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【アプレゲールですいません。】5月1日、あれから20年。
アイルトン・セナが亡くなってから20年目の5月1日を迎えました。
僕にとってセナはF1を好きになるきっかけとなった人物でしたし、それからもずっとセナは特別な存在であり続けました。
あのF1ブーム真っ只中の1990年代初頭に、セナとマクラーレン・ホンダに熱狂した人はたくさんいたと思います。しかし、ホンダがいなくなり、セナがいなくなり、そんな中でみんな少しずつF1から遠ざかっていきました。気付けば、本当にF1が好きな人だけが残っていた。
その後、ホンダが戻ってきて、トヨタもF1に参戦し、佐藤琢磨が活躍しスーパーアグリも奮戦して、日本のF1に対する関心もまた高まりはしましたが、あのバブルの頃のような熱狂が戻ってくることはきっともうないでしょう。
僕はこの仕事を始めてから初めてブラジルを訪れる機会に恵まれ、セナが眠るモルンビーの墓地にも足を運びました。広大な芝生の中に、他の埋葬者と同じようにごくささやかに墓碑が埋め込まれ、彼はその地で静かに眠りについていました。
この5月、世の中ではもう一度セナに目を向けようと、いろんなところでセナ特集が組まれることでしょう。
でも、セナが戻ってくることはありません。
20年の歳月が経って、新しい事実が世に出て来るということももうほとんどないでしょう。
今はただ、あれから20年もの時間が流れたこと、彼の死が端緒となってF1がこれだけ進化してきたこと、そして今も変わらず自分がそのF1を愛し続けてきたことを静かに噛み締めるだけ。そんな5月1日の迎え方があっても良いんじゃないか、そんな気がしています。
(text and photo by 米家 峰起)
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