REPORT【報道】

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 F1から離れていたこの1年間で、小林可夢偉は何を思い、どんなことをして、どう進化したのか。私の関心はそこにあった。それを可夢偉本人の口から聞いてみたかった。いつものように照れてはぐらかすかと思っていたが、予想に反していつも以上に素直に語ってくれたように感じられた。

 

 スクーデリア・フェラーリの一員として参戦したGTレースで得たもの、そして精神面での進化。それを自信の源として、可夢偉は2009年の最後にトヨタでチャンスを掴み取ったあの時と同じような純粋な気持ちでこの2014年のチャンスに臨もうとしている。

 

ーー2012年の小林可夢偉と2014年の小林可夢偉はどう違う?

「3年間フルで戦って、1年休んで感じたことを全てまとめてここでやって、それが通用するかしないかですよね」

 

ーー小林可夢偉はこの1年でどう進化したんだろう? ドライビングの技術は今さらそんなに変わるものではないよね?

「基本は変わらへんけど、GTに乗って引き出しが増えたという自信はあるんですよ。今までGTなんか乗ったことなかった人間が、重量もF1の倍以上あるクルマで走るって、なかなかパッと合わせられるもんじゃないですよ」

 

ーー勝手なイメージだけど、F1に比べて全然遅いGTに乗ったって得るものなんかないだろうと思ってしまうけど?

「いや、それは逆。例えばウイリアムズとかはマルドナドとか『オマエ運転ヘタやから』って一般車で荷重移動のトレーニングとかやらされるくらいやから。GTとか重量のあるクルマの方が、リアが流れた時のコントロールとかは難しいんですよ。重いから限界は低いし、きちんとコントロールしてあげないといけない。“気持ち”ではいけないんですよ(笑)、カートとかは軽いから行けますけどね。重ければ重いほど運転はシビアで、セオリー通りに走らなきゃいけないわけです」

 

ーーそういうクルマの方がセオリーを学ぶのには適している?

「適しているとは言わへんよ。でも今自分に何が必要なのか、何を勉強するべきなのかということを理解した上で走れば、充分に価値があるんですよ」

 

ーーそれだけドライビング技術も成長した?

「それは(F1で)走ってみないと分からへんけどね。根本的には変わらないと思うんです。でも、なんかあったときの対応、こういう時にはこうしたらいいっていう引き出しが広がったとは思いますね」

 

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ーー1年間F1から離れてみて、精神面での成長は?

「まぁ、現実もよく見えたし、今の時代のF1ってドライバーだけじゃ無理だということも実感したし、だからこそいろんな経験をしていろんなことをやっていかなきゃいけないんだろうなと思ったんですよね。F1ドライバーってスポーツマンというジャンルに入れても良いのかなっていうところにきてると思うんですよ。トップチームならスポーツマンとしてのことに専念することが出来るんですけど、下の方のチームにいくとそうではないと思う。そのへんが残念な所ではありますけどね……」

 

ーーF1から離れている間にいろいろ考えたと思うけど、一番考えたことは何?

「人間って面白いよなぁって思ったよね。F1ドライバーじゃなくなった瞬間に冷たくなる人もいれば、そうじゃない人もいるし。ほんなら、そう言う中で自分をどうやって作っていけばいいんやろとか、いろいろ考えましたね。それで、これまでとは違うやり方をしないとダメやなって思ったんです。F1ドライバーじゃなくなった瞬間に、中途半端に名前だけが残ったでしょ? それで変にツラい部分もあったし。

 そうやっていろんな経験をして、自分をどうやってプロモーションしていこうかっていうことを考えて。F1とは全然違う世界に目を向ければ、全然楽しいじゃん!って思うこともたくさんあるし、そういうのを採り入れていこうと思ったんです。レース、レースっていうと誰も楽しくないでしょ?」

 

ーー「シーズン開幕に向けて一番追い込めている」とツイートしていたけど?

「身体だけですよ、多分。トレーニングは間違いなく一番頑張ってるし、体重も一番軽いんですよ。トレーナーなんていなくても良いんですよ、これだけやってたら何をすれば良いかなんて自分でも分かってるし」

 

ーー2014年に向けて、どういう気持ちで臨む?

「ここで上手く行くか行かへんかで、来年F1にいるかどうかが決まるから。2009年にトヨタで乗れることになった時、1戦しかチャンスがない中で『何かしよう』じゃなくて『楽しもう』って思ったんですけど、今の気持ちもそれと同じですね。楽しく精一杯やって、それであかんかったら綺麗にF1を諦めて次のことを考えるっていうね。そんなもんですよ。これがダメだったらもうないですよ、チャンスは。それくらいの気持ちでやります」

 

ーー1年間、F1に乗っていなかったわけだけど、不安はない?

「いや、全くなくて、逆に自信になったくらい」

 

ーーその自信の源は?

「やることはやったから、あとは信じるだけでしょ。一生懸命、楽しくやって、あとはやるだけです!」

 

(text by 米家 峰起 / photo by Wri2, Caterham)

 

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