【特別インタビュー】ホンダ新井康久②「目標は夢のような話、開幕時点では素人レベルだった」
ーーパワーユニットに話を戻しますが、ホンダとしては、馬力を犠牲にしてでもマシン全体のことを考えてコンパクトにするという設計コンセプトを採ったわけですよね。
「確かに伸び伸び設計すれば馬力は出せます。例えばパワーユニットの最低重量は決まっていますけど、マシン全体としてリアヘビーにならないようにも考えなければなりませんから、パワーユニットの前後長をどれだけ詰めるか、全幅を詰めるかが重要になる。それからMGU-Hそのものはどんなに大きくしても全部を使えるわけではないのである程度サイズは限られてきますけど、ターボは自由なサイズで自由なところにレイアウトして過給すれば本当は楽だし、排気系の取り回しだって排気系そのもので出力を稼いでから排気をターボに入れるみたいなこともできるけど、それを搭載しようとしたらリアが巨大なものすごいクルマになってしまうでしょう。パワーユニットのせいでマシンパッケージが成り立たないというのではクルマ全体の効率が悪くなってしまうし、F1という世界では許されない。そこは我々も強く意識してやってきました。
今回参戦すると決めてから準備を進める中で痛感したのは、パワーユニットの寄与度をどう考えるのかということです。今のF1においてはシャシーのエアロダイナミクスとかメカニカル面の性能というのがものすごく重要な要素で、パワーユニットというのはそれと真っ向反してしまう要素なんですね。その二律背反の事象をきちんと成り立たせるかということが最大のテーマであり、マクラーレンともそのディスカッションは相当やりました。お互いに理想論を戦わせてどこまで突き詰めていくかという作業をずっとやってきて、そのせめぎ合いは技術者として非常に面白かったですよ。おかげで本当にいろんな苦労をしましたけどね(苦笑)。
そういう中で出力を出すというのは、相当な苦労でした。そのために多大な時間も失いました。でも、最後には得るものはちゃんと得られるはずだと感じています。シーズン後半戦にはこのマシンコンセプトの良さが出てくると自信を持っています」
ーー開幕戦オーストラリアGPでも想定外の温度になり、順調にはいきませんでした。
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