REPORT【報道】

 

 2019年以来、実に3年ぶりとなる日本GPの開催が2カ月後に迫っている。すでに観戦チケットが発売されてほぼ完売の状態となり、チケットの送付やローソンチケットでの受け取りも始まっている。

 

 2年続けて新型コロナウイルスの影響で中止となってきた日本GPだが、今年は開催は確実となった。F1側としても中止となればテレビ放映権やスポンサー収入に影響が及ぶため、確実に開催できるレースしかカレンダーには含めない。逆に言えば、日本GPは確実に開催できるという保証があるからこそ7月の時点でカレンダーが確定し、延期されていた観戦チケットの販売が開始されたわけだ。

 

 では、どのようにして開催を確実なものとしたのか?

 

 最大の問題は、F1関係者が入国できるかどうかだ。それが保証されれば、たとえ無観客となっても開催は可能であり、F1側としてはカレンダーに組み込むことができる。つまり、F1と鈴鹿サーキットは日本政府からF1関係者の入国の保証を取り付けたということだ。

 

 現時点でのパドックでの話を総合すると、F1チーム関係者およびFIA、FOMの関係者はシンガポールGP修了後にそのままバブルで日本へと入国することになる。

 

 こうした感染対策の徹底を条件に、F1関係者に対して入国を保証するビザの発給がなされたようだ。

 

 

 現在、日本は外国人の入国を制限しており、従来ならばビザ免除で短期滞在が可能であった国籍を有する外国人も入国はできない状態だ。

 

 6月10日からは「商用・就労等の目的の短期間の滞在者」に条件付きで特別なビザ発給が認められるようになり、「日本国内に所在する受入責任者(入国者を雇用又は事業・興行のために招へいする企業・団体)が、厚生労働省の入国者健康確認システム(ERFS)における所定の申請を完了し、在外公館において査証の発給を受けた場合、商用・就労等の目的の短期間の滞在(3月以下)」が認められるようになった。しかし今回の場合はこれとは別のスポーツイベント参加者として特別なビザ発給での入国が全メンバーに保証されているようだ。

 

 日本入国には出発72時間以内のPCR検査陰性証明書が必要だが、この特別入国を許されたメンバーたちはバブル方式で入国することでこうした検疫手続も免除されるものと見られる。現時点で日本以外のほとんどの国でPCR検査などは不要になっており、F1においてもPCR検査は推奨されているものの義務ではない。正直言って、検査をすれば陽性者が多数出て来るのは間違いないだろう。しかしヨーロッパではすでにコロナ共生が進んでおり、症状がない限りは普通に暮らすというスタイルになっている。そのため、今季からF1のパドックにおいても「開催地のルールに従う」という方針を採っており、検査義務やマスク着用義務などは開催地のルールに沿って、つまりほとんど義務が撤廃された状態でレースイベントの運営がなされている。

 

 もしルール通り日本入国に向けてPCR検査を行なえば、陽性となって日本に渡航できないチーム関係者が大勢出てくる可能性が高い。F1ドライバーも含めてだ。入国にビザが必要な状況では代役を急きょ日本に送ることもできないため、チームごとレース参加が困難になる可能性も出て来てしまう。

 

 そのため、こうしてF1関係者がバブル方式で日本社会との接点を断つことを約束することで、7月の時点で早々に10月の日本入国の保証を取り付けたようだ。

 

 

 なお、メディア関係者やゲストなどはこのバブルの中には含まれず、シンガポールから渡航する外国人メディアも個別に「短期滞在ビザ」を取得して来日しなければならないという。鈴鹿サーキットと各メディアとの間に雇用契約または報酬の支払いがないためで、従来通りの「観光・商用目的の短期滞在」という扱いになる。従来であれば大半の国籍保有者がビザ免除で入国ができたが、現在はビザ免除が停止され正式にビザを取得しなければならいというわけだ。

 

 各人が「F1日本GPを訪れる短期滞在」を目的に自身で各国の日本領事館に行ってビザ申請を行ない、これに対して鈴鹿サーキットは「F1日本GP開催の保証」レターを発行してサポートするという。これが通達されたのが7月中旬で、メディア関係者にとっては3週間のサマーブレイク中にしか申請ができない(国籍によってはその後のUSGPのためのビザ取得が必要な場合もあるため取捨選択が必要になる)。もちろん入国前の検査で陽性となれば日本への入国はできなくなってしまうというリスクもある。そのため今年は来日するメディアの数はかなり少なくなるかもしれない。

 

 メディアやゲストは「バブルの外」の人間であり、レース週末の間は「バブルの中」のF1関係者と交流するものの影響を受けていないことを証明するために毎日PCR検査が義務づけられることになるかもしれないという話もある。日本GPのみ取材に赴く国内メディアは、レース終了後も9日間の自己隔離を求められるともいう。これによって「バブルの中」であるF1関係者が日本社会に影響を及ぼさないよう感染対策をしているというかたちをとるわけだ。

 

 その理屈で言えば、おそらくパドックと観客エリアも完全にシャットダウンされて、「バブルの中」のF1関係者が観客エリアに立ち入ることができないような方式が採られるものと思われる。2020年にコロナ渦でも観客を動員して開催した際の方式を踏襲したかたちだ。となれば、ドライバーがファンと直接に接するような場を設けることは難しいだろう。

 

 パドッククラブもDO&CO.のスタッフの入国が確約されていない状態のようで、日本GPではパドッククラブが運営されるかどうかもまだクリアになっていないようだ。観戦チケットも一般席の販売は行なわれたもののパドッククラブの販売がまだスタートしていないのはこういった背景があるからだろう。

 

 いずれにしても、主催者である鈴鹿サーキット側がこうした「感染対策プラン」を提示することで政府からF1関係者の入国保証を取り付け、3年ぶりの日本GP開催にこぎつけた背景には非常に複雑な関係各所の調整と多大なる努力があったことは間違いない。どんなかたちでの日本GP開催となったとしても、我々はそれを受け入れ、今後のためにもつつがなくイベントを終えることができるよう一体となって日本GPを楽しむべきだろう。

 

 

(text by 米家 峰起 / photo by Red Bull, Alfa Romeo)

 

 

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  • コメント (2)
    • pink-tororo
    • 2022年 8月 15日

    私は、パドッククラブのチケットを代理店経由で申し込んだのですが、運営されるかが未定というのは心配です・・・。一般のチケットは入手していません。
    代理店からも、チケットの発送は開催1週間前との連絡が来ています。ギリギリまで交渉が続くのでしょうか?

      • MINEOKI YONEYA
      • 2022年 8月 15日

      パドッククラブのチケット(というかパス)はICチップ込みのプラ&金属のパスでご利用者のお名前も登録されていてFOMコントロールなので、お届けが割と直前になるのは通常通りですね。
      おそらく同じ代理店さんだと思いますが、ウチもコンタクトさせて頂いています。F1公式チケットサイトでも販売されていますし、夏休みの間に開催が確定していれば良いんですが。

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