【アプレゲールですいません。】それ、新車じゃないですよ!
各メディアで報道された通り、昨日はホンダさんが青山本社でF1記者会見を開きました。1階のウエルカムプラザが一杯になり、後から後からどんどんイスを加えていかなければならないほど大勢のメディアが集まっていて、ビックリしました。「メディアの方が浮き足立ってんなぁ」なんて言ってる人もいましたけど(苦笑)。
フジテレビさんはもちろんのこと、他の民放各社やNHKまでもが取材に来ていて、ホンダがF1に参戦すると言うことのスポーツニュースとしてではなく経済ニュース・社会ニュースとしてのニュースバリューの高さを痛感しました。本当にバリューが高いかどうかは別として、一般メディアのみなさんがそう考えているということで。
ただ、僕がちょっと気になったのは、いくつかの一般メディアは「ホンダがF1参戦車両を公開」という伝え方だったことです。
熱心なファンの方ならご存じの通り、発表会のステージに展示されていたのは“ショーカー”です。正確に言うと、昨年型MP4-29のボディに今年型のノーズを無理矢理つけて(本当はモノコックのバルクヘッドの高さも違いますから)今年型のカラーリングを施したドンガラです。モノコックのかたちも、MP4-30最大の特徴であり会見の中でも何度も出て来た“コンパクトでタイトなパッケージ”のサイドポッドもリアカウルも、全然違います。正直言って、ヘレスで見たMP4-30の実車とは全然違う印象でしたよ(ノーズ先端は同じでも、モノコックへのヌメッとしたラインが違いますからね……)。
で、何が問題かというと、ホンダ側も「展示されているのはショーカーです」と注意案内はしていたんですね。会見の中でも、「これが新車です」とは一言も言っていないし、ベールをめくってクルマを発表したわけでもない。最後に出席者がショーカーの前に立って記念撮影をしただけです。
それなのに、いくつかのメディア、それも大手メディアが「新車を公開」とか「参戦車両を公開」という報じ方をしたわけです。あの会見から、彼らはそういうふうに理解したわけです。あの会見の中で最も注目すべき要素が「参戦車両」だと捉えたわけです。
彼ら一般メディアにとってみればF1なんてその程度の注意しか払わなくて良いニュースなのかもしれないですが、その勝手な理解の仕方も「?」だし、それがそのまま報じられちゃっているのも「?」です。だって、間違った情報を流しているわけでしょう? 人の生き死にには関係ないし些細なことかもしれないけど、僕はそういうメディアは他の分野の報道においてもちょっと信用できなくなりますね……。
もう一方では、「絶対に勝ちます」とか「トラブルは出てるし大変だけど大丈夫です」とか言うばかりで、発表される内容が薄かったのも原因のひとつだと思います。正直言って、僕がヘレスで感じたあの雰囲気がメディアの人たちに伝わったとは全然思えなかったです。会見の方に内容がなかったから、自然と一般メディアの報道の中心が「車両発表」に行ってしまったのかなぁという気がします(それしかなかったと言うべきか……)。
個人的な感想を言わせてもらえれば、専門メディアも含めて世間の大部分の人たちはテストの“数字”だけしか見ていなくてかなり後ろ向きな印象を持っているようですが、僕らがヘレスで感じたように前向きにさせるだけの説得力のある話が昨日の会見では出てこなかったように感じました。本社は開幕戦を前に“打ち上げ花火”を上げるのを怖がっているんでしょうかね……。
(text and photo by 米家 峰起)
必ずしも正しくない情報なんだろうけど、今日職場ではマクラーレンホンダの話題で持ちきりでとても嬉しかったです。これをきっかけに少しずつファンが増えてくれると良いのですが。
そう言うファンが定着するにはヨネヤさんのように正しい情報を伝えてくれるメディアの出番ですよね。
そうですね、F1に詳しくない人がF1に接する機会になるし、1人でも多くの人に「また見てみようかな」と思ってもらえると嬉しいですね。そのためには、F1の魅力を分かりやすく伝える術がまだまだ足りていないとも思います(CS放送のようなマニアックな伝え方も必要ではありますが・・・)ので、頑張ります!