RACE【レース】

20141006-01

 

 日本GPの決勝43周目に発生したジュール・ビアンキの事故の様子が徐々に分かってきた。

 

 現場で事故を目撃していたカメラマンや観客の証言によると、ビアンキのマシンはすでにスピンオフしてタイヤバリアに刺さっていたエイドリアン・スーティルと同じようにダンロップの出口付近を流れる川に足下を掬われ、リアが流れた。スーティルの場合はそのままスピン状態に陥ってグラベルで減速しながらタイヤバリアに突っ込んだが、ビアンキの場合はカウンターを当てたところマシンが右を向き、180度回転して後ろ向きにまっすぐコースオフしていった。

 

 不運なことにそこにはスーティル車の撤去作業中だったクレーンがあり、グラベルでほとんど減速することなく斜め左側のリアからクレーンに激突した。

 

 その衝撃は凄まじく、スーティル車を吊り上げていたクレーン車が大きく前のめりに揺れたという。スーティル車を支えていたマーシャルも衝撃で弾き飛ばされた。ビアンキのマシンはリアエンドが大破し、「家が倒壊するようなバリバリッという激しい音がした」といい、フロントエンドを左側面からタイヤバリアの端にぶつけるような形で最終的に止まった。事故直後の写真で、ビアンキ車がクレーン車とタイヤバリアの間に横たわるように止まっているのはこのためだ。

 

 さらに不運だったのは、車高の低いF1マシンがクレーン車の下に潜り込むようなかたちになってしまったことで、リアエンドからパワーユニットにかけての部分が壊れただけでなく、その先にあるモノコック後端のロールフープまでが損傷を受けてしまったことだ。その瞬間にもう左リアタイヤは右側まで押し出されていたというから、いかに激しくクルマが衝突し潜り込んだかが分かる。

 

20141006-02

 

 何よりも衝撃的だったのは、コクピット後方のロールフープが完全に折れてしまったことだ。以前のモノコックはバスタブからロールフープまでが一体成形されていたが、近年はエンジンのインダクションボックスを兼ねたロールフープ部分が別体パーツとして成形されている。今回のクラッシュではモノコックが割れたのではなくこのロールフープ部分が外れた状態になったわけだ。

 

 もちろん上・横からの静的荷重テストは義務づけられており従来同様の安全基準は満たしているが、こうした想定以上の衝撃が加わった事故の際にこれが完全に取れてしまうという結果になったことは関係者に大きなショックをもたらした。

 

 その際にビアンキは頭部左側に外傷を負ったとみられる。コクピットから救出される際、念のため酸素マスクを装着されたビアンキの頭部に大きな出血などの様子は見られなかったというが、搬送先の三重県立総合医療センターからの情報として父フィリップは急性硬膜下血腫の状態で緊急手術を受けたとしている。

 

 いずれにしても、今後早急にマシンの安全性向上やレース運営面での対策が講じられることになるだろう。

 

(text by 米家 峰起 / photo by Wri2)

 

 

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