】
フロントウイング自体のコンセプトは従来型を踏襲しており、メインプレーンはスリットで2分割し、その後方に2枚の細いフラップを添えている。メインプレーンの翼端付近は複雑に折り曲げて、3分割となっている翼端板からフロントタイヤ外側へと気流を導いている。2枚構成のアッパーフラップは小型だが、その内側にも整流フェンスを立て、やはり翼端外側へ向けて整流しようという意図が見て取れる。
【FRONT SUSPENSION】
フロントサスペンションはプッシュロッド式を踏襲し、モノコック高の低下を受けて「ハの字」の角度はやや浅くなっている。アームはシンプルな形状ながら幅広でサイドポッドへ向けた整流に配慮し、ダミーカメラはアッパーアーム位置、ステアリングアームはロワアーム位置に配している。
アップライトの内側には前後にブレーキダクトが2つあり、その下や後方には整流フィンを多く装備している。これらも昨年型までのロータスの手法を踏襲したものだ。
【SIDE POD】
サイドポッドは従来に比べて大型になっていてアンダーカットも弱くなっているが、開口面積はさほど大きくない。ポッドフィンは前後2枚に分かれ、うち一方がサイドポッド前端に沿うようにコクピット脇まで伸びて水平フィンになっている。ミラーのステー後方にはさらに2枚の整流フィンを装備してポッド上への気流を制御している。コクピット脇には他車同様に排熱アウトレットの設定を持っているが、後述するようにリアエンドの排熱容量が大きいせいか、このルーバーを積極的に活用する必要はないようだ。
【BODY COWLLING】
サイドポッドの後方は従来同様に落とし込むと同時に内側へ絞り込んでおり、排熱アウトレットは持っていない。しかしエンジン周辺のカウルをそのままデッキ状に後方へ伸ばし、リアエンドは左右に大きく開口して大柄な排熱アウトレットとしている。リアサスペンションは大きな穴を突き抜けるようなかたちでギアボックスへとマウントされている。
カウルの峰には冷却用の小さなエアインテイクと、その後方にはアウトレットの尖りがある。
【REAR SUSPENSION】
リアサスペンションはプルロッド方式を踏襲しており、アーム類はシンプルでさほど凝った作りにはなっていない。ドライブシャフト周辺に整流カバーなども付けられていない。ロワアームはやや高めにマウントされ、フロアとの間に気流の通り道を確保しようとしている。
【REAR WING】
リアウイングのメインプレーンは中央部と翼端部が下がる形状で、ドラッグ低減に配慮している。フラップの中央部を三角形に切り欠いているのも同様の狙いだ。センターピラーは1本式で、エンジン排気管との干渉を避けるために、ピラーは左側、排気管は右側にややオフセットするという特殊なレイアウトを採っている。バーレーンでは排気管のトラブルもあり、このあたりの熟成もまだすすめ切れていないようだ。ここにウイングレットなど細かな空力付加物は装着されておらず、まだE22の開発が充分に進められていないことを物語っている。
翼端板は従来とは異なり後縁部の整流フィンはなく、他チームが採用しているような前縁部のスリットも存在しないシンプルな形状。しかし上縁部には外側から内側へ、そして下端部には内側から外側へ気流を逃すスリットが設けられている。
【DIFFUSER】
ディフューザーの後縁部は2枚構成で、中央部は完全に板で閉じている。しかしリアサスペンションやリアウイング翼端板との連携はさほど見られずシンプルな構成で、このあたりの空力開発もこれから進められていくことになりそうだ。
(text by 米家 峰起 / photo by Wri2, Lotus)
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