REPORT【報道】

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 昨年の日本GPでパドックに姿を見せた小林可夢偉は、2014年に向けた交渉状況や心境を語った。2013年にF1を離れることにした決断への後悔や、スクーデリア・フェラーリの一員としての活動で得たもの、そして2014年にF1に戻れなければその先の復帰は厳しいだろうという決意も。F1から離れていたこの1シーズン、可夢偉はどんな思いで過ごしてきたのだろうか。そして、この2013年は彼にとってどんな意味があったのだろうか。

 

ーー日本GPのパドックにやってきた気分は?

「今年はレースをするためではないですが、こうしてF1のパドックに戻ってこれて良い気分です。特に鈴鹿は大勢のファンの人たちにも会えますし、特別ですね。テレビで見ていてもこんなに大勢のファンがいるレースはそう多くありませんからね。トークショーやパドッククラブの挨拶など、いろんな予定をこなすことになっています。そんなに忙しいというわけではないし、もちろんレースで忙しい方が嬉しいんですが(苦笑)、チームの技術ミーティングなどいろんなことに時間を費やす予定です」

 

ーーF1を離れた今シーズンは、どのような心境で過ごしてきましたか?

「今年1年間、F1の世界はお休みしましたけど、WECはやっていましたし、運転の技術とかいろんな意味で良い経験ができたと思います。自分の中では、F1はちょっとお休みして一歩下がった状態で見てみてどういう感覚を持つのかということだったんですけど、すごく良い経験になりました」

 

ーーどのような良い経験が?

「去年まで3年間F1を戦ってきたわけですけど、自分の中では何か新しい引き出しを増やさなければいけないなと感じていました。3年間F1をやってきた中で、毎年クルマが変わるごとにドライバーの引き出しが広くないとすぐに対応できなくて苦労する部分があって、そういう面で自分に足りない部分というのを感じていました。

 そういう時に別のカテゴリーのクルマでレースをしたことで、その引き出しが増えましたね。これで来年F1に戻れれば、今まで以上に強い自分になって戻って来られると思っています」

 

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ーー具体的に言うと、どんなことを学んだ?

「WECでは僕はセッティングしないという一点張りなんです。なぜかというと、他人が満足するクルマに乗って、どうやってその人より速いタイムを出すかという勉強なんです。そうやって自分の引き出しを広げようと。

 フィンランド人のチームメイトなんですが、彼はド・オーバー(ステア)のクルマが好きなんです。それをどうやって運転するかというのを自分の中で研究して、今はチームの中で僕が一番速いというくらいのところまで来ているので、とても良い経験ができたんじゃないかと思います」

 

ーーWEC以外ではどんな活動を?

「GTではレースをしていますけど、F1の現場に来るとぶっちゃけ“パシリ”みたいなもんで(苦笑)、レースドライバーができないようなことをやったりしていますね。イベントでもレースドライバーの前に行ってリハーサルをやったりとか(苦笑)。でもそれはトップチームという大きな組織の中でそういうことを知るというのも、これも良い経験ができたなと。トヨタでも(リザーブ時代に)経験しましたけど、フェラーリのようなトップチームはまた違いますからね。

 言うても僕はまだ27歳やし、このチームに乗ってるのは30歳超えたドライバーばっかりですからね。そういうことも分かった上でこのチームに来たし、そういうことも含めて楽しんでやって来た結果、意外と短かった8カ月でしたね」

 

ーー2014年に向けた交渉状況は?

「まぁ順調ですけど、相変わらず僕は詳しいことは言いません。そういうのを言うのが嫌いなので(苦笑)。確かにF1って『僕はここにいますよ!』って自分で騒いで存在をアピールしないといけないのかもしれないですけど、チームの上の人たちはそんなことを言わなくても僕のことは分かってくれているし、だからこそ今フェラーリにいて、F1ではないけどGTに乗れているわけですしね。今年もF1の現場にはほとんど来ていませんけど、それでもこちらから何も連絡しなくてもいろんなチームの人から連絡は来ていますし、裏ではしっかり動いていますから。

 日本人、侍とか忍者って、『自分はここにいる』なんて言わないじゃないですか。そうじゃないといけないなと。全く意味分からないですけど(苦笑)」

 

ーーフェルナンド・アロンソも侍の精神が大好きだし?

「そうみたいですけど、そんなこと言われても僕はホントの日本人なんでね(苦笑)。好きだっていうのと、ホントに日本人だっていうのとはまた違うでしょ」

 

ーー技術規定が変わる2014年にF1に乗ることの重要性については、どう考えていますか?

「自分にとっては今年よりも来年から乗るという方が確実に大切だと思うし、今年はこうなるだろうという予想もしていたんです。ルールもそんなに大きく変わっていないし、何も変わることなく単純に去年からの進化版で戦って、お金のあるチームがそのまま伸びていって、下のチームは厳しくなるっていう展開は、結構想像できていました。

 2014年にはエンジンがターボに変わるし、その影響でマシンの空力面も大きく変わります。だから必要とされる経験というのもこれまでとは違った方向に行くと思います。もちろんそういうときには経験のあるドライバーが有利だし、実際に2009年に空力規定が変わった時にもそうでした。ドライビングスタイルも変わるでしょうが、そういうドライバーの方がすぐに適応していましたしね。

 正直言うと、自分の中でこれで良かったんかなって疑問に思う時もあるんですけど、結果的にこれで良かったんやと思います。来年F1に戻れさえすれば問題ないと思います」

 

ーー下位チームには乗らないと言って2013年は休養を選びましたが、来季は多少ハードルを下げてでもF1に復帰することを優先する?

「自分からわざわざ遅いチームには行かないけど、自分が乗れる可能性のあるチームの中でできるだけ良いチームに行くという、単純な話ですね」

 

ーー来季F1に戻れなかったら、その先の可能性は厳しい?

「そうですね、単純にそうだと思います。とにかくレースをすることが大事なんで、来年はドライバーとしてここ(鈴鹿)に戻ってきたいと思っています。応援をよろしくお願いします。まぁまぁ、そんな焦らずにもうちょっと待ちましょうよ(笑)」

 

(text by 米家 峰起 / photo by Caterham, Ferrari)

 

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