REPORT【報道】

20141027-04

 

 サードカー構想については、元々フェラーリが推進してきた経緯がある。しかし基本的に他の上位チームは反対の立場を取っている。

 

 メルセデスAMGのトト・ウォルフは、3台目を走らせるためには約43億円のコストがかかると明かした。

 

「我々の試算では、2500万ポンド(約43億5000万円)が必要になると考えられている。どうだい、どんな莫大な資金を持ったペイドライバーでも支払うことができるようなコストではないだろう?(苦笑)」

 

 しかしこれはF1界でも最大規模の予算を使っているメルセデスAMGの場合であり、中堅チームでは事情は多少違ってくるだろうともいう。ザウバーのような小規模なカスタマーチームの場合は、必要コストは半分以下になると算出しているという。

 

「もちろんトップチームは予算規模が中堅チームとは異なり、おそらく2倍以上の予算を投入しているから、3台目を走らせるためのコストにもトップチームと中堅チームでは開きが出てくるだろう」

 

「仮に1億ユーロ(約137億円)で運営しているチームなら、我々が試算した額の半分程度になるかもしれない。現状でパワーユニットの使用料金が2000万(約27億円)なら1台分で1000万ユーロだが、3台目ということで500万ユーロ(約6億8000万円)くらいの追加料金で済むくらいまでディスカウントは可能だろう。しかしそこにギアボックスの代金、走行にかかる(タイヤやブレーキ、燃料などの)代金、スペアパーツ代、輸送費、現場の人件費などが加わって、少なくとも我々の試算の半分程度のコストは必要になるはずだ」(ウォルフ)

 

20141027-05

 

 問題は、3台目のマシンを走らせることによって、こうした莫大なコストに見合った見返りが得られるのかどうかということだ。

 

「私はサードカー構想のファンではない。F1にとって良いことではないと思っている。3台目を走らせるとなればそれだけコストが増大するし、それは中堅チームにとっては大きな負担になるからだ。いくつかのトップチームが3台目を走らせるとなれば、中堅チームがポイントを獲得することは非常に難しくもなるだろう。そこから充分な利益が得られるビジネスモデルだとは思えない」(ウォルフ)

 

 多くのチームがこのような姿勢を取るのは、サードカー構想を推進しようとするFOMに対して分配金収益の拡大を迫っていることの裏返しだ。つまり、3台目にかかるコスト以上に分配金を増やしてくれるのなら我々はそれに応じるよ、というメッセージを送っているのだ。

 

 【サードカー構想①】参戦18台でも2014年内のサードカーが実現できない理由で解説したポイント対象とするか否かのレギュレーション策定も、この分配金の条件にかかっている。トップチームとすれば、分配金さえ拡大するなら3台目がポイント対象にならなくとも構わず、サードカー構想に賛同するというわけだ。

 

20141027-06

 

 そもそもサードカー構想の根源は、チーム数を減らしてその分だけ各チームへの分配金を増やそうというアイディアから来ている。彼らが下位チームの撤退に寛容なのは、そこに理由があるのだ。

 

 バーニー・エクレストンはシンガポールGP前から急にサードカー構想を推進し始めた。その時点で「あと2〜3戦もすれば分かる」と語っていたが、これはシンガポール〜日本〜ロシアの次の空輸が必要となるUS&ブラジル連戦を睨んで、下位チームの脱落を想定していたのだろうか。

 

 ケータハムやマルシアには見切りを付け、少ないチーム数で1チームあたりの分配金を増やし、サードカーを走らせることで台数は維持する。F1の将来を睨んで、方向転換の舵を切ろうとしているようだ。

 

20141027-07

 

(text by 米家 峰起 / photo by MercedesAMG, Red Bull)

 

 

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