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【FIA『AUTO MAGAZINE』】ドライバー統計に見る、日本人F1ドライバーが誕生しない理由

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 FIAが発行する『AUTO MAGAZINE』の最新号ISSUE #8に、興味深い記事が掲載されていたのでご紹介しておきましょう。レーシングドライバーの国籍別統計です。

 

 まず左の円状の棒グラフは、GP2、GP3、フォーミュラ・ルノー3.5&2.0、ユーロF3&英国F3に2010〜2014年の間に参戦したドライバーの人数を国籍別にカウントしたもの。FIAとしてはこの5つのカテゴリーを「F1へのメインステップアップカテゴリー」と捉えていることも分かります。

 

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 F1でも最多人数を誇るイギリス人が圧倒的に多いことが分かります。やはりレース活動を行ないやすい土壌があることと、下位カテゴリーに参戦するレースチームが多数本拠を構えていることが理由に挙げられるでしょう。それにしても、その人数は152人を数えており、これほどまでに2位以下との差が大きいとは思いませんでした。

 

 2位はフランス(77人)、3位はイタリア(70人)、4位はブラジル(62人)と、伝統的に多くのドライバーが輩出してきた国々が並びます。

 

 注目すべきは、5位にランクインしているロシア(54人)。国内景気の後押しもあって、ここ数年で急激な伸びを示しています。

 

 一時は多くのF1ドライバーが誕生したドイツは25人で9位にまで後退しています。ケビン・マグヌッセンがF1デビューを果たしてF1熱に沸いているというデンマークは21人で13位タイです。育成プログラムの強力な後押しがあると思われていたメキシコは13人で19位タイ、ベネズエラは11人で21位タイでしかありません。そもそもレーシングドライバーの数が少ないことや、一極集中型で育成支援の幅がそれほど広くないことが理由にあるのかもしれません。

 

 我らが日本は10人で24位タイ(ベルギー、マレーシアと同数です)。これを多いとみるか少ないとみるかは人それぞれですが、これだけ主要な自動車メーカーがありながらこの人数の少なさは少し物足りないと言うべきかもしれません。

 

 この統計の対象になっている2010年以降というのは、ちょうど自動車メーカーがF1から撤退しモータースポーツ活動を縮小した時期ですし、ここにカウントされているのはほとんど全てが自分の力でこれらヨーロッパのレースに飛び込んでいった人たち。これからホンダを初めとした支援の幅が広がっていくことを期待したいところです。

 

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 一方、過去5年間の上位各国の、各カテゴリー別の人数も明らかにされています。

 

 こうして見るとまず、イギリスが常にトップの座を占めていることが分かります。しかも各カテゴリーにまんべんなく多くのドライバーが参戦しています。

 

 2位はフランスが占めているものの、2012年以降はロシアが一気に上位に上がってきているのが分かります。ただし、ロシアは変わらず12人であり続けているだけで、むしろ他の国が減少しているだけだということにも要注意です。

 

 その一方で、2012年まで3位にいたブラジルは姿を消し、前述のように5年間の総計では4位にランクインしているものの、これからさらに後退していくことが考えられます。2010年には2位だったスペインも、急激な減少傾向に歯止めがかかっていません。

 

 日本人F1ドライバーがなかなか誕生しないと言われますが、上位各国がこれだけ層が厚いことを見れば、それも当然のようにも感じられます。おそらく、もっと多くのドライバーが当たり前の様にヨーロッパで戦えるような環境ができて初めて、F1の世界でも日本人ドライバーが増えていき、その中から優勝したりチャンピオンを争ったりする傑出したドライバーが登場してくるのでしょう。

 

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 なお、このFIA『AUTO MAGAZINE』は自動車ならびにモータースポーツ界に関わる関係者に無料で送付されている雑誌です。発行部数は5000部だそうですが、普段は目にすることができない内容が描かれていてなかなか興味深いと言えます。

 

 こちらで雑誌の概要を見ることができますので、チェックしてみてください。PDFで全誌面を読むこともできます(今回ご紹介した#8はまだ公開されていないようですが)。

 http://www.fia.com/multimedia/auto

 

(text and photo by 米家 峰起)

 

 

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