REPORT【報道】

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 12月11日、スーパーフォーミュラのテスト2日目は雨。午前中は水量が多い状態が続き、中古ウエットタイヤがウォームアップせずに苦労させられた小林可夢偉だったが、雨が上がって水量が減った午後は徐々にペースアップ。そしてセッションの最後にドライタイヤを履いた途端、可夢偉は他ドライバーとは別次元の速さを見せた。

 本人は全くプッシュをしたという感覚はなく、路面がどんどん乾いていく中でまだアタックに入る前に赤旗で終了になってしまったというが、結果的に2番手の中嶋一貴に1.407秒の差をつけたように、様子見の段階から可夢偉が次元の違う速さで走っていたことの証でもある。

 

ーー今日も最後にベストタイムを記録して、2日間ともトップで終えました。

「まぁ、最後はコンディションがこんな(どんどん乾いていく状況)やったからあんまり関係ないけどね(苦笑)」

 

ーーでも残り10分での赤旗明けでみんなドライを履いてアタックに入った中だから、条件は同じだったはず。

「あ、そうなんや? あんまり(トップタイムを出そうとか)そこらへんは意識せずに、タイムアタックとかいう感じでもなく、どうせ新品タイヤを買ってたのに使わずに終わるのももったいないから、最後にとりあえず使っとけ!みたいな感じで(笑)」

 

ーーということは、そんなにプッシュはしていなかった?

「全然、全然。ホンマに全然プッシュしてなくて、流してただけですよ。頑張ってアタックしたっていうんじゃなくて、まだ(路面コンディションを見ながら)ちょっとずつタイムを上げていってる段階やったから。一発ドカンっていう走りは全然やってないんですよ。赤旗が出てなければあの後も1分14秒、13秒って上がっていってたと思うし。ターン2が最後まで濡れてたんですよ」

 

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ーー午前中はウエットコンディションで苦労している様子だったけど、原因はタイヤ?

「そう、タイヤです。新品タイヤがなかったんです、石みたいなお古(ユーズドタイヤ)ばっかりで。でも実際に走ってみたら中古じゃダメだったっていうね。ちゃんと新品を買っとけっていうことです(苦笑)。だからテスト内容的には何もしてないです、細かいセットアップをゴチャゴチャ〜っとやったくらいで、ただひたすら泣きながら走ってました(笑)」

(チームスタッフ「もうちょっと中古タイヤがきちんと仕事してくれると思っていたんですけど、寒かったせいで思ったよりも仕事をしてくれなかったみたいです。僕たちとしても良い勉強になりました」)

 

ーーそんなにウォームアップしてくれなかった?

「もうね、ヤバいですよ。一般車の方が絶対グリップしてるなっていうくらいのレベルですよ。攻めるどころかビビリながら走ってるような状態でした。最初なんて、全開で走っても1分50秒台ですからね。1人だけ別世界でした。午後は晴れて水量が減ってきたからまだ使えるようになりましたけどね、朝の水量では全然発熱しなかったですね」

 

ーー朝はどんな路面コンディションだった?

「水量は多かったけど、アクアプレーンが起きるほどではないし、そんなに酷いコンディションではなかったですね。単純にタイヤの問題です。ダンプ状態だったんですけど、このコースはなかなか乾かないみたいですね。午後になって晴れてきてからも意外と全然乾いていかなかったですからね」

 

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ーー最終コーナーの立ち上がりでもかなりフラフラしてる場面もあったけど、ウエットコンディションでのこのクルマのフィーリングというのはどうだった?

「タイヤがグリップしてないからなんとも言えないですね。タイヤさえ機能してくれたら、もうちょっと判断できるかなっていう感じ。今日はまだ自分が乗れてるのか乗れてないのかも分からないぐらいのレベルやったから。ずっ〜とクルマが暴れてたし、1人だけ雪の上を走ってるような感じでしたからね」

 

ーー今回のテストで“予想外”は何かあった?

「いや、全然なかったです。ケータハムに比べれば最初からすごく乗りやすかったし、別にセットアップも触らなくても良いんじゃないかな?っていうくらいで(苦笑)。来たからには何かしないといけないと思って、どこどこのアンダーステアを解消するとか『この方が良いんじゃないですか?』っていう方向にセッティングを詰めていきましたけどね。

 強いて挙げれば、エンジンパワーが思ったよりも全然なかったっていうことですかね。もっとパワーがあるもんやと思ってたんですけど、なんかF3エンジンに乗ってるような感じやったからね。逆に言えば、このダウンフォースレベルとグリップレベルでこのパワーやったら、そこそこ誰でも乗れるんじゃないかなっていう感じですよ、体力さえあればね」

 

ーードライバーが腕でねじ伏せてコントロールできるようなクルマ?

「できないと思いますよ。そこそこ頑張ればみんな煮詰まってくると思いますよ」

 

ーー体力的な負荷は大きい?

「いや、僕にとってはそんなに大きくないですね。2日間走っても全然疲れてないし、首も身体も全然何にもないですから」

 

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ーーパワーがないというのは、燃料流量制限を85kg/hと90kg/hに設定していたからじゃないの?

「僕はホントに聞かされてないんで知らないんですよ。だから分かんないです。(制限値が変わったセッションごとの)差もあんまり感じなかったかな」

 

ーー2日間のテストを終えた今の気分は?

「ひと仕事を終えたっていう感じですね、今回は“仕事”で来てますから! まぁ、クルマに乗ることは大事やし、特に大きなミスもなく走れたし、クルマのいろんなセッティングを変えたりして、F1じゃない場所でこういうことをやるっていうのも自分にとって良い経験になったと思いますね」

 

ーー4セッションのうちウエットタイヤ以外の3セッションは全てトップタイムだったけど?

「ホンマにあんまり気にしてないんですよ。もちろんレーサーやから、走るからには一番良いタイムを出しに行くっていうのが仕事やけど、いろんな条件があるし、ポロッと乗っただけやし、アンドレ(・ロッテラー)とかがいるわけじゃないし。そこを比較してもしょうがないし、あんまり期待されてもしんどいだけやし(苦笑)。そもそも来年まだこのレースに出るかどうかも分からへんし、何するかも決めてへんからね(苦笑)。(F1のシートがなければ)やることないから、どうしようかなって。だから(スーパーフォーミュラに)出るかもしれないし、レース自体辞めるかもしれないくらいの勢いでずっと考えてるからね。今回だって『とりあえずやっとこか』くらいの勢いですからね」

 

ーー今回は楽しみたいと話していたけど、今年ケータハムで1年走って来たよりも楽しかった?

「いや、レースはレースで面白いですからね。今回のテストはこれとして楽しみましたけどね。でも、こんなに寒い中を思ったよりも全然大勢のファンの人たちが見に来てくれたし、トラブルもなく僕自身もミスなく走り切れたんで、充分にやり切った感はありますよ」

 

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(text and photo by 米家 峰起)

 

 

 

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  • コメント (1)
    • masayoriA
    • 2014年 12月 12日

    可夢偉選手、なんとかF1の範疇に残って欲しいですね。昨夜のマクラーレンの発表ですべて埋ってしまった感じですが。日本でレースをするようになると、その場に最適化して、今、可夢偉選手が持っている「差」がなくなってしまうのではないかと心配です。

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