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REPORT【報道】

【アブダビGP】小林可夢偉、“集大成”の戦いに賭ける悲壮な思い

報道記事

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 11月16日夜、小林可夢偉はケータハム管財人からのオファーを受け入れ、アブダビGPに出場することを決めた。英国時間の深夜12時前というかなり遅い時間に発表されたことからも、チーム管財人がかなり慌ただしいスケジュールの中でアブダビGPに向けた準備を進めていることが分かる。

 

 旧経営陣の撤退を受けて管財人の管理下でUSGPとブラジルGPを欠場したケータハムは、『#RefuelCaterhamF1』というクラウドファンディングで235万ポンド(約4億3000万円)の獲得を目指し、アブダビGP出場に漕ぎ着けた。その手法に対しては様々な意見が上がっているが、アブダビGPに出場することでチームのF1参戦権を維持し、2015年に向けてチーム存続の可能性を残したという点では評価されるべきだ。ケータハムF1チームを運営するは1マレーシアレーシングチーム社はF1チームである以前にいち企業であり、F1参戦権の意地はその企業の最大の資産価値を守ることに他ならないからだ。

 

 230人のファクトリー勤務スタッフが解雇されたと報じられているが、企業再建の過程にある現在の1MRT社としては当然のことだろう。2015年に向けて新たな投資先を見つけるために、少しでも身軽な状態にしたわけで、投資先が見つかれば従業員の一部は再び雇用されることになる。なお、アブダビGPにはレースチームの約40名が赴くことになっているが、すでに一部のスタッフはチームを離れており、レース運営に支障が出ることも考えられる。

 

 小林可夢偉はオースティンでパドックに姿を見せた際、アブダビGPに出場するとすれば最新型パッケージのクルマとスペアパーツの追加確保を条件に挙げていた。チームのファクトリーでは従業員が自宅待機の状態であり、スペアパーツの製造が果たされたとは考えにくいが、予算さえあれば関連企業であり同じくリーフィールドにあるケータハムコンポジット社(マイク・ガスコインが代表を務める)に外部発注してパーツを製造することも可能だったはずだ。

 

 日本GPで投入された新型フロントウイングを含む最新型パッケージは、チームに運営資金をもたらしていたマーカス・エリクソンに与えられていたが、彼がすでにチームとの契約を解除しアブダビGPに出場しないため、この新型パッケージは可夢偉に与えられることになる。

 

 このパッケージは1月末のCT05初テストから可夢偉が率先して示してきたマシン改良の方向性を形にしたものだ。つまり、可夢偉にとっては“新たなチャレンジ”として臨んだ2014年の集大成がこのマシンであり、すでにエリクソンのドライブでそのポテンシャルは証明済みだ。あとは可夢偉が乗ってどこまでさらにパフォーマンスを引き出すことができるのか、それが可夢偉にとっての2014年の集大成のレースとなる。

 

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 可夢偉は個人SNSアカウントでアブダビGPに臨む複雑な心境を吐露している。

 

 もちろん、ファンの間でケータハム管財人の手法に疑問や批判の声が巻き起こっていることも知っている。最新型パッケージに乗ったからといっても、パーツ不足などの理由で満足なレースができない可能性もある。

 

 しかし、それでも可夢偉はアブダビに行くことを決めた。

 

 なぜなら、これがもう最後のチャンスかもしれないからだ。

 

 来季に向けた情勢は、決して明るいとは言えない。サードドライバーとしてF1界に残ることすら厳しいかもしれない。F1で走るのは、これが最後かもしれない。可夢偉はそう覚悟している。

 

 今の可夢偉は、ドライバーとしても人間としても最も脂の乗りきった状態にあると思う。その能力を発揮する場所が与えられず消えていこうとしていることは、非常に残念でならない。可夢偉自身も、やるせないもどかしい思いを抱えているはずだ。

 

 だが、ここで走らなければチャンスは0%かもしれないが、たとえ傷だらけのマシンとチームでも戦いに挑み、0%のチャンスを0.1%にでもできる可能性がそこにあるなら、可夢偉は走る。

 

 これが2014年の集大成、いやF1人生の集大成、いやモータースポーツ人生の集大成。可夢偉はその悲壮なまでの思いを胸に、アブダビGPに挑む。

 

 後悔したくないから、最後まで戦う。

 

 我々は可夢偉のその挑戦を、最後まで見届けよう。そして、夢が未来へと繋がることを祈ろう。

 

(text and photo by 米家 峰起)

 

 

 

  • コメント ( 4 )

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  1. bule

    正直、この2戦のF1はカムイがいなかったので気合が入らず何となくでしかみれなかったです。
    厳しい状況だと思いますが、とにかく頑張ってください!!!

    来年もカムイの走りを見たいです!!!

  2. ko3731

    来期も厳しい状況だと思いますが前向きに頑張ってください。
    いつまでも応援し続けます。

  3. ManGok

    相当厳しい状況なんですね…
    彼がいないF1は何かが足りません
    見守ることしかできないのが歯がゆいです

  4. senju1027

    誰がいようといまいとF1を見続けてきたのですが、「この人が走らないのであれば見ない」と、初めて思ってしまったドライバーです。いいことではないのかもしれませんが、それだけ小林選手を応援してきました。

    未来がどうなるのか、見てみましょう。

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