【Rd.14 ITA】徹底分析②:中団最速はハース、トロロッソは獲れたはずの11位をミスで逃す
モンツァでの中団グループは2つに分かれ、ハース、フォースインディア、カルロス・サインツ、ウイリアムズ勢は拮抗したペースを見せたが、それ以外のマシンは中団上位グループに着いていくことはできなかった。
中団のトップを走り続けたのはハースのロマン・グロージャン(グレー色・太線)で、第1スティントではフォースインディアのエステバン・オコン(ピンク色・細線)を上手く抑えて走り続けた。しかし20周目を過ぎたあたりからペースが厳しくなり、早めのピットイン。その結果、中団上位グループのウイリアムズ勢の後ろに回り、しばらく彼らの後ろで抑え込まれることとなってしまった。
その一方でフォースインディア勢は38〜39周目まで引っ張るタイヤマネージメントの巧みさを見せた。グロージャンは辛くもここでフォースインディア勢の前に留まり、オーバーカットされるのを阻止した。
第2スティント後半もタイヤエイジが20周近く若いフォースインディア勢に対して苦戦を強いられたが、なんとか最後までタイヤを保たせてかれらを抑え込んで中団トップの6位でフィニッシュして見せた。レース後にルノーの抗議によってマシン規定違反が判明し失格となったが、純粋な速さとタイヤマネージメントで上回っていたフォースインディアを抑え込んで前でフィニッシュしたのは好レースだった。
フォースインディアの速さを証明してみせたのがセルジオ・ペレス(ピンク色・太線)で、予選では下位に沈んだがレース序盤に中団下位勢をすぐにオーバーテイクし、ウイリアムズ勢とカルロス・サインツ(黄色・細線)も実力でコース上でパスしてみせた。
ペレスに抜かれてからのサインツはフォースインディア勢に着いていくことができず、ルノーのタイヤマネージメントの厳しさを改めて示すかっこうになった。フォースインディア勢と同じ戦略でピットストップを終えた頃にはハースとフォースインディアの集団から大きく引き離されてしまっていた。
トロロッソ・ホンダのガスリー(青色・細線)は、9番グリッドからのスタートだったが1周目の第1シケイン、第2シケインで行き場をなくして11番手にポジションダウン。さらに4周目のセーフティカーリスタート時に前のフェルナンド・アロンソ(オレンジ色・太線)に仕掛けるが、2台で並んで入っていくかたちになり、縁石イン側のソーセージに乗り上げてマシンにダメージを負った。
ターン1で行き場がなくなった場合には無理にシケインを通過するのではなく、即座にランオフエリアに逃げて万夫を避けながらカットしてコースに戻るのが通例であり、マシンのダメージを最小限に留める方法だ。行き場がなくなりながらもアロンソ攻略に固執してターン2へと向かっていったガスリーのアタックは、やや強引だったと言わざるを得ない。
さらにダニエル・リカルドがターン1で飛び込んで来た際にも接触を受け、ダメージを大きくしてしまった。トロロッソはマシンのダウンフォース量を測定するセンサーのデータ上は大きな問題はないと報告していたが、ガスリーはマシンの不調を感じ取り、ダウンフォースのロスやマシンバランス変化を訴えてペースが低迷した。
これがマシンのダメージによるものなのか、集団混走の中でのSTR13本来のポテンシャルだったのかは分からない。
ガスリーは後方からの追い上げでダウンフォースを削っていたニコ・ヒュルケンベルグ(黄色・太線)に抜かれ、そのペースに着いていくことができたものの遅いペースに付き合わされた感はある。さらにピットストップでタイヤ交換に手間取り3秒ほどをロスしており、このせいでシャルル・ルクレール(紫色・細線)とストフェル・バンドールン(オレンジ色・細線)にアンダーカットを許してしまった。そして最後はスーパーソフトに履き替えたヒュルケンベルグに再び抜かれて14位フィニッシュ。
マシンダメージの影響があったとしても、こうした細かなミスがなければガスリーはルクレールの前11位でフィニッシュできていたはずだった。フランツ・トスト代表は怒りを露わにしてコメントも拒否しサーキットを後にしたが、それは取れたはずの順位を取ることができなかった不甲斐なさに対する怒りだったのだろう。
(text by 米家 峰起 / photo by Haas, Force India, Toro Rosso, Pirelli / data by F1LIFE)
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