【アプレゲールですいません。】若手を阻む壁
集英社『Sportiva』さんの新年会で知り合った野球ライターさんに、気になっていたことを聞いてみました。野球選手を志す若い子が、経済的な理由でチャンスに恵まれなかったり、その夢を諦めなければならなかったりということがあるのですか?ということです。
モータースポーツの世界では、当たり前の様に莫大な資金が掛かります。F1はちょっと別としても(最初は払う方でも、成功すれば莫大に払ってもらえる方になれますから)、GP2ともなると1年で億単位のお金が必要になりますし、F3だって今や6500万円とか7000万円くらいのお金が掛かります。若手の登竜門であるFIA-F4だって、最初は年間1500万円と言われていたのが(それでも充分高い意ですが)、今や普通に走るだけでも2000万、上位を争うならテスト走行も含めて2500万円とかいう現実離れした状況です。カートだって、全日本選手権で上位を走るためには1000万円以上かかってしまうそうです。
こんな金額、一般家庭ではおよそ無理です。“入口”であり腕試しの場であるはずのこうした入門カテゴリーの参戦費用がここまで高騰すると、若手ドライバーたちはそもそも自分に才能があるかどうかを確認するチャンスすら手にすることができません。今のモータースポーツは、入口からしてそんな状況なのです。
では野球はどうなのかというと、やはり多少はそういう面があるそうです。
甲子園に出場するような名門校に入るためには、中学から活躍できる学校じゃなきゃいけないし、そのためには小学生のうちに名のある野球クラブに入らなきゃいけない。そのためには会費も必要だし、親が送り迎えをするか家庭によっては近所に引っ越さなきゃならないところもある。サッカーとは違ってユニフォームだけじゃなくグローブやバットなどの道具にもお金が掛かる。
いくら野球が好きでプロ選手に憧れても、親の経済的な理由で野球の道に進むことができない子供もたくさんいるそうです。
でも、モータースポーツはその何十倍も何百倍もお金が掛かりますから、自体はもっと深刻です。
日本ではトヨタ、ホンダ、ニッサンあたりが若手育成プログラムと呼ばれるものを運営していますが、それぞれ各メーカーの都合や大人の事情もあり、純粋に才能のあるドライバーが支援を受けられているかとか、本人の望むレース活動ができているかといえば、微妙なところもあります。
2017年シーズンを前に、日本のFIA-F4では同選手権を運営するGTアソシエイションが有望な若手に参戦費用を支援するというプログラムをスタートさせるそうです。もちろんスポンサーをかき集めて参戦費用を自腹で払っている人たちにとっては「なんだよ!」という感じかもしれませんが、本当に才能のあるドライバーならばこうした支援を惜しまないという団体がもっと出てきてくれることを願いたいですね。
(text and photo by 米家 峰起)
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