REPORT【報道】

20141103-01

 

 ホンダが最終戦アブダビGP後のテスト参加へ向けて、テスト車両の開発を急いでいる。マクラーレンの今季型マシンMP4-29にテスト仕様パワーユニットを搭載する作業をウォーキングのファクトリーで進めており、アブダビで走らせてシステムチェックを行ないたい意向だ。F1プロジェクト総責任者の新井康久氏に開発状況とテスト車両について聞いた。

 

ーー9月中旬に全ユニットがパッケージングされたものがベンチ上で回り始めたということでしたが、その後の開発状況は?

「パワーユニット単体で『これで良いよね』というところに行くまでの確認項目もまだまだたくさんあります。出力もまだまだという感じだし、まだいろんな問題が出て苦しんでいます。でも問題が出ないとレースにならないですし、今はそれを片付けることに苦しんでいます。それも含めて予定通りですね。まだ時間がかかると思いますけど、もう残り時間も数えるほどしかなくなってしまいましたし、完成品ができるのは土壇場になると思います。これから佳境に入っていきます」

 

ーーマクラーレンと共同でテスト車両を開発しているということでしたが、アブダビGP後の合同テストで走らせられそうですか?

「テストできると良いですよね。ただ、テストというよりもシステムチェックをしたいということなんです。実際にパワーユニットをクルマに積んでハーネスを這わせるといろんなノイズを拾ってしまってきちんと作動しなかったりするわけですよね。今年の開幕前のヘレス合同テストなんかがそうでしたよね。そういうことが起きないことを確認したい。

 それから、ソフトウェアが規定通りに動くかどうかということも、実際のテスト本番が始まる前にどこかで確認しておかないと、本番仕様のパワーユニットを2015年型マシンに搭載してテストを迎えたときに今年のようなことが起きないとも限りませんからね」

 

ーーマシンとしてはどのような状態ですか?

「今開発作業をやっているんですけど、本当に(アブダビまでに完成して)走れるのかなという問題もあります。今テストベンチで回しているパワーユニットを(マクラーレンの今季型マシン)MP4-29改のシャシーに載せつつある段階なんですが、結構大変です。メルセデスAMGと我々のパワーユニットでは補器類のレイアウトが全く違いますからね。ウォーキングのファクトリーで設計作業を進めていますが、まだパワーユニットそのものを送って良いものかどうかといった段階ですね」

 

ーー実際の製造作業はイギリスで?

「ウォーキングのファクトリーでマクラーレンと一緒に作業しています。レイアウトというか、改造ですよね。別にキチッとしたクルマを作るわけではないですから。MP4-29の格好をした、中身がホンダのパワーユニット版という感じですね。

 テストで走らせるなんて言うと、みなさんメチャメチャ期待するでしょ?(苦笑) ゴゴゴゴゴって走るだけだと残念だと言われるから、はっきりと(テストをする)とは言わないですよ」

 

ーーそのテスト車両に乗せるパワーユニットは、どの仕様?

「秋に火が入ったレベルのテストユニットですから、全然中途半端な仕様ですね。本番用とはかなり違ってきます。レイアウトはそれ以降も変わりますし、テストでは皆さんにはお見せしないと思います(苦笑)。

 クルマがそういう状況ですから、パフォーマンス的なことを確認できるレベルではないと思っていますし、本当にシステムがきちんと作動するかどうかのシステムチェックですね。ベンチでやっているテストでは、レイアウトはそれほど細かく絞り込んだ状態ではありませんし、電源も外部からつないだ状態です。それがクルマに載せた状態になると、ノイズの影響などでECUが起動しないなんていうこともあります。そういうところからのチェックなわけです」

 

ーーMP4-29改でもある程度の確認はできる?

「もちろん来年用のパワーユニットとはレイアウトも全然違うものになりますが、一応フォーミュラマシンの格好をしていますし、基本的なシステムの確認はできます。例えば、MGU-Hが回ったらものすごくノイズが発生するわけですが、その影響もチェックできるし、モーターをコントロールするコントローラーがスイッチングを始めれば余計なパルスが乗ってエンジンのコントローラーがダメになってしまうとか、そういうことをチェックしたいわけです」

 

ーー開発リソースが分散する恐れは?

「それもあるので、(テスト車両開発は)ミニマムの手間でやりたいと思っています。だから期待を煽るつもりもないし、本当にゴゴゴゴゴと走って『ああ、エンジンがかかった、良かったね』というくらいで終わっちゃうと思いますよ。あんまり言うとすごく書かれて期待されちゃうから(苦笑)」

 

ーーでは、アブダビ合同テストに参加する可能性は高いとみて良いのですか?

「でも我々はまだF1に参戦していませんから、我々がテストをしたいと言っても周りのチームが出ても良いよと言ってくれないとダメですから、問題はそこですよね。マクラーレンの方でネゴシエーションしてくれているようですが……」

 

ーーホンダがパワーユニットメーカー間でそういう話し合いをするということは?

「それはないですね。そんなことを言ったら『何を言ってるんだ? まだF1に参戦していないだろ』って言われると思いますよ(苦笑)」

 

ーーアブダビに持っていく前に走行チェックはする? もしくは、アブダビではなくツインリンクもてぎなどで走ることもある?

「事前にファイアリング(火を入れる)などのチェックはやりたいと思っていますが、実際に走らせることはないでしょうね。(サーキットでのテストは)ドライブする人もいないし、完全否定です」

 

ーーアブダビのテストに参加できるとしたら、誰が走らせることになる?

「まだ全然分かりませんね。さっきもロン・デニスさんと話をしましたけど、ドミノ倒しみたいな状態ですよね。鈴鹿で(セバスチャン・)フェッテルがドミノを倒したからグチャグチャになっていて、あれが全部収まるのはもっと後になるんじゃないでしょうかね」

 

(text and photo by 米家 峰起)

 

 

 

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