REPORT【報道】

20140209-03

 

  設計変更の必要性が生じるほどヘレス合同テストで深刻な問題を抱えたレッドブルRB10だが、その開発責任者であるチーフテクニカルオフィサーのエイドリアン・ニューウェイは、1月28日の新車発表の時点ですでにパワーユニットの信頼性がカギになるであろうことに言及していた(ニューウェイ自身は3日目の時点でノーコメントでサーキットを後にしている)。

 

 さらには、安全性向上のためのローノーズ規定が、逆に安全性を脅かす事態が起こりうるのではないかと警鐘を鳴らしている。

 

——新レギュレーション下でのRB10の開発について、教えてください。

「大きなレギュレーション変更というのは、我々にとって大きなチャレンジだ。パワーユニットについてはルノーと共同で膨大な作業を進めてきたし、2009年ほどではないにせよ、今年は空力レギュレーションも大きく変更になっている。ノーズとフロントウイング、排気管、そしてリアのビームウイングの変更によってかなりのダウンフォースは失われている。これをいかにして取り戻すかという勝負になる。しかし我々は昨シーズン後半もチャンピオン争いをしていてRB9の開発を続けていたから、スケジュール的には非常に厳しかった」

 

——2013年後半はリソース配分に苦しんでいた?

「昨年はタイトルを争う上で8月が非常に重要な時期になった。そのため6月から9月にかけてRB9の開発に重点を置き、RB10の開発を妥協せざるを得ない側面があったんだ。その影響を受けてスケジュールが圧迫され、それに対処しなければならなかった。基礎開発を進める前にバックグラウンドでリサーチをする時間が充分にとれなかったんだ。時間こそが我々にとって最大の戦いだったね」

 

——2014年レギュレーションの最も難しかった点は?

「ターボエンジンというのはF1界にとっても別に新しいものではないし、それほど難しいことではない。しかし難しいのは電気的な面だ。これが非常に複雑なんだ。このようなハイブリッドカー、電気自動車を作り上げ走らせるためには、膨大なリサーチが必要になる。

 去年まではKERSにトラブルが発生すれば交換することができたが、今年からはKERSはパワーユニットに完全に統合されているから、KERSトラブルも許されなくなるしね。

 バッテリーの搭載位置が燃料タンク下と規定されて自由度が大きく制限されてしまったことも残念だ。特にそちらの方が安全だとは言えないと思うしね。従来のレギュレーションでは我々はギアボックスの脇に配置し、重量配分上の大きなアドバンテージを得ていたんだけどね」

 

——非難の声が上がっているノーズについてどう思われますか?

「まだ他チームのマシンは詳しく見ていないが、正気でないほど醜いね(苦笑)。レギュレーションがこのような醜いマシンを生み出してしまったことは非常に残念に思うよ。我々技術者としては、フォルムに固執することなく、レギュレーションの中で最速のパフォーマンスを実現するソリューションを見つけ出すしかない。しかしマシンのフォルムや音が魅力的でないのは残念に思う」

 

——チーム内では何か呼び方があるのですか?

「特に名前というのはない。我々の場合はレギュレーションを満たすためにノーズの先端にキールを設けているから、そういう意味では『キールノーズ』と呼ぶことはできるのかもしれないけどね」

 

20140209-04

 

——必ずしもこのノーズが安全性を高めるわけではないとお考えですか?

「このノーズ規定というのは、衝突時にノーズが持ち上げられてマシンが宙に浮くことを防止することを目的として、FIAのリサーチの元に策定されたものだ。数年前のバレンシアでマーク(・ウェバー)のマシンがコバライネンのマシンに乗り上げて宙を舞ったようにね。

 しかしローノーズにしたからといってそれが防止できるとは限らないと思う。タイヤに乗り上げてしまえば同じことだ。1992年のエストリルでのパトレーゼとベルガーの接触事故にしても、1993年のモンツァでの2大のミナルディの事故にしても、いずれもローノーズでもマシンは宙を舞っただろう?

 むしろ私は逆に、接触したマシンが下に潜り込んでしまうという事故が起きる可能性を憂慮している。マシンが前走車の下に潜り込んで、リアの衝撃吸収構造がドライバーに当たるといったようなもっと酷いシナリオだって充分に想定できる。数年前にシューマッハがスタート直後にスピンしてそこに他車が乗り上げた事故があったが、ローノーズのマシンではああいうケースがもっと酷い結果になってしまう可能性もあると思う。このノーズによって危険性はむしろ増すのではないかと憂慮しているよ」

 

——2014年シーズンのマシン開発はどこに重点が置かれることになりそうでしょうか?

「最初の数戦は信頼性に重点が置かれることになるだろう。開幕戦がどのような展開になるかはまだ想像することは難しいが、間違いなく冬のテストは赤旗が多く出ることになるだろう。

 まず開発の主眼は新型パワートレインを中心とした信頼性の確立に置かれることになるだろうね。燃料流量制限などその制御系も含めてね。それが確率されてようやく空力面の開発に移行していくことになるだろう。どのエリアが中心になるかはまだ予測ができないが、フロントウイングの変化は非常に大きく、翼端板の位置が変わったことによるフロントタイヤ周辺からマシン全体に対する気流への影響は大きかった。タイヤの真ん前に来てしまったのは、想像しうる中で最悪の位置だ。これを上手く処理するのは簡単なことではないよ。

 

——現時点でどのチームがリードしているでしょうか?

「とにかく今年はどのチームが有利か、どのチームが速いかを予測することは全く不可能だ。しかしシーズン序盤戦はエンジンメーカーごとのフォーミュラ(戦い)になるかもしれない。これまでのエンジンに比べてこのパワーユニットはまだまだ開発途上にあるからね」

 

(text by 米家 峰起 / photo by Red Bull)

 

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